3月28日(火)、「踊り子号」にまで乗車して、伊東から東京に帰ってきたのは、15時半に富士神社で石川さんと待ち合わせていたからだ。随分前から、富士神社本殿へと上る階段脇には、ピンク色濃い、見事な桜が咲いていた。さてその品種は?私はカンヒザクラかと思い、撮影した写真をメール添付し、石川さんに送ってその判定をお願いしていた。
「多分違います」とのメール返信。ラジオ体操仲間の間でも、品種は何?との話題が連日のように出ていて、陽光やオカメザクラが候補に挙がっていた。石川さんは、28日に本駒込地域活動センターに来る用事があり、その帰りに件のサクラの下で落ち合うことにしていた。(写真:階段脇のサクラ)
彼は、活動センターでの「第31回お話会」が始まる前に神社に来ていろいろ観察したらしい。その中で特に神社入口左に咲くソメイヨシノに注目した。花は4・5分咲きだったが、沢山の落花傘が散っていた。観察をすると桜の蜜を舐めているのは、スズメではなくて、なんとワカケホンセイインコだった。まあこの辺は「日本野鳥の会々員」の石川さんならではの素早い判断。ここの落花傘の犯人はインコだった。このインコは外来種で野生化が進んでいるらしい。(写真:ワカケホンセイインコ)
(この桜木にインコが留まっていた)
さて15時半に富士神社に到着出来た私は、落花傘の“第一発見者”山本さんと二人して石川さんを待っていると、やや遅くまで開催されていた「化学のお話会」を終えて、トシコさんとヨツエちゃんと一緒に神社に現れた。数日前に、石川さんの『身近な自然』を山本さんに渡すと、山本さんは、自分が発した2年前の”問”が思いがけない形で”答”として帰って来たことに感激していた。私は”問”と”答”の二人を引き合わせたかった。
まずは落花傘の下へ。そこでワカケホンセイインコ観察の経緯を聞いた。その後、階段脇に咲く件の桜の下へ。こちらも既に観察していたらしい。持参した桜図鑑も見ながらの検討。花びらを比較するとオカメザクラ(カンヒザクラとマメザクラを交配)でも陽光(カンヒザクラとアマギヨシノの交配)でもないらしい。花には詳しい石川さんにとっても、掛け合わせの進む桜の品種判定は難しいようだった。後日のメールには「陽光に近いと思われます」と書かれていた。それで充分で「陽光」と記憶しておこうと思った。「昨夜のテレビを見る限り秋月と思う」と言う方もいる。
さてこの数日間イベント主催で忙しかった私は、漸く昨日、落花傘の生じる桜木をゆっくりと観察した。インコがやってきて20分以上蜜舐めていた。その写真を石川さんに送ると「ワカケホンセインコの動画を見るとサクラを千切る速さがあまりに早いので、食べているのか遊んでいるのか分からないほどでした。あの速さで蜜を舐める余裕があるのか疑問です。落ちていた花にも蜜を舐めたように見えないものもありましたね」とあった。
落花傘を生じる候補鳥にスズメだけでなくインコの名も挙がり、その動作も蜜を吸うだけでなく、遊び戯れもあるとなると、鳥と桜の関りも多種多様と思わざるを得ない。
(ハラハラ散らなかったサクラ花)