シネマ日記

超映画オタクによるオタク的になり過ぎないシネマ日記。基本的にネタバレありですのでご注意ください。

ママの遺したラブソング

2007-04-17 | シネマ ま行
フロリダで暮らすパーシースカーレットヨハンソンはボビーロングジョントラボルタという男性から電話で母親が亡くなった事を知らされるが、その電話を取ったのはパーシーの同棲相手で、彼がそれをパーシーに伝えるのを忘れたため母のいたニューオリンズに行くのが遅れ、お葬式には出られなかった。母の住んでいた家にはボビーとボビーよりずっと若いローソンガブリエルマックが住んでいた。母はその家をボビーとローソンとパーシーの3人に遺したと聞かされ、パーシーはそこに住むことに。しかし、ボビーはそれが気に入らず嫌がらせをしてパーシーを追い出そうとしていたのだが、、、

そうやって3人が衝突しながらも友情を深めていくというところは特に珍しい展開でもない。実はボビーは元英文学の教授で現在は自称吟遊詩人、ローソンはその元教え子でボビーについての小説を書いているということが分かり、アカデミックな二人からの勧めでパーシーはドロップアウトしていた高校生活に戻るというところや、劇中もっとも多く語られるパーシーの母親の姿が一度も写真でさえも登場することがないというのがなかなか興味深い設定ではある。

ボビーはインテリ層にありがちな少し他人に寄り添えない気質があり、他人にも常に自分と同等の知性を求めるために時として他人に対して皮肉屋でかなり辛辣になることがある、残酷な一面を持ち合わせている。それでいて、ニューオリンズに逃げ込んだ過去を引きずっている弱い面も持っている。ジョントラボルタには大学教授なんていう肩書きは似合わない気もするが、アメリカの大学には生徒に慕われる型破りな教授もいるようだから、彼はそういった強烈なカリスマ性を持った教授だったと考えるとジョントラの元教授もすんなりと受け入れられる。

そういうボビーのカリスマ性に魅せられ、そして運命の残酷さも手伝って、彼と生活をともにするようになったローソン。自分の恩師と一緒に生活しているせいか、どこかしら青臭さが抜けない印象の青年。(青年と言ってももう30歳を過ぎているくらいか)ローソンを演じるガブリエルマックという俳優さんはワタクシは初めて出演作を見たのだけど、とても優しい表情をした(よく見ると)ハンサムさんって感じで、悩めるローソンがとてもよく似合っていた。

そして、パーシーを演じるスカーレットヨハンソン。1984年生まれで、この映画が2004年作品だから、撮っていたときは19歳くらいだから、パーシーの18歳の役は歳相応ってことになるんだけど、なんせあのグラマーさだから、いつなんどきジョントラボルタとなんかあってもおかしくないと思わせる雰囲気があって、観客を違う意味でドキドキさせてしまうのは、この作品にとってはプラスなんだかマイナスなんだか…それでも、母親を想う表情や、ローソンに向けるまなざしはまだまだあどけなさも残っていて、少女と大人の女の狭間にいる18歳という感じはよく出ていたと思う。実際、パーシーが自分で創り出したと思い込んでいた母親とシャーリーテンプルの思い出が本当にあった出来事だったということが分かるシーンなんかは彼女の表情に号泣させられたしなぁ。ゴルデングローブ賞にノミネートされただけのことはあるね。

脇役ではママのことを好きだったセシルデインローズが脇役だけど要の役で、本当に彼がいてくれて良かったと思わせてくれる人だし、ジョージアナを演じたデボラカーラアンガーはあんな役でもったいないという気もしたけど、あんなふうにみんなの前で恥をかかされてその後に毅然とした態度でパーティーに現れてくれるという女性を演じて違和感がないのは彼女の実力のおかげだったかもしれない。

ニューオリンズという街の独特の雰囲気もこのお話の重要なポイントかもしれない。あのけだるいムードや気候と音楽と。みんながやたらめったらタバコを吸っていたけど、タバコの煙もとてもよく似合ってたな。なぁんて分かったようなことを書いてますが、ニューオリンズには行ったことはありません。一度行ってみたい街ではあるんですけどね~

物語は最後のほうの展開が、ちょっとあっという間すぎてもう少しエピソードが挿入されていても良かったかなと感じた。ボビーの息子たちのこととかも最後に挟んでほしかった。ちょっとパーシーだけに都合良く話が進んじゃった感じが拭えなかったなぁ。とはいえ、結構泣き所も笑い所もあって心温まるお話ですので、小さい公開ですがオススメです。


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