飯島一孝ブログ「ゆうらしあ!」

ロシアを中心に旧ソ連・東欧に関するニュースや時事ネタを分かりやすく解説します。国際ニュースは意外と面白い!

解任されたモスクワ市長の夫人が約350億円を不正蓄財!!

2011年02月18日 11時47分51秒 | Weblog
 昨年9月、メドベージェフ大統領に解任されたルシコフ・モスクワ市長(74)の妻エレーナさん(47)が約350億円を不正に得ていたことが内務省調査委員会の調べて分かった。エレーナさんは建設会社を経営しており、夫の市長時代の職権乱用の疑いが浮上した。

 ロシアのメディアは18日、前市長夫人の不正蓄財問題を一斉に報道した。それによると、内務省調査委員会が17日、夫人の建設会社インテコや夫人の口座があるモスクワ銀行の幹部事務所などを捜索し、証拠書類を押収した。その結果、約350億円を不正に得ていたことが確認されたという。

 この金は、モスクワ市内の土地58ヘクタールをモスクワ銀行と提携している会社に売却した代金とみられている。しかも、この土地売買が出来たのはモスクワ市政府が同銀行への譲渡を許可したためとされ、モスクワ市の予算が使われた疑いも出ている。

 ルシコフ夫妻は現在オーストリアに滞在しているが、この報道についてエレーナ夫人は不正蓄財を否定し「夫に圧力をかけようとしている」と述べたという。ルシコフ氏はコメントを出していないが、これまでのインタビューで市の予算使用を否定していた。

 今週発売の経済誌によると、エレーナ夫人の総資産は約930億円にのぼるとされる。この資産は、ルシコフ氏が市長時代、建設会社に巨額の利益供与をした結果とみられている。このため改革派のネムツォフ元第一副首相らがルシコフ氏の不正を告発していた。

 今回の捜査はルシコフ氏の市長時代の不正を暴くための捜査との見方が強いが、モスコー・タイムズ紙によると、政権側はエレーナ夫人に建設会社を手放すよう圧力をかけているのだという。取引に応じない場合、夫人は逮捕されると同紙は見ている。

 ルシコフ氏はもともとプーチン首相と親しく、その関係もあってソ連崩壊直後の1992年から18年間もモスクワ市政を牛耳ってきた。だが、メドベージェフ大統領が地方自治体に長期間君臨している政治家の弊害を指摘し、辞任に応じなかったルシコフ氏を解任した経緯がある。

 その一方、プーチン首相は自分の側近を後任の市長に充てており、大統領と首相双方の顔を立てた人事だったとみられる。こうした事情から首都の権益を巡って大統領と首相の暗闘が続いている可能性が高い。この捜査が進展するかどうかは、ひとえに大統領と首相の力関係にかかっているとみるべきだろう。
 
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