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QED 熊野の残照 |
QEDシリーズもそろそろ後半戦、ということもあるのか、ややタッチを変えての熊野三山です。
タタルこと桑原崇に棚旗奈々、途中から熊つ崎こと小松崎良平に奈々の妹の沙織が合流といつもの面々ではありますが、しかし物語は神山禮子の視点で語られていきます。
この神山禮子がある意味での主人公、その冷めた視点でタタルや奈々を観察しているところのギャグ要素は空回り気味ではありますが、こういった展開も悪くはありません。
題材がまたしても神話の世界だったりもしますので、自分にはかなりハードルが高いのもいつものことです。
征服者に虐げられた民、怨霊、鬼、といったテーマは毎度のお約束ではありますが、それに加えて今回は読み方すら分からない漢字がぞろぞろと、さすがに天照大神や素戔嗚尊ぐらいは分かりますが伊弉諾尊、長髄彦、饒速日命ともなるとちんぷんかんぷん、熊野三山の家都美御子大神、夫須美大神、速玉大神なんてのもさっぱり、いずれも土豪の名前らしいのですが氏姓の繋がりが見えないので人間関係がよく分かりません。
それを紐解いてまで、が正直なところだったりもして、今回はタタルらが殺人事件に遭遇をすることもなく、その講釈を名跡紹介とともに延々と聞くことに耐えられるかどうか、自分にはやや苦痛ながらも叙述トリックな香りがぷんぷんと、それを整理をするのに頭を使いましたから、まずまずではありました。
どうやら次の作品への導入でもあるようですので、あまり間を置かずに読むことにします。
2016年12月3日 読破 ★★★☆☆(3点)