営業再開から一気に全速力のスケジュールを展開する我らがサンサン劇場、今日は「JUNK HEAD」「ビバリウム」の2本を見てきました。
ではさっそく感想を。
いやーもうこういうの大好き。
気色悪いクリーチャー、薄暗い世界観、キモカワイイキャラクター、魅力的ながジェットなどなど、ある特定の嗜好を持つ人にとっては性癖に刺さりまくりの一作となってます。つまりバロッカーは見ろ。
本作のノリは分かる人には分かる言い方で言うとプレステもしくはサターン初期の奇ゲー(ディスク4枚組)といった感じです。分かれ。
まずキャラデザなんですがいい感じに気色悪くて好き。
お気に入りなのはちょこちょこ歩きがキュートなドラゴンクリッターとトロちゃんです。
世界観はみんな大好きポストアポカリプスな感じなんですが、地獄の3鬼神こと3バカをはじめ、全体的なノリはけっこうすっとぼけた感じです。
そのへん、従来の世界が壊滅した後も人類や人工生命体マリガンたちはそれなりに日々の暮らしを暮らしていってるバイタリティを感じますね。
そして本作、その遠大な世界観を一人で、しかもストップモーションアニメで作っているというとんでもない作品。
パンフレットに掲載されている制作風景を見ると、セットの精巧さはもちろんのこと、そのサイズに驚かされます。
こんなに小さいセットが、本編ではとんでもない巨大感と遠大さを伴って表現されているのがすごい。
分かる人なら例外なく「BLAME!」を想起したことでしょう。
本作はどうやら3部作の最初の作品のようなので、残りもぜひ制作してほしいですね。
次、「ビバリウム」。
これも例によってサンサン劇場で上映されるということで知った作品。
怪しい不動産屋に立ち寄ったトムとジェマの二人は、案内されるままに同じデザインの住宅が立ち並ぶ街「ヨンダー」に向かいます。
しかし二人は、同じ空、同じ家が延々と続く脱出不能の空間に閉じ込められ、ダンボールで運ばれてきた赤ん坊を育てるという異常な生活を強制される、というお話。
いやーもうこういう不条理系SFスリラー大好き。清く正しいP・K・ディック系SFですね。
まず印象的だったのはジョナサン・アリス演じる不動産販売員マーティン。
もうぴったり七三分けにした髪型からパカッと口を開けた笑顔から全体的に胡散臭い。こんな胡散臭いキャラ初めて見たレベル。
そしてトムとジェマが育てることになった子供は急激に成長していき、わずか3ヶ月で10歳程度にまで成長してしまいます。
この子供がもう不気味なことこの上ない。
恐らくエフェクトを掛けてるんだと思いますが、明らかに子供の声ではない……というか、明らかに人間ではないなにかが人間のマネをしているという声でとてつもなく不気味。
今まで映画で見てきた子供の中でいちばん不気味だったかも。
脱出不能の住宅街・ヨンダーの正体は、作中では明言されないものの地球外生命体が人間を観察および利用して自分たちの幼体を育てさせるためのものなわけですが、結局作中ではその地球外生命体は直接姿を表すことはありません。
しかし、パンフレットに記載されている本作の解説を読む限り、ある側面ではヨンダーは誇張されているだけで現代社会そのもので、脱出不能の画一的な住まいが無限に並ぶ住宅街に二人を閉じ込め人間社会を侵略しようとしているのは「人間社会が自ら生み出した画一化され形骸化した幸福のイメージ」だと感じました。すでに侵略は完了しているという……。
あれです、本作はかの名作「ゼイリブ」と同系統の作品だわ。
あとパンフレットの最後に脱出不能地獄すごろくがあって笑った。
こういう作品を知ることができるのも塚口の良いところですね。