飯島一孝ブログ「ゆうらしあ!」

ロシアを中心に旧ソ連・東欧に関するニュースや時事ネタを分かりやすく解説します。国際ニュースは意外と面白い!

尊敬されない大統領に「明日」はない?

2010年03月26日 14時09分27秒 | Weblog
 「私が発令した大統領令が実行されていない」
 「行政の規律がうまくいっていない」
 メドベージェフ大統領は16日、閣僚や州知事を呼んで開催した会議で、こう嘆いて見せた。この会議はテレビでも中継されており、「尊敬されない大統領」を国民の前にさらした形になった。

 翌日の新聞には、大統領令がどれだけ実行されていないかが数字で示されている。ちなみに昨年1年間に1753件の大統領令が出されたが、そのうちの38%が実行されなかったという。ソ連最後の大統領だったゴルバチョフ氏の時も、大統領令が乱発されたが、ほとんど実行されなかった。メドベージェフ大統領としては、大学の先輩のプーチン首相のようにタフなボスぶりを国民に見せつけようと、この種の会議を初めてテレビで公開したが、かえって逆効果に終わったというところか。

 こうした大統領に不安を感じたのか、英字紙モスコー・タイムズのボーム部長は自分が担当しているオピニオン・ページ(26日付け)に「尊敬を得られない大統領」という見出しで自分の意見を載せている。

 その中で、大統領が尊敬されていない実例として、つぎのようなケースをあげている。昨年11月に大統領が国民向けにテレビ演説した際、それを聞いていた政府高官の何人かは演説に関心を示そうとしなかったうえ、隣の人とおしゃべりしたり、ケータイ電話をいじったりしていたという。身内の高官にまでそっぽを向かれていたというわけだ。

 続けて、ボーム氏はメドベージェフ大統領が身長162.5cmと、ロシア人としては小柄だが、プーチン首相も大統領より背が高いわけではないとして、尊敬云々とは関係ないと断定。大統領は「ブログ編集長」と一部でやゆされているように、ネットで色々発言しているが、プーチン首相のような行動力が伴っていないのが問題だと指摘している。
 

 ボーム氏によると、プーチン首相の周辺では、首相が2012年の次期大統領選に立候補するかどうかが切実な関心事だという。側近とすれば、首相が大統領に復帰すれば、このまま豊かな暮らしが保証されるからだろう。同氏自身は大統領が良心的で、誠実に行動していると一応評価しているが、「タフに振る舞おうとすればするほど、弱々しく見える」状態では再選は難しいとみているようだ。ロシアという大国を運営するには、プーチン首相のようにタフでなければやっていけないというのだろうが、それではまた強権主義に戻ってしまうのでは。

 
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