春になるといろいろと山菜が出てくる。
フキノトウ、ウド、ワラビなんかは
季節を味わう絶好の食材になる。
しかしこれらを手に入れようと思えば、
どうしても山や山里に行かないと採集できないが、
街中でも田んぼのあぜ道なんかを探せば
簡単に手に入る食材もある。
それが「ノビル」だ。
漢字で書くと「野蒜」となる。
ネギ属の多年草で、
こんな花が咲き、
茶色いむかごがつく。
多分春の野原やあぜ道なんかで見かけたこともあるでしょう。
子供の頃にいたずらで
このむかごで友達と頭を
コツンとやりあったりした思い出がある。
今の時期はまだ花茎も伸びていないので、
雑草に紛れてわかりにくいが、
慣れれば比較的簡単に見分けがつく。
摘むのはそんな花茎が出る前の今の時期がいい。
この植物は古い時代に作物と一緒に
日本に入ってきた史前帰化植物といわれている。
古事記でも応神天皇の歌として
「いざ子ども 野蒜摘みに 蒜摘みに」
との記載があるし、
万葉集にも登場する植物だ。
ネギ属ということもあって、
非常にネギ独特の香りが強い。
摘んでいると手ににおいがついて
なかなか取れなかったりする。
doironが採集するのは、根ごとだ。
意外に根が深いので、
やわなスコップだと曲がってしまう。
それに人里だからあぜ道でもたもたしてたら
不審がられるので、
こういう山菜採り専門のスコップ(根掘り)があれば
素早く採集出来て最適だろう。
不審がられるのならまだいい。
近所に人に見られると
「あそこのお家は、退職して
親も四人も抱えて生活苦しいんやできっと」
なんてうわさになるかもしれない。
まあ、それはそれで、
色々と野菜のおすそ分けとかあれば
ありがたいっちゃありがたいのじゃが・・・。
その自慢の根掘りはもう30年以上使っている。
すこし反ってきているのと
部分的にさびが来ているが
さして支障はない。
昔の道具はどれも頑丈にできているなあ
とつくづく感心する。
採取するときは先の写真のように
雑草に紛れているが、
根ごと掘るのであとで簡単に選別できる。
根を採るのは、この根も美味だからである。
名古屋で買ってきたこれが役に立つ。
掘った根っこを軽く水で晒してこの味噌をつけ
コリッとかじると、お酒のつまみにぴったりなのだ。
根を掘るのが大変な人は、
まず葉っぱ部分だけブチブチッとちぎってきてもいい。
細い葉っぱでも驚くべき香りを放つ。
根は先のようにして食べ、
葉っぱはいろいろと料理に使う。
どんな風に使うかというと、
それは明日に続きます。
ノビルだけに伸ばします。