福家警部補の挨拶 |
何年か前にドラマ化をされて話題になった福家警部補シリーズ、そのときに買ったものを今ごろに手に取りました。
謎を解いていく一般的なミステリーではなく、まず犯人の視点で事件のあらましが語られて、それを探偵役たる主人公が解き明かしていきます。
いわゆる倒叙タイプで古いところでは刑事コロンボや、古畑任三郎なんかもこの範疇に含まれるのではないかと、そんなこんなでこの手のものはあまり読んだことがないので楽しみにしていましたが、残念ながら形ばかりで中身が伴わずにガッカリ、期待はずれな初見となりました。
小柄で学生のような外見の福家警部補はしかし酒豪、人使いの荒い、それでいて緻密な論理派とそこそこキャラは立っています。
事件現場で警察バッチを探してゴソゴソと、そして警官に止められるのはお約束、ある意味で映像化を意識したものなのかもしれません。
ただ肝心の謎解きがダメダメ、犯人の軽率なミスや偶然に助けられたところが大きく、ご都合主義が見え隠れします。
完全犯罪などは無理、やめておきなさい、そう言われているような、とにかく敵失による証拠固めが多すぎてげんなりとさせられます。
実際の捜査などはそんなものなのでしょうが、そこはエンターテイメント、名探偵な展開が欲しかったのが正直なところで、福家警部補の指摘に「こうだったんじゃないか」「その可能性は否定できない」と容疑者が墓穴を掘っていくのがあまりに滑稽でした。
事件の状況に腑に落ちない点があったとしても、そんなことは私には分からない、それが一般的な反応です。
2016年11月22日 読破 ★★★☆☆(3点)