ハブ ア ナイス doi!

いつまで続くのかコロナとの戦い。
全て解放されて、もっと、もっと
心から楽しまないとねえ。

七坂、こんな坂 4

2014年03月29日 21時26分57秒 | ウォーキング

滝と舞台を眺めた後は再び清水坂に戻ります。
ここが登り口。



階段ということもあって車は通れませんが、
横にスロープが併設されています。
自転車、車いすなどはこちらを通ります。
ただし車いすでの下りは後ろ向きでないとアブナイかもね。

途中の石垣にはこんな石が埋め込まれています。



「以他力造立」

他力を以って造立したという意味ですね。
調べてみたら、浄土宗の他力本願を表す言葉だそうです。
この「他力本願」という言葉には、
「他人の力を当てにして自分は何もしない」
といったあまりよくないニュアンスも含まれていますが、
宗教用語で言えばこの場合の「他力」とは
阿弥陀如来の力を指すそうですから
この坂道(あるいは石垣)は
阿弥陀如来のお力を以って造立されたという意味なんですね。
合掌しておきましょう。

清水坂を上から見下ろすとこんな感じ。



ここをチャリンコで下るのは少し勇気がいりそうですね。
登りきったところにあった案内板は
まるで謎解きクイズのような虫食い文書。



これが解読できたらすごい。

清水坂を登りきったら次の天神坂までは
谷町筋まで出ずに、中の道を導き石に導かれて
進んでいくことができます。

立札によりますと、



天神坂は安居天神に通ずる坂道なのでそう呼ばれているようです。

そうそう、七坂の名前は、
口縄坂と最後の逢坂以外は、
坂道周辺のお寺の名前に由来しているのです。

と、その時片手を離して
携帯をいじりながら坂に突入していく一台の自転車が・・・



慣れたもんですねえ。

坂の上から見下ろすとこんな感じ。



途中には、先の玉出の滝同様に
このあたりには水の湧き出ることが多く
それらは天王寺七名水と言われており、
それを再現した施設もありました。



それにしてもこのあたりの人は「七」が好きですな。

その施設の下に天神坂の石碑が建っておりました。



そこからさらに下ると
安居神社の山門に出ます。

ここには「真田幸村陣歿の旧跡」があります。



実は先日司馬遼太郎の
「軍師二人」という本を古本屋で購入しました。
今年NHKの大河ドラマ「軍師官兵衛」を見ている
首Dさんが入院しているので、
退屈だろうから読ませてあげようと思ったのです。
(歴史好きの彼ですが、まだ読んでいない
とのことでホッとしました)

そこに、官兵衛の息子である松寿丸と
幼少の頃に一緒に剣術をたしなんでいた
後藤又兵衛の話が出てくるのです。

話の概略はこうです。

徳川に攻め込まれようとしている豊臣の内部にあって、
又兵衛と真田幸村の二人は軍師として高く評価されていました。
ある時、徳川を迎え撃つにあたって、
その二人が主張した陣立てはそれぞれ異なるものでした。

幸村は大阪で迎え撃つ説、
又兵衛は城を出て河内国府近くの小松山で迎え撃つ説でした。

二人の人気は絶大だったので、
どちらか一方の説を採用するわけにはいかず、
あろうことか軍勢を二つに分けて
城と小松山に陣立てしてしまったのです。

ただでさえ兵の多さで圧倒的に優っている徳川に対し、
軍勢を二つに割ったがために
兵力を分散するという禁忌を犯した豊臣はいくさに負けてしまいます。

いわゆる大坂夏の陣といわれる戦いです。

又兵衛は小松山で戦死し、
(実は死んでなかったという説もあります)
幸村はここ安居天神の
一本松の下で戦死します。
幸村、又兵衛ともに優れた軍師であったがゆえに
二人とも立てる案を採用せざるを得なかったことで
二人は戦死し
豊臣の敗因がそこにあったと
司馬遼太郎は書いています。

この安居天神を訪ねてみたら、
たまたま友達に読ませてあげようと思って
読んだ本の内容に関連する旧跡があったのには驚きました。

歴史の史実が思わぬところでつながったり、
こんな風に現実と関連したりすると
ハッと驚くことがあったりするのでお散歩はやめられません。

そんな安居天神を出て参道を下っていくと、
松屋町筋沿いに鳥居があります。

これがまた変わった鳥居で、
どんな鳥居分類の範疇にもおさまらない
武骨な石の鳥居でした。



さらに南下し、国道25号の交差点に出た所から
天王寺の方に向かって登って行く大きな道路が
天王寺七坂の最後の坂

「逢坂」です。





なぜ逢坂なのかは定かではないそうですが、
「逢坂の関」にちなんでいる
というのがもっともな説だと思います。

これで七坂はすべて踏破しました。
学園坂も入れて八坂もね。

では、このお散歩の最後に、
松屋町筋と25号の交差点に立つ立派な道標を紹介して





七キロ、一時間半の歩行。
折々に訪ねた神社やお寺で
友達の病状回復を祈りつつ歩いた



このシリーズ終わりです。