飯島一孝ブログ「ゆうらしあ!」

ロシアを中心に旧ソ連・東欧に関するニュースや時事ネタを分かりやすく解説します。国際ニュースは意外と面白い!

クレムリン、「ヒムキの森」伐採の有料自動車道建設にゴーサイン!

2010年12月10日 10時40分01秒 | Weblog
 ロシアのメドベージェフ政権は、自然保護の市民運動グループが強く反対していたモスクワ郊外の有料自動車道建設にゴーサインを出した。周辺住民を巻き込んだ反対運動が広がりを見せたため、メドベージェフ大統領は今年8月、建設を一時凍結して建設ルートの再検討を進めていた。(7月23日、8月27日の「飯島一孝ブログ」参照)

 10日の経済紙「ベードモスチ」によると、クレムリンとしての最終決定だというが、その理由についてはコメントしていない。この決定により、樫の木の原生林が生い茂っている「ヒムキの森」のうち、道路建設ルートにかかっている部分はことごとく伐採されることになる。

 ヒムキの森は、モスクワ北方のシェレメーチェボ国際空港近くにある。この森は、モスクワとサンクトペテルブルク間を結ぶ有料自動車道の建設ルートにかかっているため、自然保護運動家らが反対運動を起こした。有名なロックバンド「U2」のボーカル、ボノ氏(50)が今夏モスクワのコンサートで建設中止を呼びかけたことから、メドベージェフ大統領が調停に乗り出し、モスクワ市など関係当局と専門家による特別委員会を設置、検討していた。

 この道路建設を巡っては、この問題を追及しているジャーナリスト3人が何者かに襲撃され、大ケガを負う事件が起きている。11月には、有力経済紙コメルサントのオレグ・カーシン記者が襲撃され、重傷を負って今も入院している。

 クレムリンは、来年後半から始まる下院選挙や大統領選を控え、反対運動がこれ以上盛り上がるのを恐れて早期決着を図ったものと見られる。だが、ジャーナリスト襲撃事件もいまだに未解決で、市民のさらなる反発を招くことは必至だ。一時凍結を決めたメドベージェフ大統領が、なぜこういう結論を支持したのか、是非説明を聞きたい。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする