シネマ日記

超映画オタクによるオタク的になり過ぎないシネマ日記。基本的にネタバレありですのでご注意ください。

おおかみこどもの雨と雪

2014-02-17 | シネマ あ行

ケーブルテレビで見ました。公開中、結構良いらしいというウワサを聞いていたので楽しみにしていました。

大学に不正に聴講に来ていたおおかみおとこ大沢たかおと恋に落ちた花宮あおい。妊娠し、大学をやめ結婚生活を始める。1人目の娘を雪の日に出産し、「雪」と名付ける。2人目を妊娠し、幸せな結婚生活を送っていた彼らだったが、2人目を生んだその日おおかみおとこは川に落ちて死んでしまう。2人目の息子を生んだその日は雨で「雨」と名付ける。

おおかみおとこ亡き後、花は苦労して2人を育てる。少し興奮するとおおかみに変身してしまう2人。アパートでは「犬を飼っているでしょう」と苦情を言われたり、雪がシリカゲルを飲んで吐いてしまったときには「小児科」に連れて行くべきか「動物病院」に連れて行くべきか迷ってしまったり。結局都会にはいられず、「ど」のつくほどの田舎に引っ越すことを決心する花。

田舎の家では、2人の素性を隠すためなるべく人と関わらないように暮らしていく花だったが、近所のおじいちゃん大木民夫が何かと世話をしてくれるようになり、やがて近所中の人と仲良くなる。

人前で絶対におおかみになっちゃダメだと雪と雨に言い聞かせる花だったが、やがて雪が小学校に上がる歳になり、花の不安はつきないが雪は「うまくやるから~」と能天気に言い、小学校に通うようになる。

小さいときの雪と雨がめっちゃくちゃ可愛くてねぇ。くるくるとおおかみになったり、子供になったりする雪の姿がたまらない。ワタクシが大型犬を飼っているせいかもしれないけど、雪と雨がおおかみの姿でするいたずらが本当にパピーのようで愛しくてしょうがなかった。特にお転婆なお姉ちゃん、雪の行動が可愛すぎです。

徐々に普通の人間として小学校に馴染んでいく雪と馴染めない雨。赤ちゃんのころからうじうじうじうじ弱虫で田舎に来てからも都会に帰りたがっていた雨は、小学校にはほとんど通わなくなり、山の資料館で働く花にくっついてどんどん山の生活に魅せられていく。

あんなにおおかみとしての習性を謳歌した子供時代を送った雪と、おおかみはいつも絵本では悪者でこんなのイヤだと泣いていた雨の立場が徐々に逆転していく姿がとても興味深かったです。雪には好きな子もできて秘密を共有できたりもし、人間として「うまくやっていく」ことを覚えていったようだけど、雨はどんどん人間界から離れ、山の主のキツネに教えを請い、おおかみとして生きる道を模索し始める。

人間界ではたった10歳だけれど、おおかみとしては立派な大人という雨が森で生きることを選んだ時、花は泣きながらも最後には「元気で。しっかり生きて!」と高らかに叫びます。この母から子供への力強いメッセージにすごく心打たれました。雨と離れることがどんなに辛くても花は雨が選んだ道を同じように信じてそう叫ぶのです。親から子供への愛情というのは、えてして親のエゴがかなりの割合で含まれることが多いです。エゴというのはちょっとキツすぎるかな。親の願望とでも言いましょうか。子供を愛していると言いつつ、親はなんとか自分の理想に近づくよう子供をコントロールしがち。でも、ここでの花はそうはしません。雨を信じ、雨の決断を信じ、「しっかり生きて」と叫ぶのです。元気でしっかり生きていてさえくれたら。それが言える花の強さに涙があふれました。

人間界に馴染もうとする雪のエピソードのほうも切なくて泣けちゃったりもしました。でも、途中途中は結構くすくす笑えるシーンも多かったかな。小さい雨が三毛猫にやられたシーンは爆笑だった。

花役の宮あおいちゃんって本当にうまいですねぇ。花が「雨!」と呼ぶシーンが何度も出てくるんですが、名前の呼び方ひとつに感情を込め、意味をもたせることができる技量を持っています。雪や雨を演じた子供たちもとても自然で上手でした。

子どもたちが病気になったとき、病院はどうしたの?一回も病気にならなかったの?とか突っ込みたい気持ちはぐぐっと端っこに追いやって見てください。そもそも“おおかみおとこ”と恋に落ちて“おおかみこども”が生まれるお話ですので、いろいろ突っ込みたい人にはあまりオススメできません。それでも、ファンタジーと現実世界を非常にうまく融合したお話だなぁと思ったら「サマーウォーズ」細田守監督なんですね。あれもファンタジーと現実がうまく融合したお話でしたね。



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