頭の中は魑魅魍魎

いつの間にやらブックレビューばかり

『極夜』ジェイムズ・トンプソン

2014-05-10 | books
最近、ミステリー好きの間では話題に登らないことがないくらいホットなのは、北欧ミステリー(大げさ) 「ミレニアム」三部作、「三秒間の死角」、ヘニング・マンケルとか、「特捜部Q」「湿地」など評価の高い作品が多い。(どういうわけか翻訳ミステリー好きの知り合いのほぼ全員が「特捜部Q」を読んでいて、しかもみなの評価が高い)

本作は、フィンランド。今後行くことはあまりなさそうな国。だからこそせめて活字では読んでおきたい。

郊外の町、キッティラの警察署長はカリ・ヴァーラ。過去に容疑者を射殺した経緯で昇進したものの、撃たれた後遺症で足を引きずっている。妻はアメリカ人、ケイト。複合レジャー施設の支配人をしている。そして妊娠中、そしてフィンランド生活に慣れない。ソマリアからの移民で女優が殺害された。「黒い売女」と腹部に刻まれ、目玉はえぐり出され、膣にはビール瓶が挿入されている。被害者の交際関係から容疑者は、カリの前妻と暮らしている富豪セッポだとして、逮捕した。しかし、事件の奥は深い。カリのプライベートと事件の関わり。そして第二、第三の事件が…

真相が分かっていく過程を楽しむミステリーらしい、実にミステリーらしい作品であるのに加えて、カリの苦悩、フィンランドという「暮らしやすい」国であり、「人口一人当たりの殺人事件はアメリカの大都市とほぼ同じ」国の描写もまた読みどころだ。

シリーズ第二作の「凍氷」の評価高いので、そっちを読む前にまず第一作から読んだのだけれど、やっぱり北欧ミステリーはいい。特にフィンランドの閉鎖的な感じは日本人に共感できる部分が多いように思う。

極夜 カーモス (集英社文庫)

今日の一曲

主人公は、カリ。カイリー・ミノーグで「スピニング・アラウンド」



では、また。
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