飯島一孝ブログ「ゆうらしあ!」

ロシアを中心に旧ソ連・東欧に関するニュースや時事ネタを分かりやすく解説します。国際ニュースは意外と面白い!

なぜ今、ロシアとウクライナで「スパイ追放合戦」?

2009年08月01日 11時23分51秒 | Weblog
 ロシアとウクライナで、スパイ活動をしていたとしてウクライナ外交官とロシア外交官各二人が追放される事件が起きた。今でこそ、NАΤO加盟問題などで対立している両国だが、もともと同じスラブ民族で隣国同士なのに、なぜ外交官の追放合戦までするのか、その背景に関心が集まっている。

 ロシアの有力紙・独立新聞によると、最初に動いたのはウクライナ側だった。ウクライナ領のクリミヤ半島にある黒海艦隊に駐在していたロシア外交官と、ウクライナ・オデッサ駐在の総領事館員がスパイ行為を働いたとしてロシア側に密かに通告した。すると、ロシア側はこれを表ざたにし、ラブロフ外相が対抗措置としてウクライナ側に二人の外交官を「好ましくない外交官」としてロシア国内での勤務停止を求めたのだ。ソ連時代、「兄弟国」とまで言われた国同士が、手回しよく、鏡に映したような対抗措置をとったことが国際社会の注目を集めた。

 なぜ、こういう事態になったのか、色々憶測を呼んでいるが、主にロシア側から出ているのは「挑発説」だ。ラブロフ外相は「いま欧州の政治情勢は好転し、ロシアとウクライナの関係も悪くない。こういう状態を好ましくないと思う人がいるかもしれない」と語っている。また、国際問題専門家は「ユーシェンコ大統領は来年の大統領選に向けて選挙運動を開始したが、いい兆候が見えない。そこでロシアとの関係を緊迫化し、西ウクライナの有権者を煽ろうとしているのではないか」と見ている。

 一方、ウクライナ側は「われわれは友好的に解決しようと内密に行動したのに、ロシア側はなぜ表ざたにしたのか、訳がわからない」と反論している。両国ともいまや近親憎悪に似た感情にとらわれているだけに、まずはじっくり頭を冷やしてから行動してほしい。

 
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