頭の中は魑魅魍魎

いつの間にやらブックレビューばかり

『風葬』桜木紫乃

2012-07-25 | books

「風葬」桜木紫乃 文藝春秋社 2008年

根室。父親がロシアに拿捕され一年前に病死。その娘は中学校の入学式に来なかった。そしてその娘は死ぬ / 釧路。書道の教師。母の過去を少しずつ知ると意外な過去が / 小学校、いじめで自殺。担任の教師は辞任 この三つの一見無関係な出来事、人物が絡み合い思わぬ展開に…

うーむ。桜木紫乃はいい。「ラブレス」に比べると、薄いし文字数も少ない感じはあるけれど、人物描写も展開もいい。もっと長い作品にしてくれる方が好みではあるけれど。

いじめ+自殺+裁判という昨今現実に報道されている事件とシンクロする部分や、北方領土問題という生臭い問題まで放り込んであって、その料理具合もなかなか。

個人的に、桜木作品に甘くなってしまっている感は否めないので、もっと他の作品を読んでから、トータルで彼女の作品を評価してみないといけないような気がする。と言っても私の場合、そう言ったことを忘れてしまうのだけれど。先日読んだ「硝子の葦」以外で未読は「氷平線」「ワンモア」「凍源」「起終点駅」「恋肌」あとたったこれだけなのか…

では、また。



風葬
氷平線 (文春文庫)凍原 北海道警釧路方面本部刑事第一課・松崎比呂 (小学館文庫)凍原 ワン・モア恋肌
コメント    この記事についてブログを書く
« 『睡蓮の長いまどろみ』宮本輝 | トップ | また新しいのを買った »

コメントを投稿