非難を恐れずに言おう。ワタクシはこの映画が好きだ。「何回見ても涙が出ちゃうぅ」とかいうように情熱的に好きなわけではないけれど。
作品の規模が馬鹿デカく、主人公がレオナルドディカプリオということでチャラチャラしたミーハー映画だと批判する声もあるだろうし、少し大人な人たちの中ではこの映画を好きと言うのが恥ずかしいという向きもあるだろう。
でも、世界中の人が始めから沈むと分かっている船の話で3時間ひっぱって見せるのは容易なことではないと思うし、莫大なお金をかけてディティールにこだわったセットもすごい。
主人公の二人の恋物語はたいして珍しい設定ではないし、舳先でのあの超有名なシーンなんかは確かにちょっとププッと笑っちゃうかもしれない。でも、ジャックがローズ(ケイトウィンスレット)に下町の世界を体験させるシーンは躍動感があって初めて見る世界にときめくローズの新鮮な驚きと喜びがよく伝わってくるし、キャシーベイツ演じる気のいいお金持ちのおばさんや設計士や(ビクターガーバー)船長(バーナードヒル)がいい味を出していたし、最後まで演奏を続けた音楽隊、死を覚悟して抱き合う老夫婦、子供たちを怖がらせまいとお話を聞かせて寝かしつける母親には自然と涙が出た。
船が沈んでからは、ローズが海ん中と板の上をたまにジャックと交代してたら二人とも助かったんちゃうん?とか思ってしまったけど、二人とも生き残ったらお話にならないんだものな…映画としてはこれで良かったんだろう。