A Day in The Life

主に映画、ゲーム、同人誌の感想などをコンクリートミキサーにかけてブチまけた、ここはいいトシしたおっさんのブログ。

塚口サンサン劇場「きさらぎ駅」見てきました!

2022-08-21 23:18:50 | 映画感想
 食料が尽きたので塚口行ってくるついでに大量の食料を買い込んできました。
 オタクは1回の外出に予定を詰め込みがち。
 さて今回見てきたのはこちら。
 
 
 次の週から始まる「女神の継承」「哭悲-SADNESS-」といったホラー映画に先駆けて上映される、有名な都市伝説「きさらぎ駅」を題材とした作品です。
 2004年からの7年間失踪していた教師・葉山純子は、謎の駅「きさらぎ駅」に迷い込んだ経験を持つ女性。彼女は異世界から帰還したものの、そこで知り合った女子高生・宮崎明日香を置き去りにしてしまったことをずっと後悔していた。そんな純子のもとを、「きさらぎ駅」を題材とした卒業論文を執筆している女子大生・堤春奈が取材のために訪れる――。
 予告編を見てちょっと関心を持ったんですが、その中で一人称視点を「POV(Point of View)」ではなく「FPS」と表記している点に一抹……というかけっこうな不安を感じつつも、まあ見てみるかという気分で見てきましたが……。
 正直なところ本作はうーん……まあ外れの部類だったと思います。
 映画に限らず作品に触れるときの「違和感」には、「意図的な違和感」と「作品外の要因による違和感=失敗」の2種類があります。
 本作の序盤、純子がかつてきさらぎ駅に迷い込んだときの回想パートの怪異や台詞回しにやけにチープさを感じてて、「さてこれはどっちの違和感だ?」と思いながら見てたんですが、普通に素でチープでしたね……。
 頭が膨れ上がって爆発するシーンや炎上するシーンのCGが特に安っぽくて「え、これ意図的にやってる? わざとなんだよね?」と一縷の望みにすがるように鑑賞してましたが、まあ素で安っぽかったです……。
 また、危険がすぐそこに迫ってるというお約束のピンチ展開の時に「あなただけでも先に行って!」「あなたを置いてはいけないわ!」の繰り返しで一気にシラケてしまいました。しかもそのシラケポイントが序盤にあるのでそのあとずっとシラケを抱えながら鑑賞するハメになるという。
 また本作は、純子に取材を行った春奈が、純子から得た情報をもとに同じ手順を踏んできさらぎ駅に行くといういわゆる2周目展開なんですが、これにも違和感が。
 確かに春奈は前情報を持ってるわけですが、劇中ではさも彼女自身が1度きさらぎ駅に行ったことがあるような描写になってたのでこれにも違和感。これなら純子自身がもう1回きさらぎ駅に行くという展開でも良かったのでは。この点には情報と経験が混同されている違和感がありました。別に純子と春奈の間になんらかの結び付きがあるような描写もなかったしなあ……。
 そしてクライマックスでの大量の怪異が迫ってくるシーンも、前述の通りはっきり言って失笑してしまうレベルでショボいので見てる方はすっかりシラケてしまいました。作品をつまらないと思うパターンのひとつが「作中のキャラクターと視聴者の間の温度差が大きく開く」だと思ってるんですが、本作のクライマックスは見てるこっちはすっかり冷めてしまいました。
 で、本作のオチは「純子はかつて異世界に置いてきた明日香を救い出すために春奈を利用していた」だったんですが、これも分かりづらい。
 当初、純子は明日香を現実世界につながっているはずの光の扉の向こうへ先に逃して自分は異世界に残ったものの、現実世界に帰還できたのは自分の方だったと春奈に説明します。しかし、実際には純子が先に光の扉に入って現実世界に帰還し、明日香が置き去りになっていました。
 この点をセリフだけで説明してるのでオチが分かりづらいし盛り上がらない。
 しかし、本作でいちばんまずかったのは前述の一人称視点でしょう。
 「ハードコア」のように全編一人称視点で通すわけでもなく、視点保持者の顔が見えないことをギミックとして組み込んでいるわけでもなく、ほんとにただ単に作中の一部で一人称視点を使ってるだけになってて、一人称視点をいかにも作品の最大の魅力として強調しているにも関わらずそこに魅力がないという非常に残念な出来になってました。だいたい、今どき「一人称視点のホラー」ってだけでは別に新規性も何もないんですよね……。
 なんかマイナス点ばっかり挙げてますが、きさらぎ駅=異世界の現実世界とは明らかに違う色調や空気感には、ちゃんと異世界感がありました。
 また、本作ではエンドロール後にいわゆるCパートがあって、純子と同居している彼女の姪である凛がきさらぎ駅のことを知って興味本位で同じ手順を踏んできさらぎ駅へ……という展開が自撮り視点で描かれているんですが、もしや本作、本当にやりたかったのはこれだったのでは……。この自撮り視点でずーっと通してたらまだマシになってたんじゃないですかね……。
 
コメント
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