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シネマ日記

超映画オタクによるオタク的になり過ぎないシネマ日記。基本的にネタバレありですのでご注意ください。

パフューム~ある人殺しの物語

2007-03-12 | シネマ は行
うまくできた大人のおとぎ話だが、、、

一時、サブリミナル効果で映画館で匂いも出すと言っていたのは「RAMPO」という邦画だったかな?テレビにせよ、映画にせよ、映像媒体では匂いだけは伝わらない。そんなことは当たり前なのだけど、人間には想像力っていうもんがあるから、うまい映像を見せられれば、匂いも一緒にしてくる気にはなることはできる。そういう観点から見ると、この作品はチャレンジングな作品だと言えるだろう。

この作品もオープニングからしばらくは、むせかえるような悪臭が漂ってくるような映像が画面を支配していて、吐き気がするような18世紀のパリの街の様子が手に取るように分かった。自らは一切体臭を持たず、類まれなる嗅覚を持ったジャン=バティストグルヌイユベンウィショーが市場で産み落とされ、施設に入れられ、なめし皮屋へ売られ、皮の配達先で調香師ジュゼッペバルディーニダスティンホフマンに出会い、調香師としての修行を始めるというところまではかなり興味深く描かれるし、これから始まるお話は大人のおとぎ話ですよというのもナレータージョンハートの語り口調によって表現されている。

ジュゼッペバルディーニのところで修行を始めるきっかけとなったくだりや始めてからの展開は、テンポもよく見ているものをかなり惹きつけるものがあると思うが、バルディーニのところを去って、香水の本場グラースへついて、究極の香水を作ろうと殺人を始めたあたりから、少し展開が一辺倒になってしまったかなぁ。画面から匂いも消えてしまったような…

13番目の要素である女の子ローラレイチェルハード=ウッドまでの子達はあまり重要ではなかったのかもしれないけど、なんだか手当たり次第にジャンジャン殺されていっているようで、彼女たちそれぞれの色香が欲しかったっていう感じが見て取れなかったのが残念だった。彼女たちの死体は一様に美しかったけど。(死体を美しいというのは不謹慎というのは分かっておりますが、映画芸術としてという意味です)そして、最も重要なローラを演じたレイチェルハード=ウッドは美しいし、可愛いし、まさに処女の香りに取り付かれたジャン=バティストが取り付かれそうだとは思ったんだけど、彼女がセリフを喋ると声がまだまだ子供で一気にそこはかとない色気が失せてしまうのがこれまた残念だった。

クライマックスシーンが話題になっているようだけど、ワタクシの感想は「そんなにスゴイかぁ???」でした。確かに、750人の男女が裸になって抱き合うっていうのはスゴイことだけどねぇ。どこかには、「こんなシーンがありながら、PG12にとどまったのはその芸術性が認められたから」っていう記載もあったけど、はたしてどうなんでしょう。どうせあんなシーンを撮るならあんな中途半端にやらないでR18くらいになるくらいにやっちゃったほうが殺人&香りを取る作業も含めてもっといい作品になったんじゃない?ん~、あの映像に衝撃を受けないワタクシがおかしいのかな?

最後の展開はまぁ何度も言うように「大人のおとぎ話」としてはアリなんじゃないでしょうかね。こちらは衝撃と言うより意外な展開で面白かったと言えば面白かったですね。

期待が大きかった分、感想も厳しいものになってしまいました。ただ、オススメしない作品というわけではありません。


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