雪が積もった。
すでに夕べには
前の公園が真っ白になっていた。
そして夜が明けた。
あの日から16年…。
当時12歳だった子も28歳となる。
当時たん笥の並ぶ小さな部屋で
ひとりで寝ていたわが子。
倒れてきたたん笥群がちょうど対面の
クローゼットに倒れ掛かり、偶然
その隙間の空間に挟まれたおかげで
無傷で難を逃れた。そして
まだ小さい下の子は、私と寝ていたのだが
飛んできたテレビで頬を切っただけで済んだ。
今でも微かだが、その頬に
当時の傷跡を探すことができる。
けれど
ご近所には亡くなった同級生がいた。
亡くなった子のお母さんには
12歳のままのわが子が、ずっと
心の中に生き続けている。
今では普通に生きている私は
ともすればそのことを忘れがちになる。
だからこの日というものが
震災忌として、厳然にしかも永遠に
存在しなければならないのだと思う。
あの子にも雪を見せたや十七日(とうなのか)
合掌。