頭の中は魑魅魍魎

いつの間にやらブックレビューばかり

長すぎの『彼女がいない飛行機』ミシェル・ビュッシ

2015-12-11 | books
墜落した航空機。唯一の生存者は赤ちゃんだった。自分の孫だと主張する者が二組現れた。一組はかなりの金持ち。孫の名はリズ。もう片方は普通の家庭。孫の名はエミリー。お互いに譲らず、訴訟となる。訴訟の結果、どちらかの家の子供になるのだが、それとは別に依頼を受けた探偵が彼女はどちらの家の子供なのか調査をずっと続けている。そして18年が経過。彼女とともに暮らす兄は彼女のことを好きになってしまっていた。DNA鑑定がまだない1980年。探偵が見つけた手がかりとは。彼女の運命は、彼の運命は…

ううむ。長い。長すぎる。文庫で650頁。面白いのだけれど、ネタを引っ張り過ぎの感があるし、300頁程度で十分まとめられたと思う。

それとタイトルの「彼女のいない飛行機」あるいは原題の"Un Avion Sans Elle"が、結末を予期させてしまう。(サンスーシ宮殿はSans Souciで、無憂宮殿と訳されていたと記憶している。souciが「憂鬱」、sansが「~なし」、とするとA Plane Without Elleとなる)

しかし、探偵は事件の報道が載っている新聞に、彼女はどっちの子であるかのヒントがあったと言っていて、でもそれが何だか分からなくて、それが明かされたときは、あっと驚いた。なるほど。

彼女のいない飛行機 (集英社文庫)

今日の一曲

作者はミシェル・ビュッシ。THEE MICHELLE GUN ELEPHANTで「世界の終わり」



では、また。
コメント    この記事についてブログを書く
« 満点な『モンローが死んだ日... | トップ | なぜ父は遍路に『冬の光』篠... »

コメントを投稿