47歳、大学の教員の私。妻との二人暮らし。カルチャースクールの生徒である女性の不倫関係が妻にバレて、家を出た。8年の別居生活の後、生活が苦しくなってきたので、また妻のいる家に戻ってきた。前に飼っていたのは犬のなな。ななが亡くなった後、今飼っているのはメイ。ななとの暮らしやメイとの暮らし、妻との息が詰まる暮らしを描きつつ、「私」という人間に迫る…
うーむ。犬の二匹の可愛さもいいけれど、この「私」の体たらくが素晴らしい。
一人で外食ができないという「私」に対して、不倫相手のかおりのセリフは、
主人公「私」に感情移入し、奥さんこわいなとか、犬かわいいなと思いながら読む部分が多いのだけれど、たまに出てくる「私」の良くない部分がこの小説の肝だと思う。
根本的にダメ人間だというわけではないのに、どういうわけかあちこちでひっかかる部分がある。しかもかなりの確率で「これは自分のことを指摘されているような気がする」と思わされる。
非常に不思議な小説であって、中年の悲哀小説でもあるけれど、また自業自得小説でもあったりする。この風味はさすがに若者にはまだ分からないだろう。とちょっと上から目線で失礼する。
今日の一曲
ドラマ「みんなエスパーだよ」の主題歌はこの二番だった。高橋優で「(Where's)THE SILENT MAJORITY」
この唄の怒りのようなものが「私」に対する怒りと近いようなそうでもないような。
では、また。
うーむ。犬の二匹の可愛さもいいけれど、この「私」の体たらくが素晴らしい。
一人で外食ができないという「私」に対して、不倫相手のかおりのセリフは、
「生きていくうえでいちばん欠かせない、しかも最初にクリアしなければならない問題は、食べることよね。野生の動物もまず我が子に餌のとり方、狩りの仕方から教えるでしょ、だからそのもっとも肝腎なことで母はまだ十歳のわたしに覚悟をつけさせたかったんだと思うの。自分で自分のいろいろなことに始末をつけることが生きることなんだって、一万円札を渡してね。当時のわたしは母の言いたかったことのおそらく三分の一も理解できてなかったでしょうけど、母の気迫は幼いわたしにも伝わってきたのね、それで自分を納得させて、ひとりランドセルしょって吉野家のカウンターに座ってたんだと思う。それを考えると、いまだにひとりで外食ができないってこと、カズキさんが考えてるよりずっと大きくて本質的な問題をふくんでいるかもしれないわよ。大袈裟に聞こえるかもしれないけど、生きていくことの覚悟みたいな……」
「わたしがこんなこと言える分際じゃないってことはとうにわかっているけれど、奥さんの気持ちがなんだかすごくわかる気がする。だってカズキさんって、奥さんと全然向き合ってないんですもの」
主人公「私」に感情移入し、奥さんこわいなとか、犬かわいいなと思いながら読む部分が多いのだけれど、たまに出てくる「私」の良くない部分がこの小説の肝だと思う。
根本的にダメ人間だというわけではないのに、どういうわけかあちこちでひっかかる部分がある。しかもかなりの確率で「これは自分のことを指摘されているような気がする」と思わされる。
非常に不思議な小説であって、中年の悲哀小説でもあるけれど、また自業自得小説でもあったりする。この風味はさすがに若者にはまだ分からないだろう。とちょっと上から目線で失礼する。
今日の一曲
ドラマ「みんなエスパーだよ」の主題歌はこの二番だった。高橋優で「(Where's)THE SILENT MAJORITY」
この唄の怒りのようなものが「私」に対する怒りと近いようなそうでもないような。
では、また。
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