シネマ日記

超映画オタクによるオタク的になり過ぎないシネマ日記。基本的にネタバレありですのでご注意ください。

クラウドアトラス

2016-01-26 | シネマ か行

6つの時代と場所を超えて語られる壮大な物語。同じキャストたちがそれぞれその6つの時代と場所で別々のキャラクターを演じ、カルマとか輪廻転生を感じさせるお話になっている。

この6つのお話がかなり短いスパンで切り替わるので見ているほうはかなり忙しい。それぞれのお話がどう繋がっているのか、はたまたもしかして繋がっていないのか???と途中から疑念を持ちつつ見ていました。

同じキャストが演じているそれぞれのキャラクターは輪廻転生の結果ということなのかなーと思いながらも、そのキャラがすべて前世の運命と繋がっているというわけではなかったり。それぞれの物語もちょっとリンクはしているようだけど、これも最後にパズルのピースがすべてはまって、お~そういうことか~ってなるのかなーと思っていたのですが、そこまではっきりすっきりするわけではありませんでした。壮大なネタふりがあってオチがあるのかと期待していたので、そこんとこは「ん?」と思いましたが、見ている最中はキャストの変貌ぶりも含めて楽しんで見ることができました。

キャストの変貌ぶりについてはエンドクレジットできちんと種明かしが用意されていました。そこに製作者たちの遊び心が感じることができました。かなり目を凝らして見ていたつもりだったんだけど、全然分からなかったキャラクターもありました。ベンウィショーの女装なんて普通に美しくて全然分からないし、ハルベリーもちょこっとだけのキャラだと気付かなかったのもありました。ヒューゴウィーヴィングの女装には無理があったけど、キャラ的に無骨なタイプの女性だったから合っていたかも。ジムスタージェスが韓国人のキャラクターを演じていて、特殊メイクですごく釣り目にしてあったので、ちょっと大丈夫?どっかの団体から怒られない?と心配になったり。実際アジア系の特徴を出しているだけだから仕方ないと思うんですけどね。

見逃したキャラを発見するためにもう一回見たい気もしますね~。映画の本筋とは関係なく。もう一度見れば本筋のほうの「ん?」というところも解消されるのかなぁ?でも長いしもう一度見るのはちょっとしんどいかなぁ。一度目は楽しんで見ることはできましたが。

場面の切り替わりが早く、ごちゃごちゃしている感じがしますので映画を見慣れていない人にはちょっとしんどいかもしれません。数人のキャストがどれだけのキャラクターを演じ分けているかを見るだけでも面白いかとは思います。


クリード~チャンプを継ぐ男

2016-01-14 | シネマ か行

明けましておめでとうございます。
ブログをアップしないままもう14日になってしまいました。
これまでよりも細々とですが続けていくつもりですので今年もよろしくお願いいたします。


さて、本年第1作目は「クリード」でした。
ロッキーの続編と言われれば見に行かないわけにはいかない。そして、今回どうやら評判良さそうだぞと。

ロッキーシルベスタースタローンの盟友アポロの遺児アドニスマイケルB.ジョーダンがロッキーにボクシングを教えてほしいと頼んでくる。最初は断るロッキーだが、やはり気になってトレーニングをしてやることに。

ロッキーはエイドリアンを始めポーリー、ミッキー、アポロと周囲の人をみな亡くして前作の時はちょっと荒れている感じもあったけど、今回はそれを受け入れて一人の人生を歩んでいる姿がありほっとしました。

アドニスに対するロッキーがめちゃくちゃ優しくてねぇ。トレーニングは厳しいんだろうけど、正直全然そんな感じしなかったな。そこはちょっと良くなかったかもしれないけど、とにかくロッキーのアドニスとその彼女のビアンカテッサトンプソンに対する優しさにじーんとしました。なんだかんだ言ってロッキー、良い人生歩んできたんだなぁと思えてたので良かったです。

トレーニングの中でニワトリ追っかけろとか言って笑えたんだけど、生卵飲ませようとするシーンはなかったね。ロッキーと言えば生卵でしょう。あれをロッキーが薦めてアドニスが全力で拒否るというシーンを入れてほしかったな。

よくこういうボクシングものではボクサーが挑発されてリング外で誰かを殴るっていうシーンが登場するんだけど、ご多分に漏れず今回もアドニスがチンピラを殴ってたけど、あれって資格はく奪とかにならないのかな?

どうしてもあの音楽がなると自動的に感動しちゃうんだよなー。いや、お話もちゃんと感動的で良かったんだけどね。父というよりおじいちゃんのようなロッキーだったけど、こんな老いぼれなら出てこないでほしかったなんて思われるようなお話になっていなくて良かった。

この作品でスタローンがゴールデングローブ賞助演男優賞を受賞しました。スタローン、嬉しかっただろうなぁ。アクション俳優が演技賞をもらえることってなかなかないものね。まぁ多少ご祝儀的な意味合いもあったかもしれないけど、この作品でのスタローンは本当にとても良かったと思います。長年ロッキーを演じてきて、そのロッキーという人物を知り尽くした彼だからこその演技だったと思います。ワタクシはずっとスタローンのファンなのでとても嬉しいニュースでした。おめでとう、スタローン。


顔のないヒトラーたち

2015-10-20 | シネマ か行

1958年のフランクフルト。アウシュヴィッツ収容所にいた元ナチスの親衛隊員が、規則に違反して教職に就いていることを知ったアウシュヴィッツに収容されていた過去を持つシモンヨハネスクリシュは友人で新聞記者のトーマスアンドレシマンスキとともに検事局を訪れる。アウシュヴィッツで何が行われていたか知らないのかと検事たちに詰め寄るトーマスだったが、そんな過去のことを掘り返してどうなるんだと一蹴される。そんな中ヨハンラドマン検事アレクサンダーフェーリングは唯一関心を示す。先輩検事たちには笑われるヨハンだったが、ユダヤ人検事総長フリッツバウワーゲルトフォスの後押しを得てアウシュヴィッツで何が起こったのかを追及することになる。

ナチスの犯罪はニュルンベルク裁判ですでに裁きは終了していて、ドイツはあの戦争やナチスのことは忘れて前を向いて歩いて行こうとしていた。しかし、それはうわべだけの解決でユダヤ人収容所で実際に何が行われていたかについてはドイツ国民初め全世界はまだ知らなかったのだった。

ヨハンがユダヤ人生存者協会に連絡をして、アウシュヴィッツで何が行われたかの証言を初めて聞くシーンが印象的だった。生存者の証言そのものがシーンとしてあるわけではなく、それを聞く側のヨハンの表情や記録係の女性の嗚咽でそれがどのような聞くに堪えないほどのものであったかを表現していた。

ヨハンたちはたくさんの生存者の証言の聞き取りをする一方、何食わぬ顔で普通に生活している元親衛隊たちの行方を探すという途方もない調査も開始する。

そんな作業に忙殺される中、元々この調査を始めるきっかけになったシモンは頑なに自分の経験を話そうとはしなかった。しかし、度重なるトーマスとヨハンの説得によりついにシモンがその重い口を開き、驚くべき真実が語られる。シモンには妻も娘もいた。妻は収容所で亡くなり、双子の娘たちは収容所で紳士的な医師に連れて行かれた。娘たちが優しそうな医師に連れて行かれたので安心していたシモンは後に娘たちが人体実験の道具にされたという事実を聞かされる。あの悪名高い“死の天使”ヨゼフメンゲレの双子実験で様々な病原菌を打たれ生きたまま解剖され、あげく背中合わせに縫い付けられたというのだ。

ここからヨハンのメンゲレ捜索が始まるが、権力側はメンゲレの居場所を把握していても知らんぷりを決め込んでいた。そんな組織の中でも秘密裡に協力してくれる人もいて、最終的にはモサドの力も借り、メンゲレを始めとする元親衛隊員が南米に潜んでいることを掴む。

この辺りはナチハンターなどのドキュメンタリーなどを見たことのある方なら分かると思いますが、多くの親衛隊員は戦後、新たな第三帝国の建設を夢見る南米勢力の協力を得てアルゼンチンなどに逃亡していたのです。(最終的にモサドはアイヒマンは捕らえましたが、メンゲレは最後まで逃げのびて1979年に海水浴中に心臓発作で死亡しました)歴史がそうである以上、もう何も変わらないのですがメンゲレを捕らえることができていたら、と思わずにいられませんでした。

途中、トーマスとヨハンが近くに住む元親衛隊員でいまはパン屋をやっている男の元を訪れるシーンも印象的でした。自分を抑えきれずその男と対峙するトーマスでしたが、小さな子供に優しく接し、ごく普通のパン屋の顔をした男の前でナチスの罪の糾弾に燃えているトーマスでさえ何も言えなかった。それほどにごく普通の人たちも元親衛隊員の中にはたくさんいたというのを示すシーンでした。

後半、ヨハンが実はトーマスもドイツ兵としてアウシュヴィッツで見張り役をしていた事実を知ったり、父親もナチ党員であったということを知り自暴自棄になっていまいますが、やはり最後にはきちんとこの裁判をやり抜くことを選びます。ヨハンが「ドイツ国民は永遠に黒を着るべきだ」と言っていたのが胸に刺さりました。もちろんそれは自暴自棄になったヨハンが投げやりに言った言葉ではあるのですが、それくらいの罪を犯してしまった自国民を自分の国で裁かなければ前に進めないということだったのだと思う。

もしこの裁判がなければ今現在のドイツはなかっただろう。自国の罪に真摯に向き合う姿勢。もちろんドイツ国内でもこの裁判に反対した勢力や妨害した勢力もあった中でそれでも実現した裁判。戦後70年経ってドイツと日本の立ち位置の違いを見れば、その結果は明らかだと言えると思う。


グランドイリュージョン

2015-08-27 | シネマ か行

公開のとき見たかったのですが、見逃していました。ケーブルテレビで放映されたので今回見ました。

最初に正直に言ってしまうと、このブログに載せるかどうかボーダーラインといった感じです。プラス面とマイナス面が拮抗している感じかなぁ。

マジシャン4人、J.ダニエルアトラスジェシーアイゼンバーグ、メリットマッキニーウディハレルソン、ヘイリーリーブスアイラフィッシャー、ジャックワイルダーデイヴフランコはマジシャン界で伝説的な謎の人物に集められフォーホースメンというスーパーイリュジョニスト集団でショーを行う。彼らはラスベガスのショーでパリの銀行から現金を奪うというマジックを見せ、FBI捜査官のディランマークラファロ、インターポールのドレイ捜査官メラニーロランが捜査に乗り出し、マジックのタネを明かすショーをやっている元マジシャンのサディアスブラッドリーモーガンフリーマンも加わってフォーホースメンとの華麗なる追いかけっこが始まる。

フォーホースメンのショーの様子は大がかりでとても楽しく、こんなエンターテイメントショーがあったらぜひ見に行きたいと思わせるもので、ただのショーではなく、ショーのスポンサーである資産家のアーサートレスラーマイケルケインを騙して鼠小僧よろしく彼の資産を彼の企業のせいで被害に遭った人たちに分配したり、鮮やかな手口で捜査の裏をかいたりとスカッとする反面、結局どうやってやったの?という部分が明かされるところもあるし、分からないままのところもあるしでその辺がちょっとスカッとしない。

最後に意外な黒幕が登場して、これまたどえらい遠回しな復讐劇でしたなぁという感じがしたのだけど、そこまでの展開が楽しかったから、まいっか~という気持ちもあったり。ドレイ捜査官が内通者なんじゃないかという疑いの部分は妙にもったいぶった感じがあったかな。マークラファロとメラニーロランのツーショットは残念ながらあんまりお似合いではなかったかも。

フォーホースメンの中ではワタクシは一番おっさんのウディハレルソンが良かったな。なんか口は悪くて調子が良いけど、心根は優しそうな感じが好きでした。デイヴフランコってジェームズフランコの弟なんですね。そう言えば少し顔が似ているけど、お兄ちゃんが陰、弟は陽といった雰囲気ですね。

来年「2」が公開されるということなので、なかなかに興行成績は良かったということなのでしょうか。「2」にはダニエルラドクリフが出るとかいう話なので、ちょっと楽しみにしておきます。





グローリー~明日への行進

2015-06-24 | シネマ か行

今年のアカデミー賞で作品賞と主題歌賞にはノミネートされたものの役者の部門ではまったくノミネートされず、それこそがまさに黒人差別であると話題になった作品。

製作の裏話としてスピルバーグが権利を持ちオリバーストーン監督で映画化しようとしたが内容に対して遺族の許可が得られず頓挫してしていたところ、新たにエヴァデュヴァネイ監督に決まり、スピルバーグのドリームワークス社が実際のキング牧師の演説の権利を所有しているため、類義語を用いて演説を書き直し製作にこぎつけたらしいです。これほどに超有名な人なのに、これが初の映画化だというのですから、その道がいかに困難だったかということなのでしょう。

ふむ。キング牧師の演説を彼の雰囲気を残したまま書き直すってすごい作業だっただろうな。ワタクシはこれまでキング牧師や公民権運動に関するドキュメンタリーをたくさん見てきましたが、そんな書き直しがされていることなんて全然気付きませんでした。まぁもちろん言語的な問題もあるけど、キング牧師を演じたデイヴィッドオイェロウォがする演説の雰囲気はとても本物っぽかったです。

裏話はすごいと思うのですが、映画作品のほうはと言いますと、正直ちょっと展開がトロいのと、活動家側と警察の衝突など息詰まるシーンはあるものの全体的に一本調子な感じで少し退屈してしまいました。

内容的にもドキュメンタリーなどでよく知っている者にとっては、目新しいことは少なかったです。ただ、キング牧師の団体内のもめごとや彼の団体と学生非暴力調整委員会との対立や、キング牧師の浮気(?)なども描かれていて、彼の人間的な側面も見ることができました。てか、FBIの盗聴不倫テープに関しては「これは私の声ではない」って言っていたけど、奥さんカーメンイジョゴに「私の他に誰かいるの?」と聞かれて「いない」と答える間の長いこと長いこと。嘘でもいいから即答してやれよー。毎日子供を殺すとか脅されて、毎日旦那もう帰ってこないんじゃないかと脅えている奥さんなのにさー、あんたは浮気しとったんかいっ!と偉大な人ということを忘れて心の中で思いっきり突っ込んでしまいました。

なんだか不謹慎な感じになってきてしまいましたが、、、映画は至極真面目にキング牧師と公民権運動を描いています。彼の公民権運動の中でもアラバマ州セルマでの選挙権を巡る戦いに焦点を当てています。憲法で認められているはずの選挙権。アメリカでは選挙人登録というのをしないといけないのですが、黒人がそれをしに行くと窓口の担当官が嫌がらせをして却下してしまう。申請に行った黒人の名前が新聞に出てリンチに遭う。雇い主に申請に行ったことがバレるとクビにされてしまう。というわけで実質選挙権を持つ黒人はごくごくわずかだった。それを変えようとセルマでデモ行進を行うのですが、警官隊が治安維持を根拠に妨害。催涙弾を投げつけこん棒で殴り制圧。その様子が全米でテレビ放映され、リベラルな白人たちもこの活動に参加を表明し始める。

人種差別意識が根強いアメリカの南部というのは、自分たちのやり方に連邦政府が口を出すことをとても嫌う性質があり、ジョンソン大統領トムウィルキンソンがアラバマ州知事ジョージウォレスティムロスを説得しようとしても言うことをきこうとしない。良く言えば郷土愛が強い地域なんだろうけど、間違った価値観がはびこって何世代にも渡って染みついているからたちが悪い。最終的にはジョンソン大統領の決断でやっと黒人の選挙権が保障される法律が整備されたけど、そこまでの道のりで犠牲者が多過ぎる。そして、人種差別の犠牲者は減ってはいるけどなくなってはいないんですよね。しかも、ここ数年警官がらみでまたよくニュースを聞くようになってきているし。

マルコムXナイジェルサッチが方向転換をして、キング牧師と運動を共にしようと働きかけてきたわずか数日後に暗殺されてしまいましたが、彼らが手を取り合っていたらあの後世界はどうなっていたのか見てみたかったです。

ワタクシの記憶が正しければジョンソン大統領は確か南部出身の大統領という立場を利用して、キング牧師や公民権運動にはわりと積極的に協力体制を取っていたというイメージだったのですが、この作品中では、かなりキング牧師と対立して法整備ものらりくらりと言い訳をしてなかなかしようとしていませんでした。本当んとこどっちだったのか分かりません。

レストランで同じテーブルにつく、同じ学校に行く、同じバスに乗って好きな席に座る、選挙に行く。こんな当たり前のことがついこないだまでアメリカ南部では認められていなかったなんてね。本当に反吐が出る話です。

人種だけではなくありとあらゆる差別がはびこるこの世界ですが、これは「価値観の違い」などではなく「間違った価値観である」ということを子どものころからはっきりと教えなければいけないと思います。


寄生獣

2015-05-15 | シネマ か行

先日テレビ放映があったので見ました。原作はまったく知りません。

漫画がとても面白いということで原作のファンの方はこんなんじゃない!と思った方もいるのかもしれませんが、映画(しかも前編だけ)を見た感想としては単純に面白かったです。

新一染谷将太の脳を乗っ取ることができず右手に寄生したミギー阿部サダヲがコミカルで見た目は気持ち悪いのになぜか妙に可愛らしかったです。ワタクシ普段阿部サダヲってそんなに好きじゃないんですが、ミギーは好きでした。

突如地球にやってきたパラサイトたちが人間に寄生して次々と人間を捕食していく。人間を乗っ取っているので見た目は普通の人間と変わらない彼らだが、新一はミギーが同種を検知するため彼らが本物の人間か寄生された人間か分かる。

このパラサイトたちが人間を喰う姿がすごい。頭がぱかっと開いたかと思うとでっかい口でばくり。なんの躊躇もない。彼らにしてみればただ食事をしているだけなので、躊躇があるはずもない。ワタクシたちが牛のステーキを食べるのと同じだ。

新一は人間を食べるなんてどうかしている!とミギーに訴えるが、そんな理屈がパラサイトたちに通用するわけない。「価値観違い過ぎるよー」と新一は嘆くがまさにその通り。ワタクシたち人間だって牛や豚を食べるなんて牛や豚からすれば「どうかしている!」のだろうから。それに考えてみればのほほんと歩いていたら突然食べられるっている状況にない生物というのはもしかしたら人間くらいのもんかもしれない。

しかし、ミギーは宿主である新一が死んでしまうと自分も死んでしまうため新一とは協力体制を取ることにする。

一方、田宮良子深津絵里という教師を乗っ取ったパラサイトは、人間を食べつくしてしまう自分たちのやり方では生き延びていけないと考えなんとかうまく人間と共存する方法を模索していた。彼女はAと呼ばれるパラサイト池内万作と人間の体を使って交尾し、体は人間、脳はパラサイトという状態の子をお腹に宿している。これも彼女の実験のうちのひとつというわけだ。この田宮良子という人が新一&ミギーとともにキーパーソン(パーソン?キーパラサイトか)と言えると思う。後半彼女がどんな活躍をするのか楽しみだ。

事の真相を知っている新一は攻撃的なパラサイトAや彼の高校に入ってきたパラサイト島田秀雄東出昌大と戦おうとするがAは新一の母親余貴美子の体を乗っ取り失踪してしまう。島田は高校で素性がばれてしまい大暴れ。新一の彼女・村野里美橋本愛も巻き込まれるが新一はなんとか助ける。

身体をパラサイトに乗っ取られた母親との対決はつらいものがあったな。新一はもっと全然攻撃できずにいるのかと思ったけど意外とちゃんと戦っていた。まぁあそこまで容赦なく攻撃されたら仕方ないけれど。しかし最後に新一を救ったのは母の愛だった。という予想できる展開だけど、やっぱりちょっとじーんとしちゃったな。

エグいシーンはテレビ版でもしかしたらカットされていたのかもしれません。でもミギーを始めとしてCGはとてもリアルでした。東出昌大や深津絵里のような美男美女の頭がぱかっと割れたりするのはなんだかとてもシュールな感じがしました。

染谷将太の演技はすごくうまいんだけど、なんだか鼻につく。いや、うまいんだけどねー。心臓突かれてから助かって血まみれで立ち上がるシーンなんかものすごくうまかったしな。なんだろ、彼の喋り方がワタクシが苦手なだけかもしれません。彼が人差し指をぴょこっと出して喋っているのはちょっと笑えました。

後半を見てからしか全体的な判断はできませんが、前半はとても面白くて後半見たい!と思わせる作りになっていました。


グッドライ~いちばんやさしい嘘

2015-04-20 | シネマ か行

予告編を見て面白そうだと思ったので見に行きました。

1980年代にアフリカのスーダンで内戦があり、南スーダンの村を北スーダンの兵士に焼き払われ親たちを亡くした子供たちはエチオピアにある難民キャンプを目指して歩き始める。しかし、途中でエチオピアも危険で引き返してくる一行とともにケニアへと向かう。一行の向かう先に兵士たちがいると分かった子どもたちは兄のテオをチーフとし、妹アビタル、弟マメール、途中で出会った同じ年頃で信心深いジェレマイアと少しやんちゃなポールの5人で団体とははぐれて別の道を行く。みなで休憩していたとき、ひょっこり背の高い草から頭を出してしまったマメールは北の兵士に見られてしまう。慌てて頭を引っ込めたが兵士は「出てこい」と脅してきた。怖くて頭を出せずに隠れていたマメールの代わりに兄のテオが立った。「仲間とはぐれたんだ」とあくまでも自分一人しかいないと兵士に信じさせたテオは兵士に連れ去られてしまう。テオのいなくなったグループはマメールをチーフとしケニアを目指して歩いた。合計で実に1200キロ以上もの距離を子どもたちだけで歩いたのち、やっとケニアにたどり着く。

ケニアの難民キャンプ。13年後。なんと13年もの間彼らは難民キャンプの中だけで生活をしていた。大きくなったマメールアーノルドオーチェン、アビタルクオスウィエル、ジェレマイアゲールドゥエイニー、ポールエマニュエルジャルはアメリカの支援団体がいつか自分たちをアメリカへ亡命させてくれるものと信じ仲良く暮らしていた。そして、ついに彼らにそのチャンスが巡ってくる。彼らの行先はカンザスシティー。飛行機に乗せられた彼らの胸は希望でいっぱいだった。

しかし、その希望はアメリカ・ニューヨークの空港で打ち砕かれた。支援団体のポリシーで女性は一般家庭にホームステイし、男性はユースホステルのようなところで共同で暮らすという規則になっており、アビタルだけがカンザスシティーではなくボストンに行くことになっていると聞かされる。この時の全員の悲痛な涙。正直、最初のほうの彼らがサバンナをずーーーっと歩いているシークエンスはちょっと長すぎるなぁ、ここはもうちょっとはしょっても良かったんじゃないの?と思いながら見ていたのですが、この空港の場面で気持ちが変わりました。あんな辛い内戦を経験し、キャンプにたどり着いてからも13年間片時も離れることなく一緒にいた彼らが団体の規則で簡単に引き離されてしまった。彼らの悲しみと不安、そして、絶対に何とかしてまたアビタルと一緒に暮らせるようにするんだという決意が、あの最初のシークエンスがきちんと描かれていることですごくよく伝わってきました。

カンザスシティーに着いたマメール、ジェレマイア、ポールを迎えに生きたのは職業紹介所のキャリーリースウィザースプーン。彼らに職業を紹介して終わり、となるはずだったキャリーと彼らの関係が徐々に深まっていく様子が描かれていく。

アメリカに着いてからしばらくは、かなり笑えるシーンが続きます。まずは機内食で出てきたパンに塗るマーガリンをどうしていいか分からずべろっと全部食べてしまったり、携帯電話で話すキャリーのことを独り言を言う人だと思ったり、マクドナルドのジュースのストローをどうするのか分からなかったり、キャリーが年頃をとうに過ぎた女性なのに結婚していないことを不思議がったり、キャリーが何度も電話しているのに電話など見たこともない彼らは何かの警報が鳴っていると思って放置しキャリーを心配させたり、キャリーの上司ジャックコリーストールの持つ牧場で「危険な動物はいますか?ライオンとか?」と言って冗談だと思われたり、まぁとにかくカルチャーギャップが笑えます。スーダンでは普通なんだろうけど、大の男3人で手をつないで歩くマメールたちが可愛いんだー。ジャックはギョっとしていたけどね。

なんかねー、こういうの、日本人だったら事前に詳しく講習会とか開いているような気がするんだけど、そんなことよりとにかく助けましょうって感じで飛び込ませてしまうところがアメリカ人っぽいなぁと思いました。良い意味で。

徐々にアメリカの生活に慣れようと頑張る彼らだったが、次第に現状への不満から不協和音が聞こえ始める。学校も行き始め仕事も順調なマメールと違い、ポールは職場でいい加減な仲間と付き合うようになり、問題行動を起こし警察に捕まってしまう。迎えに行ったキャリーたちの前でポールはマメールがアビタルを行かせたこと、サバンナでテオを死なせてしまったことをなじりケンカになる。アビタルが一緒にいられないことが彼らにとって非常に大きな問題であるということを改めて認識したキャリーはアビタルのホストファミリーになることを決意する。

アビタルがカンザスシティーにやってきてポールたち3人は大喜び。これで何もかもまたうまくいきそうになった。そんな時アビタルがキャンプから手紙が来たことをマメールに知らせる。それはある男がキャンプに来てアビタルとマメールのことを探していた、と知らせる手紙だった。2人を訪ねてきたある男。家族の誰かとしか考えられない。兵士に連れ去られたテオは生きていたのでは?

マメールは妹と弟がこちらにいるのだから、兄のテオもアメリカに呼んでほしいとキャリーたちと一緒に移民局に訴えるが、時はニューヨーク同時多発テロの後の世界。マメールがアメリカに来たころとはすっかり事情が変わってしまっていた。テロ支援国に指定されているスーダンの難民をもうアメリカは受け入れてはいないと言うのだ。

それでも現地に行ってテオ本人を探し、なんとかビザを発行してくれる大使館を探そうとマメールは独りケニアの難民キャンプに戻っていく。ついに再会することができたテオとマメール。テオはリウマチを患っていた。そんなテオをアメリカに連れ帰ろうと必死で大使館めぐりをするマメール。ある日、ついにビザが取れたよとテオと一緒に空港に向かった。出国手続きの列に並びながらマメールはテオに「これからはいつ誰に聞かれても名前はマメールと言うんだよ」と言う。実はテオのビザは降りておらずマメールになりきって出国させるつもりだったのだ。驚くテオだったが、マメールの決断を受け入れる。病気のテオをアメリカに行かせて自分は難民キャンプに戻り医師の手伝いをすると言うマメール。これは「良い嘘(グッドライ)」なんだとテオに言い聞かせて。

もう後半はずっと泣き通しでした。悲しい涙もあれば温かい涙も。後半というかワタクシ、JFK空港でアビタルだけ引き離されるところですでに泣いていたんですけどね。。。キャリーが「彼らにさよならって言うと死ぬほど寂しい顔をするのよ」と彼らのことを言っていた時も泣けたな。それだけで彼らの受けた悲しみを想像してあげられたキャリーの優しさに胸を打たれました。彼らがキャリーに「偉大な白い牛」というあだ名をつけたのも納得です。

マメール以下スーダン難民の役は実際に難民だった人たちが演じています。ジェレマイアとポール役の人は少年兵にされていた経験もあるのだとか。なぜかまったく宣伝されていない作品ですが、非常に良い作品なのでぜひたくさんの方に見ていただきたいです。


清州会議

2015-03-09 | シネマ か行

ケーブルテレビで見ました。清州会議というのは多分超有名な会議なんだろうけど、すみません、ワタクシ、日本史は苦手で、全然知りませんでした。というわけですので、清州会議って何?と思っている奴の感想です。

清州会議って何?と書きましたが、一応、作品の概要として「信長篠井英介と長男信忠中村勘九郎亡き後、織田家の跡継ぎを決めるための会議」ということだけは存じておりました。

会議に集まったのは織田家の家臣柴田勝家役所広司、丹波長秀小日向文世、羽柴秀吉大泉洋。もう一人来るはずの滝川一益阿南健治が遅れていた。勝家と長秀は織田家の三男信孝坂東已之助を跡継ぎに押しており、秀吉は次男の信雄妻夫木聡を押していた。滝川が到着しないため、もう一人を会議に参加させることになり池田恒興佐藤浩市が選ばれるが、勝家側と秀吉側が池田を取り込もうと裏工作に出る。

次男の信雄はちょいとオツムの足りない子で、秀吉は彼を跡継ぎにすれば自分が後見人として自在に操ることができると踏んだのだったが、信雄のあまりの馬鹿さ加減にさすがの秀吉もこりゃダメだということになり、信長の長男信忠の長男でまだ幼い三法師を押すことにする。

作品のポスターを見てもらえば分かるんだけど、いま書いたよりもさらに登場人物が多くて、勝家、秀吉、お市の方鈴木京香の関係とかそれぞれの思惑、策略などが描かれていてなかなかに忙しい。

歴史に詳しい方が見たら怒られちゃうような作品なのかなぁと思いながら見ていました。ワタクシは普通に楽しめました。三谷幸喜監督にしては笑いの要素は少なかったと思いますが、それぞれのキャラクターの性格が生きている作品だと感じました。またそのキャラクターっていうのがそれぞれのイメージと違うとお叱りを受けるっていう具合になると思いますが。

情に厚いけど、そんなに切れ者ではない勝家と自分は庶民、庶民と言いながら裏では相当大きな野望を持っている秀吉。そんな秀吉を陰になり日向になり支えるお寧中谷美紀。自分の夫と息子を殺した秀吉への復讐のため秀吉が一番嫌がるであろう嫁ぎ先である勝家のところへ嫁に行くお市の方。自分の父・武田信玄の血を絶やさず息子に天下を取らせようと計算する松姫剛力彩芽。陰謀うずまく戦国の世を三谷幸喜は彼らしく飄々と描いています。

大泉洋という人はとても器用な人だと思いますが、今回の人たらし秀吉も非常に合っていました。表の顔は誰にも親しみやすい猿。裏の顔は計算高い策略家。そんな二つの顔を非常にうまく演じていました。そして、お寧を演じた中谷美紀も素晴らしかったなぁ。キレイ処の女優さんなのに、今回のお寧はちょっとした汚れ役。もっともコミカルな役と言ってもいいかもしれません。ま、「嫌われ松子」を演じた人ですもんね。これくらいお手の物だったかも。あの踊りは志村けんみたいで、よくやったなぁという感じ。出番は少なかったけど、たわけものを演じた妻夫木聡も良かったな。なんか可愛らしかったです。付け鼻で一瞬誰か分からなかった。

最後の最後まで憎ったらしい計算づくの秀吉にころっと騙される勝家と実は一番計算高かった松姫にニヤリとしました。


孤高のメス

2015-01-29 | シネマ か行

新人医師の中村弘平成宮寛貴の母浪子夏川結衣は看護師だったが、自分の勤めていた病院で倒れたにも関わらず病院をたらい回しにされ死亡する。母の日記を見つけた弘平は母が長年勤めていた市民病院での仕事への愚痴が綴られていた。

片田舎の市民病院では近くの大学病院から来る野本生瀬勝久という外科医が手術を担当していたが、いたずらにメスを入れては開けてはみたもののどうにもならないと閉じて患者や家族に嘘の説明をするなど、うんざりするような仕事ばかりだと書かれていた日記が、ピッツバーグ帰りの当麻鉄彦堤真一という外科医がこの病院に赴任してきてから書かれる内容の様子が変わってくる。

当麻は、こんな病院では大きな手術は無理、難しい手術は全部大学病院に回す、手術の最中にトラブルが起こり大学病院への搬送が間に合わず患者が死亡した場合は寿命だったと諦める、というこの病院の体質に真っ向から反対し、自らの手でどんどん見事に患者を救っていく。

同じくアメリカで働いていた実川剛松重豊に当麻ほどの腕があるのにこんな小さな病院で働くなんてもったいないと言われる当麻だが、彼は「地域医療の底上げをするためだ」と話し、地位にも名誉にもまったく興味がないという姿を見せる。

そんな中当麻の採用を決め支援してきた大川市長柄本明が肝硬変で倒れ、助けるためには肝臓移植しかないと分かる。同じころ浪子の知り合いの音楽教師・武井静余貴美子の息子誠太賀が事故で脳死状態に陥り、当麻は当時まだ法律で認められていなかった脳死肝移植に踏み切る。

「孤高のメス」というタイトルから非常に冷徹で暗い感じで医局内の醜い争いなどが中心に描かれる物語なのかと勝手に想像していたのですが、当麻先生のキャラクターが冷静でありながらちょっと抜けたところがあるというか、医学に関してはものすごく精通しているけど、世間のことにはちょっと疎かったり、手術中に都はるみを流したりとなかなかユニークなところがある先生で面白かった。当麻は医師として優秀なだけでなく人間性も素晴らしい人だった。浪子の同僚看護師が手術中に都はるみを流されるのはイヤだと主張し、多数決で都はるみが却下されたときの当麻先生の顔が最高だった。(自分ではみんな気に入っていると思っていたようだ)

それでいて手術の手際は素晴らしく見ていて惚れ惚れするくらい。オペ看の浪子が当麻先生に認めてもらおうと一所懸命に勉強する気持ちがとてもよく分かる。やはり素晴らしい仕事をする人というのは口でごちゃごちゃ言わないでも背中を見て周りは育っていくものですよね。

大学病院の医師との対立もあるものの、院長平田満や市長の当麻への後押しがきちんとあったのも見ていて気持ちが良かった。

武井静、誠親子と浪子、弘平親子の交流もあいだあいだで丁寧に描かれていたので、最後に誠が事故に遭い脳死状態になったときには見ているのがとても辛かった。

当麻が医師生命を掛けてまで老齢の市長を救う必要があったのか?というのは個人的に疑問に思うところだったんだけど、誠の母・静の思いも受けてのことだったのだろう。

起訴こそされなかったものの、脳死肝移植に踏み切った責任を取って病院を去る当麻に浪子別れを告げるシーンは、「あなたは最高のナースでした」という当麻の浪子へのセリフなどちょっと月並みなところがあったけれど、それでも涙が止まらなかった。

全体的に非常に素直過ぎると言ってもいいほど作りなんだけど、当麻の実直なキャラクターのおかげかそれが鼻に着く感じではなかった。

弘平が最後に当麻が院長を務める病院に就職するのも超ベタなんだけど、なんだかとても心があたたかくなりました。


凶悪

2015-01-22 | シネマ か行

ケーブルテレビで見ました。実際にあった事件を基にした作品。

映画の冒頭、一体何がどうなっているのか全然分からない。いきなり須藤純次ピエール瀧というヤクザみたいな男が舎弟小林且弥と一緒に一人の男を痛めつけ、あげくに手を縛ったまま川に落としてしまうシーンや、男の前でその男の彼女を順番にレイプしその男にガソリンをかけて火をつけるシーンなどが映し出され、最後に舎弟までも車の中で撃ち殺してしまい、その後逮捕される。これが「凶悪」な男の正体か、と思ってみていると実はこの「凶悪」とはこの須藤という男のことではないらしい。

数々の殺人容疑などで死刑が確定した須藤は、ジャーナリストの藤井修一山田孝之に手紙を書く。自分にはまだ余罪があり、その首謀者である“先生”リリーフランキーと呼ばれる男がのうのうとしゃばで生きていることが許せず、その余罪を藤井に告白するからそれを記事にして“先生”を摘発してほしいというものだった。

一度面会に赴いた藤井は須藤の告白の内容に驚き、少しでも事件の証拠になるものはないかと探し始めるのだが、なにしろ須藤自身が被害者の名前すら知らなかったり、被害者を埋めた場所などをはっきり覚えていなかったりで、調査は難航するが少しの手がかりを元に藤井は地道に事件の全容を明らかにし始める。

藤井の上司はこんなものは記事にならない。したとしても部数は伸びない。それなら大物議員の不倫写真を撮ってこい。と言うが、藤井はどんどんと事件にのめり込んでいった。

須藤が告白したのは“先生”と呼ばれた木村孝雄という不動産ブローカーが、彼に借金をしていたある男性を殺害したため遺体の処理を相談され、焼却炉で燃やした事件、土地を持っていた男性を生き埋めにして殺害し土地を木村が手に入れた事件、借金のある電気屋の男性を自分の会社で働かせ無理やり酒を飲ませ暴行したあげく山中で車の事故に遭ったように見せかけて殺害した事件の3件だった。(事件の内容は実際とは少し変更はされているらしい)

須藤が「凶悪」かと思ったらこの木村という男のサイコパスぶりには驚いた。須藤は根っからのチンピラヤクザであり、実行部隊としての怖さはあるが、「死の錬金術師」と呼ばれる木村の「凶悪」っぷりは恐ろしすぎる。

映画的にはピエール瀧とリリーフランキーの演技がすごい。山田孝之も演技派だし、今回は受けの演技が光ってはいたが、前述の2人のインパクトがすご過ぎてちょっと霞んでしまったような気がした。

ピエール瀧扮する須藤は当然彼も凶悪と呼べる非道なことを平気でやる男なんだけど、一方で内妻や娘には優しいところや刑務所で知り合った佐々木米村亮太朗という男や舎弟に対しては情の厚いところもあったりして、(というか、そういうのって典型的なチンピラヤクザかもしれない)そういう面をうまく見せていてとても役者が本業じゃないとは思えなかった。記事を書いてくれるという藤井に対しても終始紳士的な態度だったが、編集者の反対で記事にならないと知ったときの変貌ぶりは役柄だと分かっていても本当に怖いくらいだった。

リリーフランキー扮する木村は無理やりお酒を飲ませた被害者のおじいさんにスタンガンを押し付ける須藤たちを見て大笑い。そして「俺も!俺も!」と嬉しそうにスタンガンを受け取ってうきゃきゃきゃうきゃきゃきゃと嬉々としておじいさんを痛めつける姿なんてもうまじでこの人サイコなんじゃないかと思わせるくらいだった。もともとリリーフランキーって怪しい目をしているから余計になぁ。。。この作品を見た直後から「日野の2トン」のCMが始まったんだけど、あの中のリリーフランキーを見るのが怖くてしょうがない。

山田孝之に関しては須藤や木村と対峙するときの演技は本当に素晴らしかったと思う。ただちょっと彼の家庭内の事情とかそういうのはちょっと取ってつけた感があって、そのせいで少し山田孝之の演技の評価も落ちてしまうような部分があってもったいない。

この事件に取り憑かれ、家庭を顧みずに没頭する藤井に妻池脇千鶴が「あなただって面白かったんでしょ?私だって正直記事を読んで面白かった。へ~人ってこんな殺され方するんだぁって」と言って藤井を怒らせるシーンがあるんだけど、あれにはワタクシも少しドキッとしました。なんかね、ぶっちゃけそういう怖いもの見たさみたいなところってあると思うんですよね。こういう事件を語るとき。真相を暴くために懸命になっていただけだと藤井は言うだろうけど、そういう下世話な好奇心というのも否定はできないと思う。

刑務所でキリスト教徒になったと言い、生きて被害者の方たちに懺悔したい、神は私に生きなさいと言ったなんて都合の良いことを言ってしまう須藤に対して、「お前が一番俺を殺したいと思っているだろ」とまるでお前も俺とそう変わらない人間さと藤井に薄ら笑う木村とは所詮悪のレベルが違うんだろうね。

冒頭に見せられた須藤の訳が分からなかった悪行のシーンが、藤井が事件を調べていく過程で分かるようになっていて、映画の流れとしてとてもうまい作りになっていると思う。128分間、胸糞の悪くなることばかり起こるので、これから見る方は要注意です。


ゴーンガール

2014-12-16 | シネマ か行

激しくネタバレしています。

予告編を見て面白そうだったし、ベンアフレックデヴィッドフィンチャー監督も気になるので見に行くことにしました。

結婚5周年の記念日に忽然と自宅から姿を消した妻エイミーロザムンドパイク。自宅のリビングに争ったような跡を見つけた夫ニック(アフレック)は警察に通報する。到着したボニー刑事キムディケンズはリビングの跡が明らかに偽装されたようであることに気付いてはいたものの、ニックに対して公平に捜査を進めていた。

始めは悲劇の夫として周辺住民やメディアから扱われていたニックだが、徐々にその目は嫌疑の目へと変化していく。

妻が失踪や殺害された場合"It's always the husband."と刑事ものでよく言われるように、夫が第一容疑者として見られるのが常である。果たしてニックはエイミーを殺害したのか?

現在の状況と並行して、エイミーとニックの関係が出会いからかいつまんで語られていく。誰もがうらやむような素敵な関係に見えた2人。ロマンティックな出会い、夫婦になってからも決して世間のマンネリ夫婦のような関係にならないでいようとする2人。こんな2人に一体何があったのか。誘拐や殺害をしないまでも現在のニックが双子の妹マーゴキャリークーンに話す口調から、どうもエイミーとニックはうまくいっていなかったように聞こえる。付き合って2年。結婚して5年。その7年の間に2人の関係にどう変化があったのか。

エイミー失踪の謎と世間のニックに対する目が変化していき、ニックにも何か隠し事がありそうだと思わせこいつもなかなかどうして怪しいのではと思っている前半部分のほうが面白かった。エイミー失踪の謎が分かり、それからまたどうなるの?という後半はつまらなくはないけど、前半ほどサスペンスフルではなかったかな。

エイミー失踪の謎そのものは予想の範囲内だったわけだけど、その失踪準備もそうだし、それが破たんしてからのエイミーの行動もあまりにも作り込まれ過ぎているなという感じがしました。エイミーがあそこまでのサイコパスだったってビックリだよねー。7年間も普通にしていたわけだし。ニックとの夫婦関係が自分が理想として思い描いていたものではなくなった途端にその本性が出たと考えればいいのかなと自分を納得させているのですが、それで合っているのかな。将来的にもそうだけど、ニックが自分の理想の夫であり続ける限り、エイミーは「普通の女性」を演じ続けていられるということでしょうか。

エイミーの計画が破たんしてからプランBに変更したわけだけど、そもそもプランAがうまくいっていたらエイミーは自殺して死体をあげ、ニックを死刑に追い込むつもりだったんだよね?となると、自殺してまでニックを陥れたかったエイミーはめちゃくちゃ怖いけど、エイミーをキレさせたのはニックの浮気現場を目撃したからであって、つまりニックへの愛は嘘ではない、というか愛ゆえにだったのか。。。いやーゆがみ過ぎた愛でそれも怖くはあるのだけど、自分でニックを殺すのではなく、自分を殺してニックを死刑に追い込むというところが女性のサイコらしい考え方だったのかもしれない。

最後まさしく囚われの身となってしまったニックはこれからどうなるんだろう。こえーなー。あの家庭に生まれてくる子供もどうなっちゃうんだろう。。。今度は本当にニックがエイミーを殺しちゃうんじゃないかと思うけどな。それも自分の子供の母親だからという理由で無理になってしまったということかな。

失踪した妻、悲劇の夫、その愛人なんかがテレビに出てべらべらと自分のことを話し、いっときスポットライトを浴びるっていうのはいかにもアメリカのワイドショーって感じだね。そして、視聴者もやたらと誰かに肩入れしたりしてね。

この映画のレビューを見ていると「女ってコワイ」っていう感想がよく上がっているのが不思議です。男の連続レイプ殺人犯とかの映画の感想で「男ってコワイ」なんてのは全然目にしないけど、女性のこういうキャラクターが登場する映画の感想には必ず「女ってコワイ」っていう感想が上がる。なんで?エイミーって超特殊なサイコパスだと思うけどなー。なんで女性だといっしょくたになるんだろ。女性と付き合うのがトラウマになるとまで書いている人がいるんだから。不思議だね。

ロザムンドパイクはこの作品で一気に脚光を浴びたでしょうね。ワタクシはニックの双子の妹を演じていたキャリークーンが気になりました。


グレースオブモナコ~公妃の切り札

2014-10-20 | シネマ か行

始めはあまり興味がなかったのですが、予告編を見たら面白そうだったので見に行くことにしました。

これは実話をベースにしたフィクションということらしく、モナコ王室はこの作品を認めていないのだとか。どこまでが実話でどこからがフィクションなのかというのが分からないのがちょっともどかしいところなのだけど、この映画を見た限りの感想を書きます。

ハリウッドを去り、モナコ公妃となって6年。モナコの公用語であるフランス語をうまく話せず、王室の堅苦しい礼儀作法に慣れず、貴族階級から認められず、夫レーニエ公ティムロスは忙しすぎてすれ違いの生活を送り焦燥感の募るグレースケリーニコールキッドマンの元にヒッチコックロジャーアシュトングリフィスがやって来て新作「マーニー」の出演依頼をしてくる。ハリウッドへの復帰を願うグレースケリーだったが、モナコはフランスから属国扱いを受け国家存亡の危機に陥っていた。

ハリウッド女優がモナコ大公に見初められて結婚しお妃になったというお話は劇中でも何度も語られるように、まさにおとぎ話のようで、子供も早々に生まれ大公に愛されて順風満帆の人生を送ったのかと思いきや、この作品の中では、歯に衣着せぬ物言いをするアメリカ人として、王室の社交の場では疎まれ、どこの馬の骨とも分からないアメリカ人風情がと貴族たちには慕われず孤立した生活を送っていた様子が語られていて意外な気がした。

レーニエ公、グレースケリーを囲む人たちとしてオナシスロバートリンゼイ、マリアカラスパスベガなども登場してそういうのを見ているだけでも楽しい面がありました。ただレーニエ公、グレースケリーともに慕っていたようだったタッカー神父フランクランジェラという人が一体どんな存在の人だったのかいまいち分からなかった。アメリカに途中で帰っちゃった事情もよく分からなかった。

ハリウッド女優からモナコ大公妃となったグレースケリーのことは知らない人はいないわけで、好き嫌いは別として正統派美人という意味で言えばいまだに彼女の右に出る者はいないと言っても過言ではないと思う。そんな彼女を現代のハリウッドで演じるとしたら、確かにニコールキッドマンしかいなかったかもしれないな。そのニコールの女優魂が劇中のグレースケリーのモナコ公妃を演じきるという女優魂と重なってまさにニコールのワンマンショーのような作品だった。横に写真を並べれば似ていない2人なんだろうけど、オリヴィエダアン監督がうまく似ているように見えるカメラアングルを選んで映していたように思う。

ニコールキッドマンはちょっとお直しし過ぎ感があって、顔も引っ張り過ぎだなぁと思うのだけど、それでもやはりすらりと伸びた脚や全体的に醸し出す雰囲気などはとても美しく寝起きにさらっとシルクのガウンを羽織って小走りに廊下を行く後姿なんてもう、あなたそれ着て生まれてきたでしょ?っていうほどの神々しさ。それ以外にも公妃として当然とても華やかな衣装の数々が披露されるわけでニコールがそのすべてを見事に着こなしているのがもうため息ものでした。ただもうしわ伸ばしに関しては今が本当に限界だと思う。今でもかなり顔の筋肉が動いていないからこれ以上やると本当に女優として致命的になってしまう。

舞踏会のシーンでマリアカラスの歌が聞けて、とても心地よい気分になっていたらエンドロールの曲がなんか映画の世界観とは全然合っていなくてびっくりしました。あの曲が悪いというのではなくて作品とは合っていないと感じました。

カンヌでも評判は良くなかったらしいですが、日本人好みの作品ではないかなぁと感じました。


荒野はつらいよ~アリゾナより愛をこめて

2014-10-16 | シネマ か行

「テッド」セスマクファーレンがまたもや監督兼主演、アマンダサイフリッドが出演するっていうんでずっと前から楽しみにしていました。

「テッド」をご覧になった方ならばお分かりになると思いますが、この作品ももうしょっぱなから下ネタオンパレード。セックス系の下ネタから排泄物系の下ネタ、人が死ぬ系やら人種差別系のブラックジョークともうこれいつもの「R-生真面目さん」ってやつです。

舞台は1882年のアリゾナ。西部劇の舞台となるような時代と場所。荒くれ者が町を牛耳る時代に生きるヘタレ男アルバート(マクファーレン)という羊飼いが主役。彼にはルイーズ(アマンダ)という美人の恋人がいたもののあまりのアルバートのヘタレっぷりに町の商売人で金持ちのフォイニールパトリックハリスに彼女を取られてしまう。

そんなある日、町に引っ越してきた謎の美女アナシャーリーズセロンと友達になったアルバートは、アナの薦めでルイーズにアナと一緒にいるところを見せ付ける。成行き上アルバートはルイーズを賭けてフォイと決闘をすることになってしまう。ヘタレなアルバートに銃など撃てるわけはなかったが、なぜか銃の腕が抜群のアナに特訓を受けることになる。特訓をするうちアナとアルバートの距離は縮まって行くが、実はアナには重大な秘密があり…

とまあ、一応ストーリーはちゃんとあるんですけど、とりあえず会話のすべてに下ネタが何かしら挟まれていて笑うのに忙しい。アルバートの親友エドワードジョヴァンニリビシは娼婦のルースサラシルバーマンと恋人で、彼女は一日十数人の客を取っているのにエドワードとはお互いにカトリックだから結婚まで性交渉は持たないとか言っちゃってて、娼婦ルースの客との会話とかその説明とかもうえげつないほどの下ネタだし、そういうセックス系の下ネタだけじゃなくて、この西部開拓時代は現代とは違って些細なことで人が死んだという話があって、本当にくだらないことで人がばかばか死んでいく様子を見せたりというブラックジョークも多い。元々原題が「A Million Ways To Die in the West」で「西部で死ぬ100万の方法」って意味だからそれを紹介していく作品みたいな側面もある。

そして何と言ってもバカ受けしたのが「バックトゥザフューチャー」のドククリストファーロイドが登場したシーン。そうそう!「バックトゥザフューチャー3」の舞台は西部開拓時代だったよなー。そのシーンのBGMがしっかり「バックトゥザフューチャー」だったのも嬉しかった。アルバートがネイティブアメリカンの部族と交流するところは「ダンスウィズウルブズ」のパロディだったのかなぁ?最後のジェイミーフォックスの登場は「ジャンゴ~繋がれざる者」ですね。あと、アメリカドラマ「ママと恋に落ちるまで」のニールパトリックスミスの"Chanllenge accepted."という決めゼリフを彼に言わせたのも絶対わざとですね。日本であのドラマを見ている人がどれくらいいるか分からないけど。カメオ出演者の中にユアンマクレガーパトリックスチュワートって書いてあるんだけど、どこに出てきたか見つけられなかったな。多分ライアンレイノルズくらい一瞬だったんでしょう。DVDが出たらチェックしなくては。

アナが実は西部のお尋ね者クリンチリーアムニースンの妻だったということが分かり、アルバートは大ピンチに陥るのですが、アナもアルバートに恋をしておりクリンチをやっつけてアルバートの元に帰って来ます。アナがクリンチをやっつけたシーンがこれまた大笑い。アナを襲おうとズボンを脱いだクリンチに一撃をかましてノックダウン。アナはなぜかその裸のお尻にお花を刺して逃亡するのですが、あのお尻、本当にリーアムニースンのお尻だったのかなーって後半はそればかり気になってしまいました。

アマンダ目当てで見に行ったのですが、アマンダの出演時間はめちゃくちゃ短くて、あまり良い役でもなかったのはちょっと残念だったけど、彼女はユーモアのセンスがある人だから「ギョロ目」とか言われても多分ノリノリで撮影してたんだろうなぁと思います。今回アマンダの可愛さよりシャーリースセロンの美しさがものすごく目立っていました。彼女はもちろん素が美しいのだけど、わざと汚れ役を選ぶ傾向があるので素直にキレイなぁ~って思えたのは久しぶりだった。こういうスタイルが個人的に好きなせいもあると思うのだけど、アマンダの貴婦人スタイルとは対照的なカウガールスタイルにロングのブロンドヘアがすごくキレイだったなぁ。

本当にえげつない下ネタもあるので、こういうの好きな人には超オススメいたします。


記憶探偵と鍵のかかった少女

2014-10-06 | シネマ か行

アメリカドラマ「アメリカンホラーストーリー」でとても魅力的なタイッサファーミガが出演しているということで見に行くことにしました。予告編も面白そうだったし。

人の記憶に入り込める記憶探偵のジョンマークストロング。奥さんが自殺してしまってからスランプ気味の彼に刑事事件ではなく食べ物を口にしなくなった16歳の少女・アナ(タイッサ)の記憶を探って問題を解決するという仕事が舞い込む。継父の不倫現場を目撃した幼少時、いじめられた学校でのことなどアナの記憶から彼女の問題を探っていく。

アナは非常にIQが高くいわゆる「ギフテッド」というやつでそのせいで普通の世の中に順応できないでいる少女という感じだったが、彼女の過去のファイルを見ると寮のルームメイトたちの殺人未遂事件や教師の淫行事件など怪しい事件が彼女の周辺では起きていた。

設定もキャストもとっても魅力的なんですがねぇ、、、ちょっと期待し過ぎたかな。監督がホルヘドラドというスペインの人らしいのですが、スペインというとアレハンドロアメナバル監督を思い出して、あぁちょっと似ているなぁと勝手に思ってしまった。

16歳の魅力的な少女にほんろうされるおじさんという図は、映画としてとてもよくあるよねぇ。一種のおじさんの願望が入っているからなのか。今回その魅力的な少女が最近超注目しているタイッサファーミガということでかなり期待していたんだけど、あまり彼女の魅力が出し切れていなかったような気がする。彼女のせいで出し切れていないというよりも演出の悪さのせいではないかなと思うのはワタクシのひいき目のせいでしょうか。

彼女は本当はサイコパスなんかじゃなくて、本当に本当のことを言っているだけじゃないのか?なぁんて一瞬でもくらっと信じてしまいそうってな部分が全然なかったんだよなー。それはやはり監督の責任だと思う。

なんかよく分からんけど、そもそもアナの両親からの依頼でアナに食べさせてくれってことだったわけで、それに関してはなんとまぁあっさりとクリアしちゃうのよね。。。え?じゃあもういいじゃーん、みたいな。アナを施設に入れたい継父に食べ物に幻覚剤か何かを入れられて狂人扱いされて施設に送り込まれるというアナの心配もすぐに分かったのに、それに対する対策は何もせずにずーーーっとアナの記憶をたどる作業をしていたのもよく分からなかった。アナの母親はアナを虐待していたとか、継父は不倫現場を見られたとかそういう過去があるくせによく記憶探偵なんかに依頼したよね。そういうの全部見られるのにぁな。

それとあの「マウシー」ってあだ名の女の子のことは一体なんだったの?アナが言ってたマウシーって子とは別の女の子がマウシーっていうあだ名だったことが分かったけど、それが何?他の生徒たちは「マウシーなんて子はいなかった」なんて言っていたけど、マウシーってあだ名の子は実際にいたわけで、他の子たちが誰一人マウシーを知らないってのも変な話だ。アナが書いていたにこちゃんマークにもジョンは最後になって初めて気付いていたけど、あんなの速攻で気付くでしょー。

結局のところジョンがのぞいたアナの記憶はどこまでが真実でどこからが嘘だったのかということが分からないまま終わってしまったのが残念だった。アナがジョンの記憶を探る手法を逆手にとって利用したというのは分かるけど、結局アナはただのサイコパスでしたーっていう終わりだとちょっとしょーもないな。もっと彼女の過去に何か衝撃的なものが隠されていると期待したのだけどな。見ている最中は全然飽きずに見られたのでそれに関しては良かったですが。


ガーディアンズオブギャラクシー

2014-09-19 | シネマ か行

アメリカで結構ヒットしたらしいし、ブラッドリークーパーが好きなので見に行って来ました。ブラッドリークーパー、今回は「ハングオーバー!」の時よりもさらに顔のカッコ良さが無駄になってますね。なんせほら、彼アライグマの声の役だから。

幼いころに地球からさらわれたスターロードことピータークイルクリスプラットは、トレジャーハンターのヨンドゥマイケルルーカーに生かされて、彼の組織でトレジャーハンターになっていた。今回の仕事はとあるオーブを入手して売ることだった。途中悪者ロナンリーペイスの手先であるコラスジャイモンフンスーとその仲間に妨害されるがなんとかそれを手に入れて取引場所まで来た。

懸賞金を賭けられたピーターを追うアライグマ型のならず者ロケットとその相棒の植物型宇宙人グルートヴィンディーゼル、オーブを追うガモーラゾーイサルダナとともにノバ軍に捕らえられたピーターたちは4人とも刑務所に入れられる。仕方なく4人で協力し合って脱獄しオーブをコレクターベニチオデルトロのところに持っていくが、そこでそのオーブの持つ強大な力を知った彼らは刑務所で出会いロナンに家族の復讐を誓うドラックスデイヴバウティスタと共に、このオーブをロナンに渡さないための戦いを始めることになる。

主人公のピータークイルが軽い奴でそのキャラクター設定は悪くない。可愛らしいアライグマのロケットが一番口が悪いってのも面白いと思う。植物であるがゆえに"I am Groot."しか話せないグルートも可愛くて良い。ただちょっとなー、セリフがどうも笑わせようとしている感が見え見えなところがありました。いや、笑えるんですけどね。あんまりさりげなくうまい間でという感じじゃなかったな。

ノバ軍の司令官がグレンクローズなもんだから、どうもこの人が黒幕なんじゃないかっていう疑いが拭えなくて最後まで疑い続けてしまった。グレンクローズ、ごめんなさい。

全体的な世界観が、昔のインベーダーゲームみたいな雰囲気で好きだったな。映像はもちろん最新鋭のCGを駆使して作られているのだろうけど、ピーターが地球からさらわれたときに持っていたカセットテープがその年代(70~80年代)のものなので音楽がノスタルジックなためにそんなふうに感じたのかもしれない。ポッドに乗って逃げ回ったり、クライマックスの大きな戦艦にみんなで立ち向かったりするシーンは自分もその中の一人になったような気がしてとても楽しかった。

なんかどうもピーターは実は100%地球人ではなくて、どこかの星の人が父親だと最後に判明するので、これからその出生の秘密のようなものも続編で暴かれていくのでしょう。最後にグルートが死ななくて本当に良かった。こなごなになってしまって植木鉢に植えられたグルートがとても可愛かったな。

軽~い気持ちで見るには良い作品だと思います。