俳誌の発送作業と打ち合わせのため
この日は、兵庫区にある印刷所へ向かう。
一通り発送作業を終えて昼となった。
近くに美味しい中華屋があるというので
行ってみた。昔ながらの家族経営の店だ。
店内はそんなに広くはない。
雑然とはしているが汚いと言う感じではない。
まあ私は読まないが漫画でも見ながら食べる。
そんな感じがよく似合う下町の中華屋だ。
適度に古りて、壁には手書きの品書きが所狭しと並ぶ。
お薦めと書かれていた海鮮焼きそばを注文した。
店主が黙々とフライパンを振り、奥さんが表を仕切る。
若いのがひとり。息子さんかもしれない。
「硬いの?柔らかいの?」と聞かれた。
一現にはあまり愛想のいい店とは言えないが
通えばそれなりにいい店だろうと思う。
硬麺の海鮮焼きそばは、海老やホタテなど
具も盛りだくさんで確かに美味しかった。
また行ってみようと思う。
■龍園
神戸市兵庫区本町1-1-6
街を歩けば軒先やマンションの植込み
そして街路に花水木が咲いている。
白もあればピンクも斑も。
アメリカ生まれの山法師。
アメリカヤマボウシとも言う。
秋になると真っ赤な実をつける。
亜米利加の力を見し日花水木
大阪西区のなにわ筋を歩いていたら
靭公園の北側に大きく“きんつば”
と書かれた青い幌が目に入った。
きんつばが名物の和菓子屋だ。
きんつばとあればそそられる私。
ふらふらと店内に惹き込まれてしまった。
しばし陳列を眺めていると、おばさんが
出てきた。箱積めは最低6個入りだった。
こんなに要らないなあと迷っていたら
「一個からでもお売りしますよ。」
良かった。「では五個下さい。」
応対はなかなか感じ良い店であった。
帰宅して「きんつば買ってきたよ。」
「あら、珍しいわねえ。」
「偶然目に入ったから買った。」
「このきんつば、重いね。あんこ詰まってそう。」
「表の皮も柔らし、某店より値段も安いわ。」
そう、とても美味しいきんつばでございました。
■御菓子司 香月堂
大阪市西区京町堀1-16-18
※十勝小豆の風味をいかすため
甘さとの調和に工夫をほどこしております。
今年の端午の節句は快晴。
端午は五節句のひとつ。
都会では大きな鯉幟を
見かけることは少なくなった。
小子化と再開発でマンションが
増えたことも大きな要因かも。
田舎に行くとまだまだ太い竿に
繋がれた鯉幟を見かけるのだが。
鯉幟もこの頃ではオブジェ化して
川の上に沢山の鯉幟を吊るしたり。
でも本来の意味では、やはり
矢車が廻る高々とした鯉幟がいい。
逆風にこそ高々と鯉幟
石屋川公園の山手幹線辺り
小手毬(こでまり)が満開であった。
六甲から吹く風にゆらゆらと揺れていた。
遠目には一見雪柳にも見えるらしい。
歳時記では“小粉団の花”とある。
別名、鈴懸(すずかけ)とも言う。
庭木でよく見かける花だ。
小でまりをふわりと揺らす六甲(むこ)の風
会社の三十代の後輩と呑んだ。
美食好きの後輩である。
この日の品書きには鯨のベーコンとあった。
ところが後輩は初めて目にするという。
そうか。世代が違うのだ。しかし
同世代でもこれを知らない人もいる。
昔、鯨は庶民の食べ物であった。
だからこれを食べない家庭もあったのだ。
刻みネギと醤油、生姜または辛子で食す。
酒の肴としてはなかなかである。
五月がやってきた。
万物は光り輝き風は薫る季だ。
“夢みたものは ひとつの幸福
願ったものは ひとつの愛
山なみのあちらにも しづかな村がある
明るい日曜日の 青い空がある”
立原道造 “夢みたものは…” より