かっこうのつれづれ

麗夢同盟橿原支部の日記。日々の雑事や思いを並べる極私的テキスト

新刊求めてあちこち探し回りました。

2006-12-22 23:59:42 | マリア様がみてる
 今日は昼からとある街中でとある講演会があって出かけました。が、もちろん関心は講演会の内容よりも、いつ、どこで「マリみて」新刊を入手するか(笑)。まず最寄り駅構内に有る本屋さんに寄ってみて、収穫無し。まあここは期待していなかったのでさっさとあきらめて電車に乗り、会場至近の駅で降りて、お昼の食事どころを探しつつ、見かけた駅前の書店に入ってみて、また収穫無し。一応既刊は置いてあったので扱ってないわけでもないのですが、なぜか新刊の姿はありません。うーむ、ひょっとしてひょっとすると新刊発売日を勘違いしていたのか? と軽い疑心暗鬼に囚われながらもとりあえず会場に向かったのですが、もう到着というところで少し早く着きすぎたのを言い訳にして、更に離れたところにある少し大きな書店を目指すことに。食後の散歩も兼ねた新刊を求めての行脚でした。で、結局首尾よくその書店で入手できました。まだ書棚に並べている最中のようで、無造作に積み上げてあった山から勝手に抜き取り、レジまで持って行きました。してみると、見当たらなかった2つの本屋さんも、実はまだ入れ替えが済んで無かっただけだったのかもしれません。尋ねれば奥から出てきたのかもしれませんが、さすがにわざわざ聞くというのもはばかられる気がしますし、何よりそのときはそんなこと思いつきもしませんでしたから、まあしょうがないでしょう。
 その後、わき目も振らずに歩いて、時間ぎりぎりに会場まで戻ってきましたけど、なぜか歩くのが気持ちよくて、そのまましばらく歩いていたいと思いました。ちょっと体調がいまひとつで、どちらかというと気分はそう良くも無かったのに、不思議なことです。ジョギングで気分が高揚する「ランナーズ・ハイ」という現象がありますが、それと似たような気持ちのよさだったような気がします。特に早く歩いているわけでも、一心不乱に運動しているわけでもないのですが、これもひょっとして「マリみて」効果なのでしょうか?
 無事手に入れてしまって満足したのか、読んだのは講演も終わって帰宅してからでしたが、いつものように一息で読んでしまいました。ネタばれの感想は例によって来週にでも書こうと思いますが、とりあえずの一言として、「ちょっと唐突? でもまあ面白かった、次が楽しみだ」と記録しておきましょう。また明日から何度か読み返すことになるでしょうけど、その中で一回読んだだけでは見えなかった部分も見えてくるでしょうし、何より謎解きが一つありますし、これまでのペースを思えばおそらく来年3月ごろになるんじゃなかろうか、という次巻までに楽しみは持続できそうです。

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「マリみて」新刊を前に、これまでのおさらいをしてみました。

2006-12-21 23:43:55 | マリア様がみてる
 スパムトラックバック、ヒトがせっかく対応したらこのところまったく来なくなりました。目ざとく見分けるすべでも持っているのでしょうか? 毎日チェックして削除しないといけないだろう、と思っていただけに、少々拍子抜けです。だからといって大量に来てもらってもやっぱり困るのですが。
 困るといえば相変わらずPCの不安定さには泣かされます。といっても今日のそれは職場でのこと。エクセルで実験データの集計をしていたら、統計用の関数を呼び出したところで突然異常終了してくれました。打ち込んだデータは保存してあるので最悪の事態は避けられたのですが、データを見やすくするためにいろいろいじくっていた分はすっきり消えてなくなりました。せっかく面白い数字が並んでいて更にこれから楽しめそうだったのに、ざっと30分ばかりの努力がほんの一瞬で無に帰するのですから難儀なことです。これで打ち込んだデータまで消えれば1時間以上が無駄になるところで、こういう馬鹿馬鹿しい時間の浪費が生産性を著しく阻害しているように思えてなりません。もっと機能限定の、たとえば表計算なら電卓に毛の生えた程度で十分なので、「落ちない固まらない」ソフトの開発をやってくれるところはどこかにないものでしょうか?

 と一通り嘆いてみたところで嫌なことはすっぱり忘れ、明日のお楽しみを心待ちにしつつ、少し過去を振り返ってみました。「マリみて」を「無印」から「大きな扉 小さな鍵」までを一息に読みふけったのです。といってももちろん一日でじゃなくて、この1ヶ月ほどの間、明日に間に合わすために少しずつ読みつけていたのです。この間、いろいろと他の本にも浮気しつつ続けた通読が、ようやく終わりました。
 というのも、その前に読んだ池波正太郎の「剣客商売」の巻末解説に、「これまでの話をおさらいのつもりで再読するといいかもしれない」と書いてあったのに触発されたのがきっかけで、どうせなら新刊が出るまでに一つ「おさらい」してみよう、と思い立った次第。もちろんどの本も複数回読み込んではいるのですが、通読することで見えてくるものもあるみたいで、それはそれで結構楽しめました。
 その中でも、一番楽しめるのは、祐巳の成長の軌跡がはっきりと見えてくることでしょうか。ただただ周囲に翻弄されていた最初期の状態から、自己を確立し、周囲にただならぬ影響力を行使していく最近の姿まで、一冊一冊で見られる変化は少しずつなのに、一通り目を通すと確かに確実な成長の跡がうかがえるのがすばらしいですね。たとえば「妹オーディション」を初めて読んだときは急に祐巳が一足飛びに進化したみたいに見えたのですが、通しで読むとそれほど違和感もなくすんなり通過できました。「大きな扉 小さな鍵」における周囲の人物視点からなるすっかり大人びた祐巳像も、なるほど、と納得できる気がいたします。
 あと、すっかり忘れていたことを思い出せたのも収穫でしょう。たとえば「薔薇のミルフィーユ」で柏木優に言われた「もっと上のステージを目指せよ」で止まっている祐巳ー祥子の関係。最近の瞳子関係の話題で頭から抜けておりましたが、これ、作者は一体どうする積もりでいらっしゃるのでしょう? このまま祥子が卒業してしまったらどうこうすることもできないまま結局忘れられちゃったりするんではないか、と今更ながら思えてきた次第。何とかそれなりにけりをつけて欲しいですけど、果たしてどうにかなるものでしょうか。
 明日の新刊を見ないとなんとも言いかねるところではありますが、これまでの流れをずっと見てきて、「大きな扉 小さな鍵」で、主役が祐巳から乃梨子にバトンタッチされたのかも? とも感じました。私は見たこと無いので詳しくは知りませんが、もともと「マリみて」の始めは乃梨子からだったそうですし、そういう意味ではようやく最初に戻ってきた、ということになるのかもしれません。まあ何はともあれ、前回の感想でやった占いの結果も出るわけですし、いろいろな意味で明日が来るのが待ち遠しい、ということですね。

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「マリア様がみてる」最新刊「大きな扉 小さな鍵」の感想など。

2006-10-10 22:58:55 | マリア様がみてる
「マリア様がみてる」最新刊「大きな扉 小さな鍵」、発売から今日で1週間経ちましたので、ぼちぼちネタばれ感想など書いてみようかと思います。

 さて、タイトルからして、かたくなな瞳子の「天の岩戸開き」を髣髴させるもので、更に「瞳子の秘密が明かされる?!」との刺激的な帯。これだけ揃ったら祐巳と瞳子の関係がどう動くのかと、期待せざるを得ません。でも、本を開いて一番驚いたのが、冒頭の人物紹介で細川可南子が復活していることでした。実のところ、今回の出番はたった1ページ。少なくとも、「未来の白地図」で瞳子を拉致したときの方がよほど活躍していたようにも思えるのですが、1年椿組で孤立した瞳子に対してさりげなく好意を示す場面は、充分存在感のあるシーンだとは思いました。とはいえさすがにこれだけのために人物紹介が復活しているはずもないでしょうから、これはきっと次巻以降の大活躍が約束されているためなのか。いろいろと妄想たくましくするに足る復活劇でしたが、まさか編集で昔の絵がそのまま紛れ込んだとか言うような笑い話だったりしないか、とそれはそれで不安だったりもします。
 今回は「キーホルダー」と「ハートの鍵穴」の2つの中編。前の方は乃梨子、祥子、由乃、それぞれの視点からの祐巳像語り。後編は瞳子視点で物語が一気に加速する話。
 それぞれ読み進めるうちに違和感というか、今までと何か違う不穏な気配を頻々と感じました。それは、作者あとがきにもある通り、全体を通じて祐巳視点の話が皆無だったということで理解されるわけですが、それを加味しても、違和感をすべて納得することができませんでした。でも、何度か読み返しているうちに、それが語り手達によって描かれた祐巳の印象によるものだと理解されました。乃梨子、祥子、由乃、瞳子、間接的ではありますが柏木優の祐巳観も、中に加えても良いでしょう。それぞれに語られる祐巳の姿は、これまで慣れ親しんだ祐巳視点による自画像とはかけ離れた、大人びたミステリアスな存在なのです。それは、祥子が下校途中を記憶にとどめないほど祐巳の事ばかり考え込んでいたり、由乃が「一人で大人にならないで」と祐巳に懇願したり、乃梨子が祐巳に頼りきりだったり、瞳子が反発しつつもその言葉に従ってしまっていたりするなど、本の随所に現れます。一方、由乃が相変わらずのわがままぶり、志摩子まで公務よりも私欲を優先させたいつにないかわいらしさをかもし出している上、祐巳視点からは相当大人びて見える乃梨子まで、まだまだ年相応のゆれ具合を示してくれますし、祐巳の描かれようからすればずいぶんと大きな差が見られ、作者がそれぞれのキャラにあわせて書き分けている過程がなかなかに興味深く読めました。
 ところでもう一つ、注目したのは、瞳子視点の時、瞳子の心の声では、既に乃梨子の事を呼び捨てにしている事。可南子はさん付けなので、明らかに扱いが違います。いつの間にそういう心境に至ったんでしょうね。
 さて、もう既に一部のサイトで言及されているみたいに、今回は残念ながら二人の契りはなかったわけですが、それで幻滅したかというと全くそんなことはなく、十分にそれぞれの語りを堪能いたしました。
 そしてラスト、それまでほとんどばればれながら本文中では抑えられていた、瞳子出生の秘密。それが本人の口から暴露され、そのために自分が祐巳に哀れまれているに違いないという思い込みが大きな誤解にすぎなかったことが判明するくだり。そして追い詰められてしまった瞳子に差し伸べられた、乃梨子という唯一の希望。一歩間違えればあざとさばかり目立ちかねない王道的展開も、ちゃんとカタルシスを味わえる感動のラストに仕上がっております、といっても、「マリみて」好きな私のめがねが曇っている可能性も無きにしも非ずですが。
 ともかく次巻で展開されるに違いないバレンタインデーの宝探しへの伏線もちゃんと張って、次の本までわくわく感を維持しつつ待つことができそうです。・・・それにしても、紅薔薇は白薔薇に助けられる運命にあるんでしょうかね。

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「マリみて」新刊読後感は、とりあえず大満足でありました。

2006-10-03 22:04:24 | マリア様がみてる
 「マリみて」新刊「大きな扉 小さな鍵」、早速帰宅時に本屋さんへ寄り道して、買って参りました。帯には「瞳子の秘密が明かされる?!」となかなか刺激的なコピー。一体どういう話になるだろうかと期待しながらまずはざっと一息に読んでみました。読後感は大満足! です。詳しい感想はまた1週間ほどおいてから書く事にいたしますが、早くも次への期待が大きく膨らんでおります。今のところ3ヶ月おきというハイペースで新刊が上梓されていますけど、おそらく作者も乗りに乗っているのでしょうね。自分の小説を書いている気分からすると、もう次の本を3日くらいで一気に書き上げてしまいたくなるほど、クライマックスな展開です。多分また3ヶ月後には新刊が出る事でしょう。それでも年内は厳しいでしょうから、やはり次は年明け早々でしょうか。
 ところで今回、今までの「マリみて」と雰囲気が違います。作者もあとがきに書いていますように、それ相応の理由があるようですが、どうもそれだけではないような気がしてなりません。ただいま1回読み切った後その点を確認するために読み返ししているところですが、何となく「なるほど」と見えてきた気がします。とりあえずそんなこんなで今週いっぱいは楽しめそうです。
 
 月末の名古屋イベント向けの印刷も、ぼつぼつ順調に進んでいます。新刊なしだと本当に気が楽でいいですね。既に色々微調整も済んだ原稿なので、とにかくひたすら印刷するだけでいいんですから。紙切れとインク切れだけ注意していれば、自動両面印刷でほっといても原稿が出来てくるというのは、ありがたいモノです。でも、来年の大阪のイベントには、出来たら何か新しいモノを用意したいと思うので、そろそろその辺も考えないといけません。ちょっと時間を取ってじっくり企画を練りたいところなのですが、なかなか思うようにならないのが少々困ったところではあります。まあDVDが入手できたらもうそれだけで一気に火がついたりするかも知れませんので、今は焦らずじっくり思いつきをいくつか煮込んでダシを取っていきたい、という感じな毎日です。

 
 
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マリみて新刊情報で期待のふくらむ秋。

2006-09-04 21:10:20 | マリア様がみてる
 おお、久々に見る顔が新聞の一面を飾っておりますね。でも、正直一企業の元社長さんの裁判が始まった、というだけの記事が、夕刊一面トップの3分の2をしめる必要があったのかどうか、どう考えても理解に苦しみます。日は違いますけど、この間のムンクの「叫び」「マドンナ」発見さる! というニュースがどうして一面トップを飾らないのか、とか思いますと、私と日本の新聞とは随分興味のベクトルがずれていることを感じます。9月2日には終戦記念日特集しませんし、時折自分の方がおかしいのか?と思ったり致しますが、仮におかしいとしても「だからどうした?」という感じなので、別に構わないのです。ただ、私としてはどうしてこの元社長がそんなにみんな気になるのか、が理解できないだけで。
 
 と思うと、新聞の最終ページには同じく3分の2くらいの面積を取って、どうも訳のわからないカルト宗教っぽいアニメーション映画の宣伝が。思わず吹き出してしまいました。よくぞここまで堂々と、不思議時空な話を大まじめに語られること。どこまでスバラシイお話を拝聴できるのか、かえって興味が湧いてきそうなくらい、力が入っているようです。

 ところで、そろそろかな? と思いましてコバルト文庫公式ページを見に行きましたら、ちゃんと出ておりました。マリみて新刊、10月3日だそうですね。副題は「大きな扉 小さな鍵」。瞳子のたてこもった天の岩戸を開ける鍵を、ついに祐巳が手にするという事なのでしょうか? いい加減DVDも出るのでしょうし、そろそろ何とかして欲しいところですが、この題には、ここまで膠着状態だった祐巳と瞳子の物語が、いよいよ動き出しそうな期待がふくらみます。
 私の個人的な想像では、決着は早くても来年春過ぎ、次の次の次、位になるのでは無かろうか? と思っていたりしてますが、ちなみに易の卦をたててみると(一体何やっているんだか(汗))、10月新刊で祐巳ー瞳子が姉妹になるというのは山天大畜初六、という事で100%なし。年明けの新刊でスール成立は、天火同人六二、で、ほぼ確実になりそう、と出ました。これからしたらこの問題は来年早々の冬解決、という事になりますが、はたしてどうなるでしょう? まあどう転ぼうと楽しみなことには違いありませんので、ゆっくり後一月足らずを待っていようと思います。

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新刊「仮面のアクトレス」感想

2006-07-07 23:02:38 | マリア様がみてる
 マリみて新刊発売から1週間。そろそろ解禁しても良いかな? というわけで、感想を一つしたためておこうと思います。
ネタバレ注意という奴で行きますので、まだ読まれてない方は注意して下さい。

それでは行きます。

「仮面のアクトレス」、OVAに備えてのてこ入れなのか、異様に早い気がした新刊発売でしたが、このペースで次はちゃんと秋に出るのでしょうか? 早くも次が気になる展開なのですが、それにしてもなかなか引っ張ってくれます。この調子だと、今年中に祐巳と瞳子の関係が解決する事はなさそうな感じですね。

 といって停滞しているわけではなく、いくつかの伏線が用意されているみたいで、将来すべてが解決した後に全体を通して読めば、なるほど、と頷かせてくれるような展開になっていって欲しいと思います。まあそのとき祐巳ー瞳子関係だけで何冊読み返したらいいか、ちょっと考えただけでくらっときそうですが。

 さて、お話は2部、いえ、ラストの小品も入れたら3部立てですね。由乃、自転車に乗る、から、令と菜々の剣道勝負を通じて令と由乃の相互依存関係の昇華を語る「黄薔薇、真剣勝負」。由乃の強気や臆病さ、不安などが描き出され、ヘタレからすっかり脱皮した令のかっこうよさが際だつ話になっています。でも、菜々が剣道それほど強いわけではなかったのが少し以外でした。まあ順当に年の差を考えたら令の方が強くて当たり前かも、と思わないでもないわけですが、有馬道場の跡取り、という設定に由乃同様幻惑されていたようです。
 本の表題にもなっている「仮面のアクトレス」は、全体の6割以上を占めるメインコンテンツで、今回も平穏無事には済まない生徒会役員選挙を縦軸に、祐巳と瞳子の関係、というより、主に瞳子側の事情を外側から見た長編。瞳子の母がそれと気づかないまま祐巳と出会ったり、瞳子が母のことを本当に大事に思っている事がさりげなく描かれたり、と、今後の進展のためのキーが振りまかれたような話でした。でも、今回の見所は、祐巳や由乃を手の上で転がす志摩子の薔薇様ぶりや、瞳子の親友として、また志摩子の妹としての乃梨子のがんばりぶりでしょうか。
 ラスト、わずか9ページの小品「素顔のひととき」は、妹離れに一応のケリを付けた令と、未だそこまでに至らない祐巳べったりの祥子とのお茶の時間。本当に短い話ですが、二人の親友ぶりとのどかな時間の流れが印象的な佳作だと思いました。
 
 総じてまずまずの面白さだったのではないか、と思われる一冊。さすがにもう待つのも慣れましたので、この際とことんまでやって頂きたいものです。

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マリア様がみてる「くもりガラスの向こう側」ネタばれ感想です。

2006-04-09 22:16:38 | マリア様がみてる
 今日の更新は結局トップ絵を換えただけになってしまいました。「死神博士は何博士?」というお題の「かっこうのたわごと」は、まだ現段階は資料集めの状況で、まとめるにはもう少し時間がかかりそうです。もっとも、何博士かは既に頭の中で決めているので、調べがついたところで一気に書ききるつもりでおります。何とか今週中に片づけられたらいいんですが、はたしていかが相成りますことやら。

 さて、長々と引っ張ってきた感がございますが、発売から10日ほど経ちましたから、いい加減ネタばれも解禁と言っていいでしょう。というわけで、マリみて新刊「くもりガラスの向こう側」の感想を今日のお題にしてみたいと思います。
 今回のお話は、前作「未来の白地図」の続きも続き、実に「白地図」のラストシーンから始まっておりました。刊行前は、題からしてもなんとなく今度こそ祐巳と瞳子の関係に進展があるか、と言う期待がありました。もやもやした今の状況を突破してくれるんじゃないか、と思ったわけですが、結局今回もそれはかなわずじまいだったのは、マリみてファンならすでに周知の通りです。私はといいますと、表紙が公開された時点で「ああ、これはないな」とあきらめました。祐巳と祥子だけで瞳子が出ていないのですから。これで本文が祐巳と瞳子のオンパレードだった日には詐欺同然だったでしょうけど、これまで「マリみて」で表紙と内容が著しく食い違うことは無かったですし、決着は多分夏か、あるいは秋まで持ち越しだろうと踏ん切りを付けたのです。これで祥子が祐巳に「妹を作れ」とのたまってから5巻。人気作の引き延ばしはこの出版社の常套手段ではありますが、さすがに期待して待つのはそろそろ限界ですね。できれば次こそすっきりケリを付けて、新たな展開につないで欲しいものです。

 といいつつも、今回不満たらたらな内容だったかというと、私個人としてはけしてそんなことはありませんでした。むしろスール・オーディション以来久々に手放しで楽しかったと言えるのではないか、と思っている次第です。それはまずカバーのあらすじにあった、「……祥子について衝撃の事実が明らかになり…?!」という文章で「なになに?」と目を見張り、ついにネットでまことしやかに言われていたような「祥子不治の病説」でも本編で飛び出すのか、と疑ったところから始まり、それが実は祥子と優の婚約解消とわかるところ、更に祐巳が優の家の前までいって、瞳子の秘密について聞き出すのを断念する場面まで、純粋に楽しめたと思います。
 特に、小笠原邸新年会を中心に端々で描かかれる祐巳と祥子の甘々な交流、「永遠のお嬢様」清子小母様の浮世離れした魅力が存分に引き出され、ほほえましい限りの一遍だったと思います。邸宅全体を使った双六という発想も楽しいですし、それぞれの部屋に「ミジンコの間」とか「フリソデウオの間」とか適当もいいところな名前を付けて入り口に張り紙したり、それぞれの部屋に指令を書き付けておいたり、その指令遂行に必要なものを準備したり。あの食事を作らせたらとんでもないことになる「お嬢様」が、一体どうやってあれだけの準備を娘に悟らせることなく成し遂げたのでしょう? もう含み笑いを押し殺しつつ、ただ嬉々として準備にいそしむ姿が想像されて、本当に楽しかったです。それにしても改めて思いますに、アニメの方はこの年齢不詳といってもいいような気がする「お嬢様」ぶりをちゃんと描けておりませんね。マリみて世界では1,2を争う位楽しいキャラだと私は思うのですが、新作では少しは改善されるでしょうか? 

 さて、続刊に期待する上で今回伏線になっているのかな? と妄想をたくましくしておりますのが、ラスト近く、優のところに行くために家を出る寸前、祐巳の足を止めた回覧板。ピッキング被害が多く出ている、という話は、ここだけですとあろうが無かろうがどうでもいい、単なる無駄話に過ぎないくだりです。従って、何らかの形で祐巳と瞳子の間を取り持つ事件として、次の巻でこれが活かされるのではないか、と期待しているのです。そして、はじめの方で弟の祐麒に連れられて詣でたお稲荷さんへ、祐巳と瞳子がお礼参りに上がるようなまとめをしてもらえたら私としては大満足と言うところなのですが、はたして3ヶ月先にはその結果が出てくれるでしょうか?

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新刊はとりあえず感想一言だけで。

2006-04-01 23:34:52 | マリア様がみてる
 月も改まったので、いつまでも冬の装いもどうかと思いまして、テンプレートを変えてみました。手軽にささっと雰囲気を変えられるのはブログの一つの魅力といえますね。この際もう少しまめに見栄えも改めるようにしてみるのもよいかも、と思っております。
 
 さて、マリア様がみてる新刊「くもりガラスの向こう側」は、発売日の昨日にちゃんと購入し、現在1回半、読んでいます。ネタばれになるのは申し訳ないので詳しくは書きませんが、簡単に述べるなら、十分楽しかった、次が待ち遠しい、というところです。色々つもる話もあるでしょうが、それとは別にこういう甘々な展開は気楽に楽しめます。で、詳しいレビューは、1週間後くらいをめどに、3回は読み返してから書こうと思います。現在同時並行的にマリみて含めて3冊読んでいるところなので、読み返すだけで多分それくらいかかってしまうと思われます。何せそれぞれ結構面白かったりするもので、マリみてだけ重点的に読みふける、というわけにもいかないのです。それらのレビューもできれば後ほど、やりたいですね。
 ところで、これまでずっとマリア様がみてるを読んできて思っていたのですが、リリアン女学園のスール制度って、本当に機能するのでしょうか。もちろん架空のお話にそんな事をとやかく言うのは全く持って野暮でしかないとは思うのですが、私もアマチュアとはいえお話作りの端くれとして、このような人気作品の根幹をなす設定に生じた疑問については、無視していることもできないのです。
 スール制度は、元々は「姉が妹を導くように先輩が後輩の面倒を見る」という学園の教育方針から始まり、いつしか普通の先輩後輩関係をこえた、より強固な個人的関係を自発的に結ぶようになって生まれてきた、と言う設定になっています。姉妹の契りにロザリオの授受を行うというような儀式もあって、その関係はまさに夫婦に匹敵する神聖なる結びつきだと言うことです。
 ここで疑問が生じたのは、こういう人間関係というのは基本的に1対1が原則であり、一人が複数の姉妹関係を結ぶのは不可能なのではないか、と言うことです。つまり、2年生が3年生の姉と1年生の妹を持つというのは、2年生を挟んで文字通りの三角関係が生じてしまいます。作中でも黄薔薇姉妹のように、江利子と由乃が令を挟んで衝突してますけど、普通に考えれば大なり小なりその種の衝突は避けて通れないものと思われます。ところが、紅薔薇姉妹の蓉子、祥子、祐巳にその種の軋轢はなく、先々代の紅薔薇様と蓉子、祥子、あるいは先々代黄薔薇様と江利子、令にも、特にそんな様子はうかがえません。このあたりも、先々代、あるいは先代山百合会幹部が、とても高校生とは思えない印象を持たせている一因になっているんじゃないかと思えます。
 今、マリみての話題の焦点は祐巳の妹問題に絞られている感があり、その問題が出てから結果が出るまで随分我々読者は待たされているわけですが、祥子の祐巳への溺愛ぶりや祐巳の比較的高校生相応と思われる設定を考えると、何らかの形で祥子と祐巳の関係にけりがつかないと、到底祐巳の妹問題が片づくとは思えなくなるのです。
 作品を見ても、3代姉妹揃ってお話が紡ぎ出されていたのはマリみての初期、先代薔薇様が卒業するまでだけで、それ以後は基本的に3代揃ってという描写はなくなります。薔薇様並に出てくる機会が多い新聞部姉妹も、三奈子、真美、日出実でやろうと思えばできるのに、作中で揃い踏みした事がありません。関係が複雑になって格段に描くのが難しくなるためだと思うのですが、そんなことを思うに付け、ブウトンが妹を作って将来の幹部候補生にする、という山百合会のシステムは、到底機能し得ないのではないか、と思わざるを得ないのです。
 できれば作者に奮起して頂いて、初期の頃のように3代そろい踏みが問題なく機能しているところを描いて頂きたい(あるいはちょっと軋轢があって火花飛び交うような同人的展開によくあるパターンでも大歓迎ですが)と思います。あと、少しくらい次の巻の発売まで間があってもいいですから、粗製濫造にならないようにとだけは、ファンとして切に願いたいです。

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今更ながら新刊感想文「未来の白地図」

2006-01-08 22:35:30 | マリア様がみてる
 あんまり早く書くとネタばれになってしまいそうですし、他に日記に書きたくなるようなネタが無い日に取り上げようかと思っていたのですが、そうしていると思っていたよりずっと時間がたってしまいました。今日は、北朝鮮の拉致事件を巡る官房長官の発言とか日航の整備ミスとか秋田県の雪害陸自出動要請とか色々取り上げてみたい話題もありますが、この辺で書いておかないと々も気になってしょうがないので、忘れない内に書いておきます。
 
 さてこの本、もちろん発売日当日にしっかり購入してその日の内に読み切ってしまったのですが、読後感を一言であらわすと、

「?」

でした。
自分は何か読み方を間違えたのかしらん? と早速読み返すこと2回、都合3回立て続けに読んだのですが、やっぱり最初感じた違和感というか、妙に割り切れない不満くすぶり状態が解けませんでした。
 巷間随分指摘もあってSSネタにもされている誤植が気に障ったわけではないのです。そんなもの、このシリーズではある意味付き物ですし、文章がまるっきりおかしいというならともかく、漢字の間違いくらいで意味が分からなくなる訳でもありません。もっとも、幾ら安い文庫だからって編集担当は手抜きしすぎだとは思いましたが・・・。

 それよりもこの違和感は何なのか、とつらつら考えてみるに、一つは可南子と瞳子の仲がいきなり親密になっている事。「あの」瞳子が振りきれないほど可南子が瞳子の心を掴みきっているのが実に不思議でした。前々巻の「スール・オーディション」でさらっと現れた以外は、本巻の柏木のセリフで推測できるのみ。そのうち事情説明のための短編か何か出てくるのかも知れませんけど、今の段階であの関係を脳内補完で理解しろと言われても、どうにも受け容れがたいものがあります。

 とはいえ、これはお話その物を左右するほどの違和感ではありません。むしろ違和感大きかったのが、瞳子に対する、祐巳突然の妹申し込みでした。いえ、妹申し込みが悪い訳じゃないのです。そして、瞳子がお断りしたことも悪くないのです。これは拍手喝采を送りたい待望のシーンだったのですが、ここでの祐巳の行動があまりに刹那的というか、唐突すぎて、一体祐巳の心のどんな動きがあの行動を起こしたのか、がどうにも私には理解できかねたのです。せっかくここまで読者を焦らして来たというのに、その大事な場面がすとん、と拍子抜けしてしまったみたいに感じたのでした。冒頭で家出した瞳子が祐巳の家に「避難」した所や祐巳の部屋に行くことを拒絶したシーン、あまりに鈍感な祐巳に苛立つ乃梨子を叱る志摩子のお姉さまぶりなどは読んでいて大変面白かっただけに、少し引っかかりが強く意識されてしまいます。

 とまれ、瞳子家出の原因もまだ判りませんし、前作でも本作でも披露された柏木の意味深な話など、まだ明かされない謎が多々ある中、次はそのあたりも整理しつつ晴れて瞳子が祐巳の妹に納まって、すっきりした読後感のある話になってくれることを期待いたします。

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新刊感想(ネタばれ注意!)

2005-07-08 23:55:07 | マリア様がみてる
今日は夏コミに関してかなりうれしい話が舞い込んで参りました。
いずれ公表したいと思いますが、おかげで今年の夏は例年以上に楽しいことになりそうです。

さて、新刊発売から1週間を経過いたしましたので、そろそろネタばれこみの「マリみて」新刊「薔薇のミルフィーユ」の感想を行きたいと思います。
まだ読んでおられない方でネタばれは困るという方は、この先お読みにならないよう、ご注意願います。


さて、今回は黄、白、紅の順で3編の短編を集めた内容になりました。
さすがにこれでは「妹オーディション」の続きとは行かないだろうことは予測しておりましたが、
ひょっとしてこの構成は「レイニーブルー」の再来? と思ったりもしながら、もしあの時のような次作を待て! 的な引きだったらどうしようとドキドキしながら読みました。「レイニー」の時は、私は比較的新しい信者だったせいもあって、すでに「パラソルをさして」が発売されており、うまい具合に2冊とも同時に購入していましたので、続きが気になって日夜身悶えるという苦行をやらずに済んだのですが、今回とうとうその荒行に耐えねばならぬのか、と身構えていたのです。
結果的に、ほぼ完全に前作の続きといった視点は無く、「レイニー」止めの恐怖は覚えずに済みましたが、祐巳の妹問題は結局次まで待たねばならないと言う点では何ら変わらないのです。そう言うわけで、今回は純粋に幕間の寸劇を楽しむ、という姿勢で読みました。
 まず1編目「黄薔薇パニック」。菜々との逢い引きで頭が一杯だった由乃が令の見合い話を聞き逃し、当日になって気が付いて、奈々と共に令を追いかけるというお話。妹オーディションで鮮烈なデビューを飾った有馬菜々の性格が明らかにされるという好編でした。というか、この子、そのまんま鳥井江利子様ではないですか。如才ない社交性と機転のきく立ち居振る舞い。そしてなにより、面白いことに目がない旺盛な冒険心。家族構成も兄ではないですが、3人の姉持ち。由乃を面白がる所といい、きっと、1年生の時の江利子様もこんな女の子だったのでは? とついつい想像しながら読んでしまいました。いつも先頭切って突っ走る由乃さんが、今回ばかりは終始菜々に主導権を取られっぱなしと言うのも、新鮮でよかったです。ところで令ちゃん好きの少年は今後話に絡んでくるのでしょうか?
2編目、「白薔薇の物思い」。妹問題で大変な由乃や祐巳にくらべ、安泰すぎて平和ぼけになっているのではないか、と物思いに沈む志摩子を巡り、右往左往する乃梨子達の物語。聖様と乃梨子の初対面や、初登場志摩子の兄、その兄によって明らかにされる志摩子の変化など、それなりに見所のあるお話でしたが、他2編と比べると少しとってつけたような感がなきにしもあらず? ラストの志摩子さんの壊れっぷりがなかなか興味深いところで、々表現されるのか、是非アニメで見てみたいと思いました。
3編目「紅薔薇のため息」。突然祐巳との遊園地行きを決めた祥子、喜びつつもちょっとブルーな祐巳、遊園地でつかず離れず二人のデートにつきまとう柏木優とその子分祐麒。遊園地で貧血を起こした祥子を巡り、柏木と祐巳がサシで対決! 柏木の隠された真意の一端が、今明かされる!
なお話。そう来ましたか、という感じで読みふけりました。ちょっと無印「マリみて」の内容からすると柏木の様子が「?」な感じもありましたが、まあまあ私にとっては許容範囲かな?というレベルでした。それより気になるのが、柏木が暗示した祐巳にとってのラスボス。多分祥子のおじいさまではないか、と思うのですが、未だ一回も姿を見せない相手では、本当に推測の域を出ません。今後の展開やいかに? と言うところです。

さて、今回3編ともいつもの「マリみて」とは随分毛色が違うように感じました。その原因を考えていたのですが、一番はやはり舞台の大半が「リリアン女学園」の外で展開されたことにあるのではないかと思います。もう一つは、新キャラが話の根幹に関わっていたり、柏木などもう明らかに添え物から重要人物に昇格していたり、と、今までの「マリみて」世界認識を新たにするような展開が多々見られたと言う点も大きいでしょう。新キャラは今後の展開を広げるにはもっとも都合のよい存在ですが、今後も黄薔薇姉妹に密接に関わるに違いない菜々はともかく、志摩子のお兄さんははたして今後もお話に絡んでくるかどうか、ちょっと疑問です。白薔薇のお話が今ひとつに感じられたのは、このお兄さんの魅力がいまいち良く判らない所にあるのでしょう。引き替え紅薔薇編は祥子様のはじけぶりも驚きなら、柏木の豹変もなかなかたまげるものがありました。どこかの感想で、実は祥子様は不治の病を患っているのではないか? という穿った見方がありましたが、ひょっとしたらひょっとするかも? と思わせるほどの明るさが、今後気になるところです。
 と言うわけで、祐巳の妹問題は次巻以降に棚上げ。ですが個人的には充分楽しめる一冊でした。
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素晴らしき二次創作の世界に浸りきり。

2005-05-05 23:58:02 | マリア様がみてる
 昨日に引き続いてのお休み。何か創作活動でもすれば有意義な時間を過ごせるんでしょうが、私は、やっぱり「暇」だと駄目なんです。ただひたすらぐうたらに、流れ行く時に身を任せて時間を浪費するばかり。ちょっと次のCGの下描きしたり、絵の練習したりはしましたけど、ほとんど手慰み程度。本当は夏コミの作品をそろそろ起稿してもいいはずなんですが、ナマケモノモードに完全に浸りきった今の私では、ろくなモノにならないことは分かり切っています。
 で、しょうがないので(笑)何をしているかというと、WEB上で上手な作家さんを捜してひたすら読みふけること。今は「マリみて」が嗜好の大半を占めていますので、気に入った作家さんのリンクを辿ったりしてるんですが、いや、なかなかどうしてプロ顔負けと驚嘆させられるレベルの作品の多いこと! 原作の登場人物設定や雰囲気を完璧に自家薬籠中に納め、それでいてオリジナル性の高い内容を見事な筆致で描き切る。まさに二次創作同人の醍醐味が溢れる作品達が、ネットにはゴロゴロしているのです。もちろん中には趣向が合わないものもありますが、ドンぴしゃ! な内容を見つけると、本当に金鉱を掘り当てたような幸せ気分いっぱいな一時を過ごすことができます。本当に、これははまりますよ。大半はショートショートと言える小品で、内容は、コメディ、ギャグ、シリアスと千差万別ですが、それがまた目先が変わって飽きが来なくていいんです。自分にはSS小説書けるほど切れ味鋭い筆が備わっていないせいか、こういう小説群をみると本当にうれしくなります。これからも折を見て「発掘」にはげみたいですね。
 私は、かつて、二次創作はいくら書いてみたところで所詮誰かに認めてもらえるわけでもなく、自己満足の世界でしかないと思っておりました。初めから原作の設定や魅力に乗っかっているような、創作としてはちょっとずるいところもありますし。それに二十年前、私が曲がりなりにも創作活動らしきモノを始めた頃、創作と言えばオリジナル、誰かに認めてもらうには、文学賞などに投稿して当選するしかない、という時代でした。二次創作の発表の場など、特に地方では絶無に等しかったものです。でも今はネットという格好の発表の場があります。リンクを辿ったり検索をしたりすれば、結構楽しめるモノが、全国どこからでも簡単に見つけることができるなんて、二十年前にはどんなに望んでも得られなかった楽園その物に違いありません。その世界を基本に考えると、今や二次創作というものは、書いてて楽しいだけの自己満足なものから、作る側、受け取る側双方に大きな存在価値がある、オリジナルをより楽しむための必須のツールなのではないかと思いました。
 ・・・まあそれはともかく、「マリみて」の二次創作は素晴らしい! 字面を追っているだけで脳味噌が溶けて流れ、頬が弛みっぱなしになる「大甘」な奴が、以外にも自分の嗜好に結構合うということを発見した一日でした(笑)。
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CD版「黄薔薇革命」を聴く。

2005-05-02 23:12:42 | マリア様がみてる
 昨日はよく眠れなかったのか、今日は一日眠くて眠くて・・・。お風呂に浸かっていたらいつの間にか眠り込んでしまいましたよ。うちのお風呂は狭いので早々滅多に溺れるような羽目にはなりませんが、風邪なら充分に引いたりできる訳で、浴槽の縁にかけていた腕が湯に落ちてくれなければ、危うく連休をふいにするところでした。
 さて、この連休前半戦にふとしたことから「CD版マリア様がみてる・黄薔薇革命」を入手いたしまして、BGM代わりに聞き流しておりました。DVDアニメ版はダイジェストといった印象でかなり中身をはしょった感じがしましたが、CDの方は割と忠実になぞっており、音声だけでドラマを構成する必要からか、原作にないオリジナルな科白が少し混じっているのもちょっと新鮮で面白く感じました。
 「黄薔薇革命」は、支倉令と島津由乃の、従姉妹で幼なじみで新聞部アンケートでリリアンベストスール賞を受賞するほどの睦まじい関係が、妹である島津由乃の方から一方的にロザリオを突き返すという前代未聞の行動で解消された事件を巡る騒動を活写したモノです。前作無印マリみてではほとんど背景に過ぎなかった島津由乃を中心に据え、祐巳と由乃の交流と令の成長が魅力ある筆致で描かれています。ただ、前作と比べるといささかパワーダウンしているのは否めないようで、それだけ取り上げて読むと、正直もう一つ盛り上がりに欠けるというか、面白味の薄い話に見えます。でもこれは、主人公である島津由乃嬢が手術前の病弱な状態なため、本来の魅力、即ち「先手必勝!」な、将棋で言えば升田幸三名人のような、と言っても誰も判らないでしょうが、とにかく周囲を仰天させる積極的な攻め一筋のがむしゃらさが発揮できない状態でいるためで、次の3作目「いばらの森」における驚天動地の大活躍とセットにして、初めてその面白さが理解できるような仕組みになっているとかっこうは考えます。その点、かなり色合いは異なりますが、「レイニーブルー」と「パラソルをさして」の関係と同じような、上下セット的なお話の構成と言えるかも知れません。あと、黄薔薇様こと鳥居江利子が親不知に苛まれ、ほとんど表だった動きがなかったのも、このお話の魅力を幾分ダウンさせているような気がしないでもないです。とはいえ、大河ドラマ的にみるとマリみて世界には欠かせない一遍には違いありません。面白さがやや劣るとはいえ、全体的に魅力的な作品群の中での比較ですので、充分に価格に見合うだけの楽しさは得られると思います。私自身既に南海読み返したことか。CD聞いたことで、また改めて読んでみたくなりました。
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今度はちゃんとした感想を

2005-04-18 20:03:34 | マリア様がみてる
 2回に渡って内容とはちょっと関係ない技術的な話に終始してしまいましたので、今度こそまともに感想を記していこうと思います。
 まずは当然ながら第1巻の無印「マリみて」。
 この長い長いお話にはまるきっかけとなった最初の一冊だけに、それは本当に思い入れ深いお話ではありました。カトリック系女学園という閉じられた特殊な世界。そこし、主人公の祐巳も、本人の独白はともかく、挿し絵などを見る限り充分美少女で通用する可愛らしい容姿。およそ美しくないものが存在しないまさに夢物語と呼ぶに相応しい世界で、ロザリオの授受を巡り繰り広げられる波瀾万丈のドラマ。ここまである意味非現実的な舞台なのに、描かれている人々の魅力溢れる姿や行動が妙にリアルで、ついつい物語世界に引き込まれてしまいます。
 全てに平均点で目立つところがなく、平々凡々とした一人の少女、祐巳が、あらゆる意味でトップクラスの女性、祥子に特別な関係を迫られてパニックになる前半と、終始翻弄されっぱなしだった祐巳が、無理して虚勢を張り続けていた、祥子のありのままの姿を受け容れるを力を持つ天性の資質を持つことが証明される後半。ラストの美しい儀式。この見事な展開は、本当に何度読んでも気持ちのいいものです。また、随所に絡んでくる人々がまた実に素晴らしい。同級生で写真家の蔦子さん、同じく同級生で山百合会幹部の志摩子さん、山百合会3人の薔薇様達に令様などなど、それぞれ強烈な個性で主人公とストーリーを紡ぎ上げ、この世界独特の空気を醸し出してくれるのです。
 ただ、何度か読み返して、若干不満があるとすれば由乃ちゃんのセリフが、初めの方の祐巳にお茶を勧めるシーンと劇の最後の練習の時の一言とわずかしかなく、その存在感が実に希薄なこと。2巻で堂々の主役を張るとはいえ、祐巳と同じ1年生の志摩子さんの存在感と比べると、あまりに薄い。祐巳視点からもほとんど言及がなく、メインキャラらしく見えないところがちょっと残念でした。だからこそ2巻以降の強烈な個性が目立つのかも、と思わないでもないですが、やはり物静かで控えめというところをはっきり強調しておいてもらいたかったと欲張りな気持ちも拭えません。
 それはともかく、肩肘張らず、気楽につきあえる面白い本と出会えて、本当に良かったです。
次は7月刊行の予定だそうなので、それまでじっくり読み返し、この感想も綴り続けていこうと思います。
今日はこれまで。
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「マリア様がみてる」感想その2 一人称?三人称?

2005-04-14 21:28:33 | マリア様がみてる
さて、前回はほんの4ページ分程度に相当する部分の感想を述べただけで終わってしまいました。
今回はもう少し頑張って、シリーズを通じて面白くも不思議な雰囲気を醸し出す文体について感想を残しておきましょう。
はじめ、実はこの文体にかなり違和感を覚えました。読みにくいと言うわけではないのですが、3月13日の日記(http://blog.goo.ne.jp/cuckoo_01/e/271e8fa3e73264dffae61e7ec393b121)にも書いてあるように、私の第一印象は「枕草子」でした。これは、一昨日の日記にも書いたとおり、変に「裏」を読もうとする読書姿勢の問題も大きかったかと思うのですが、この不思議な文体に翻弄されたところも大きかったのではないかと思います。
旧日記の2月23日に記した通り、私は初め、これが1人称の文章だと認識して読んでおりました。しかし、次に読んだときには、3人称だったか? と疑いながら読みました。どちらかどうも良く判らなかったので、改めてその事だけを確認するために第1巻を読み返しました。そして、これが1人称と3人称をまぜこぜにしたような文章であると結論付けたのです。でも、今にして思うとこれはやはり1人称が主体の文章だと思います。ただ、主語が「私」とか「僕」ではなく、自称呼び捨てに統一されているところが普通の一人称文章と違うでしょう。3人称的なところでも、相手の呼び方はその人が通常呼びかけている形(祐巳視点で蔦子さんとか祥子様とか、令視点で由乃、由乃視点で令ちゃんなど)に統一されているのも、あまり例をみません。
 1巻の場合は視点が祐巳に固定されていたのでその辺りを見落としがちでしたが、2巻「黄薔薇革命」で令、三奈子の視点が加わって、それがはっきりとします。しかも所々で3人称が挿入され、また時には神の視点というか作者の視点で言葉が挟まれるので、人称判別のため読み始めたときは、気が抜けなくて大変でした。祐巳視点の1人称で状況説明や心の動きを語りながら、その1行後に「・・・と祐巳は思った」とか「祐巳は・・・を見つめた」なんていう3人称文体が混ざり込んでくるのです。まあ結局のところ、それらが渾然一体となって不思議な文体の雰囲気を作っているのでしょう。
 聞くところによると、私小説という分野では比較的よく見られる文章形態だそうですが、私小説など開いたこともない(大体どういう小説なのか、見当も付かない)私としては、この文体は非常に新鮮で、面白く感じました。
 あ、それから文体と言うのとは若干違いますが、1巻では、白薔薇様こと聖の言葉が嫌に丁寧で女性っぽく表現されています。初めて読んだときに、紅黄白とも同じような人達ではないのか?と思ってしまった位です。もちろん今は全巻通読してその後の聖様の活躍振りを知っているが故に、改めて読み返すとその部分には違和感を覚えます。でも、新人(もちろん祐巳)の前でまるで猫をかぶっているようにも見えて、それはそれで面白く読めました。うーん、勝手に自己解釈でいいように読んでしまうとは、我ながらかなり毒されていることが判りますね(苦笑)。
では、入り口論議はここまでにして、次の機会からはいよいよ作品の感想に参りましょう。
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「マリア様がみてる」感想その1。私を捕らえた冒頭の一言

2005-04-12 21:46:41 | マリア様がみてる
取り立てて日記ネタのない日は、「マリみて」の感想でも書いてみましょう。某氏より「感想文」の提出が義務づけられていることでもありますし(笑)。
 まずは無印マリみてこと記念すべき第1巻から。
 3/13の日記(http://blog.goo.ne.jp/cuckoo_01/e/271e8fa3e73264dffae61e7ec393b121)でも一応感想は述べておりますが、今回はもう少し突っ込んだ分析を交えつつ、感想を綴って参りましょう。
 まず初めて冒頭のリリアン女学園を紹介する決まり文句を見た時のこと。これは一体何の冗談なのだろう? と戸惑い、あるいはあとでどんでん返しが用意された伏線の一つなのか? と半ば本気で疑いました。のっけから「天使のような無垢の笑顔」だとか、「汚れを知らない心身を包むのは・・・」とか連発されるものだから、例えば麗夢の「聖美神女学園」見たいに、これはきっとお話の中でおどろおどろしい内幕が暴き出されるに違いない、と勝手に邪推していたのでした。今にして思えば何ともひねくれた見方をしていたものだと苦笑の一つも出て参りますが、何せこの手のものを読むのは初めての経験でしたし、とにかく初めは色々いらぬ深読みばかりしていた気がします。
 深読みと言えば、例えば祐巳が志摩子さんに誘われて銀杏並木の桜の樹の下でお弁当を一緒に食べていたとき。志摩子さんが何か含みがあって祐巳を誘ったのではないか、とか思ったりもいたしましたっけ。
 さて、そういう第一印象で始めた「マリみて」読書体験でしたが、オープニングから一枚めくって10数行を経過した辺りにあったほんの一言で、私はこれは面白い小説に違いない! と半ば確信したのです。祐巳が祥子様に呼び止められ、驚きのあまり固まってしまったところ。これを「瞬間冷却された」とした表現は割とありきたりに感じたのですが、そのあと、辛うじて祐巳が返事をするところで、「・・・自力で半生解凍し、」と書いてあったのに私は心底驚いたのでした。あまりな驚きに硬直して、それでも必死に相手をしようと痺れた頭を辛うじて働かせてたものの、のぼせ上がってパニック寸前、といった祐巳の状態を、直前の瞬間冷却と対比して表現して、たった一言で表現しきったその言葉遣いに、私は「お見事!」と唸ってしまったのでした。
 なんて事のない一言かもしれませんが、いざ自分が書く段になったとき、同じように簡潔明瞭に表現できるかというと、正直自信がありません。その後読み進めるに連れて、この一言が、実に祐巳っぽく感じられて、読み込めば読み込むほど、その的確さに恐れ入ったのでした。
 取りあえず今日はここまで。次回はその不思議に心を捉える文体について、感想を述べたいと思います。
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