新築祝いにと金木犀(キンモクセイ)の苗木を二本くれた人はもうこの世にいない。
その木は毎年、だんじりの頃に金色の花をいっぱい咲かせ、
むせるほどの香りを漂わせはじめると、
人懐っこかったその人のことがいつも偲ばれる。
その話はまた別の機会にゆずるとして、
今日はそのキンモクセイの横に植わってる柊(ヒイラギ)の話を書こう。
今年も一杯花をつけたその柊(ヒイラギ)には楽しかった思い出がいっぱい詰まってる。
ちなみに“ヒイラギ”とは、葉っぱには刺があり、
刺さるとずきずきするほど痛いという意味の
「ひいらぐ」というのを語源にしているとのこと。
そのためか、侵入者防止のために生垣に使われることが多いらしいが、
我が家では家の新築当時、
おばあちゃんの知恵袋から、ここに植えなさいというお言葉があって、
植えたのが門の横。
侵入者防止の法則に従ってるじゃん!
このヒイラギ、
今では僕の背丈よりも大きくなっているが、
植えたときは葉っぱが数枚ついてるだけで、
手のひらに乗るほどの小さな苗木だったんです。
これを手に入れたのは愛知県。
当時、野草の写真撮影に興味があって、
今から22年前、友達と愛知県豊橋市の葦毛湿原という場所に出かけたときに、
森の縁に生えていたのを頂戴したものなんです。
季節は、サギスゲやミミカキグサの花がお目当てに出かけたときなので
多分8~9月でしょう。
当時は、まだ見ぬ野草との出会いのために、
その友達とほんとに道無き道、人知れぬ山中を歩き回っていました。
長野の山中で見つけたイチヨウラン、
三重の山で見つけたフタリシズカ、
滋賀で出会ったアズマイチゲ、
そして葦毛湿原では、氷河時代の名残といわれるサギスゲ。
そんないろんな思い出の一つひとつがそのヒイラギには詰まってるんだなあ。
実はそのヒイラギなんですがね、
ものの本によりますと、
老木になると葉っぱの刺が無くなって丸くなるとか。
人間と一緒ですね。
果たして我が家のヒイラギの
葉っぱが丸くなるのはいつ頃なのか。
生きてるうちに見届けることができるのかなあ。
PS 植物、とりわけ樹木の最期ってどうなんでしょう。
ひでりの年に水不足で立ち枯れた植物とか、
松くい虫にやられて枯れた松とかは良く見るのですが
(事実、緑道の入り口にあった柑橘系の木が
昨年水不足で立ち枯れたのをご存知でしょうか)、
寿命のため倒れた木というのは見た記憶が無い。
我が家のヒイラギ、生まれた年ははっきりしているから、
大事に育てて寿命を確かめるよう、
代々言い伝えておこうかな(^^;)