飯島一孝ブログ「ゆうらしあ!」

ロシアを中心に旧ソ連・東欧に関するニュースや時事ネタを分かりやすく解説します。国際ニュースは意外と面白い!

ロシア女性パンク3人の長期拘留巡り反プーチン派が直接行動!

2012年07月22日 15時28分24秒 | Weblog
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ロシアの女性パンクグループ3人が反プーチン的パフォーマンスをしたとして2月に逮捕・拘留されている問題で、作家のアクーニン氏ら反プーチン派知識人が3人の釈放を求める直接行動に立ち上がった。これに対し、検察側は追起訴する構えを見せており、政権側と真っ向からぶつかる展開になってきた。

 逮捕・拘留中の女性は、パンク・ロックグループ「プッシー・ライオット」(子猫の騒動の意味)のメンバーで、ナジェージダ、マリア、エカテリーナの3人。2月21日、モスクワ市内の救世主キリスト大寺院で、覆面をかぶって踊るパフォーマンスを行なったとして刑法213条(乱暴狼藉)違反の疑いで逮捕された。最初は6月24日まで拘留という裁判所の決定だったが、その後、今月24日まで1ヵ月延長された。

 モスクワ地区裁判所で20日、非公開で予審が行われ、スイロワ裁判官は検事の要請を認め、来年1月までの半年間、拘留を延長する決定を行なった。女性グループの弁護人によると、検察側は刑法213条違反に加え、さらに刑法282条(憎悪や敵意の高揚)違反で追起訴する方針という。前者だけなら懲役3年だが、後者も加わると懲役7年程度になる見通し。

 この日、裁判所周辺には女性グループの釈放を求める市民多数が集まり、ピケを張った。多くの人々が、胸に白い花や白いリボンを付け、昨年秋以降続いた反プーチン派の不正選挙抗議運動を思い起こさせた。参加者の中には、反プーチン運動の闘士、アクーニン氏のほか、詩人のルベンシュタイン氏、風刺漫画家のビリジョ氏らがいた。これに対し、警官多数が出動して警戒にあたり、「3人に自由を!」と叫び続けた男性ら3人を拘束した。

 拘束中の女性3人のうち、2人は子持ちという。夫を名乗る男性が姿をみせ、「裁判前の予審で長期間拘留され、3人の憤りが強まっている。その半面、ロシア正教の寺院で事件を起こし、いろいろ悩んでいる」と語り、早期釈放を求めていた。

 この事件で3人の弁護人は「裁判所の長期拘留決定は人権に反している」と欧州裁判所に提訴している。また、映画監督や芸術家約百人が地元紙に意見広告を掲載し、3人の早期釈放を求めている。反プーチン派の活動家が直接行動に加わったことで、釈放運動は今後、反政権闘争のひとつとして浮上することになろう。

 一方、プーチン政権はインターネットの規制を強化したうえ、非政府系組織(NGO)の登録を義務付けるなど、反政府系勢力の締め付けを強めている。女性パンクグループに対する長期拘束もこうした流れの一環とみられ、メドベージェフ大統領時代に一時緩んだ秩序を再び締め直す意図がみられる。こうした動きをリベラルな中流階層が黙ってみているだろうか。(この項おわり)




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