シネマ日記

超映画オタクによるオタク的になり過ぎないシネマ日記。基本的にネタバレありですのでご注意ください。

アーネスト式プロポーズ

2013-11-20 | シネマ あ行

オスカーワイルドの喜劇「真面目が肝心」(原題:“The Importance of Being Earnest")の映画化。原題は「真面目」を意味するearnestと名前のEarnest(アーネスト)というダジャレが効いているのだけど、これを日本語に訳すのは不可能なので「真面目が肝心」となっている。

と、説明したものの、「真面目が肝心」は題名しか知らなくて内容は全然知らず、この作品がケーブルテレビで放映されて題名が「アーネスト式プロポーズ」だったので、原作がオスカーワイルドの作品だと知らないで見ていました。ところが、見始めるといかにもいかにもオスカーワイルドっぽい。これってオスカーワイルドが原作の話じゃないの?と思って調べたらビンゴだった!オスカーワイルドの作品では前にもこういうことがあったような気がします。

この話ねー、登場人物は少ないんだけど、文章にして説明するとややこしいんだよなぁ。

田舎の紳士ジャックコリンファースはロンドンにアーネストという架空の放蕩な弟の存在をでっちあげ、ロンドンではアーネストを名乗って評判を気にせずに遊んでいた。

ロンドンに住むジャックの親友アルジールパートエヴェレットは田舎に住むバンベリーという病弱な友人の存在をでっちあげ、時々お見舞いという形でロンドン社交界の面倒なことから逃れていた。彼はそうして面倒から逃げる行為を「bunburying(バンベリーする)」と動詞まで作っていたってのがちょっと笑えます。いまも昔も造語というのは面白いものですね。

アルジーのいとこのグウェンドレンフランシスオコナーと恋に落ちたジャックだったが、ロンドンでアーネストを名乗っているときであり、彼女に「アーネストという名前の男性と結婚するのが夢だった」と言われ本当のことを言いだせなくなる。

グウェンドレンの母親ブラックネル夫人ジュディディンチはアーネスト(ジャック)が赤ん坊のときにカバンに入れられて駅で見つかった孤児だと知り、結婚に反対する。

ジャックが田舎で後見人をしているセシリーリースウィザースプーンに興味を持ったアルジーは自分がロンドンにいるジャックの弟アーネストだと嘘をついてセシリーに会いに来て、2人は恋に落ちる。

グウェンドレンに対してアーネストは死んだことにしようと決めたジャックはアーネストがロンドンで死んだと言って田舎に戻ってくるが、そこにはアーネストを名乗るアルジーがいた。

そこにジャックを追いかけてきたグウェンドレン。グウェンドレンを追いかけてきた母親も加わって2人の男が右往左往。

って分かりますかねー。
ジャックとアルジーの両方が同じ人物「アーネスト」を名乗って恋に落ちるもんだから、さぁ大変。グウェンドレンは「アーネスト」という名前にこだわっているし、お母さんには反対されているし、どうしようっていうお話。

軽妙な会話が繰り広げられるところとか、基本的に悪い人は登場しないというところがいかにもオスカーワイルドの喜劇。彼の喜劇は、最後に八方丸く収まって大団円って感じですね。んな、アホなーってくらいうまくいっちゃうんですが、ワタクシは結構好きです。この物語なんて主役も準主役も嘘ついちゃってるんですが、そこに意地の悪さがなくて見ていて応援したくなってしまうんですよね。

映画ファン的にはコリンファースとルパートエヴェレットと言えば当然「アナザーカントリー」を思い出すわけで。この2人が必死で女性を落とそうとしているのを見るのはちょっと奇妙な感じがしたりもしました。あれから何十年も経ち、あのときの役どころとは違って、今回の役のようなルパートエヴェレットの軽薄さとコリンファースのおろおろぶりは2人のそれぞれの真骨頂となりました。

結局最後に赤ん坊のときに鞄に入れられたさらわれたジャックはアルジーの実の弟だってことが分かって、洗礼名がアーネストだってことにもなって、さっき書いたように八方丸く収まって大団円です。それにはジュディディンチが大御所の貫録とチャーミングさが大きく貢献しています。いつまでも活躍してほしいと思うイギリス演劇界の重鎮ですね。

いかにも昔の演劇っぽい喜劇ですので、好き嫌いの別れる作品だと思いますが、有名な作品なので見て損はないと思います。



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