電脳筆写『 心超臨界 』

人間の行動はその人の考えを表す最高の解説者
( ジョン・ロック )

人生を創る言葉 《 孤児を食に飽かせることは難しいけれど――ペスタロッチ 》

2024-06-20 | 03-自己・信念・努力
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◆孤児を食に飽かせることは難しい。彼らの胃は空虚であるから、
 けれど彼らの霊を満たしむることはできる。人の性は善であるが故に


『人生を創る言葉』
( 渡部昇一、致知出版社 (2005/2/3)、p177 )
第5章 教育の急所――眠れる才能を引き出す

[ ペスタロッチ ]
スイスの教育者。親友の死に会って政治家となることを諦め、絶え
ず子供とともに生活し、一生を愛の教育に注ぐ。
(1746~1827)

スイスの大教育家ペスタロッチは、いつもこういっていた。

「自分は孤児を養うために、自ら乞食のように生きなければならなかった」

スタンツの戦争のために孤児になった少年少女の救済に、独力で奮闘していたときのこと。資力もなく後援もない赤貧洗うような彼は、ただ町の人々に寄付を求めるより仕方がなく、朝に夕に町を歩いて、人々の慈善心に訴えていた。

しかし、同情してくれる者は少ない。一方、孤児の数は日に日に多くなっていく。寄付のお金の代わりに貧しい孤児を連れて帰る日のほうが多かった。しかも孤児たちはおそろしいほどガツガツと食べる。その様子は、胃袋の中に飢えた狼が住んでいるようだった。

「ああ、一日でも彼らに腹一杯食べさせてあげられたら」

とペスタロッチは歎いた。

しかし、孤児の心はひがみ、ねじけていた。神のような彼の愛情も、なかなか彼等の心には触れなかった。ペスタロッチはそれを悲しく思ったけれど、自分の愛がまだ足りないから、彼等の心を潤(うるお)すことができないのだと考えた。そして彼は、孤児たちの胃が飢えるよりも、その心が飢えることを恐れ、力の限り愛と誠を注いだ。

ある日、孤児たちが隣りの街から乞食の少年を何人も連れてきたのを見て、彼は驚いた。どうしたのかと聞いたら、こんな答えが返ってきた。

「先生、この子たちも孤児です。可哀想だから連れてきました。僕たちのパンを半分にして、この子たちに食べさせてください」

その可憐な言葉にペスタロッチの目からは熱い涙がとめどなく流れた。

「孤児のお腹を一杯にさせることは難しい。彼等の胃袋は空虚であるから。しかし彼等の霊を満たしてあげることはできる。人の性は善であるが故に」

彼はそういって、小さく賤(いや)しい子供たちの心の奥に愛の気持ちが芽生えたことを神に感謝するのであった。

食べることに賤しく、性格もねじ曲がってどうしようもないと思っていた孤児たちが、もっと貧しい子たちを連れてきて、自分たちのパンを分けてあげてくれといった。それを見てペスタロッチは、人の性の善なることを確信したのである。

ペスタロッチは誠心誠意、教育者であったということである。普通の先生に、ペスタロッチのようになれといっても、なれるわけはない。だが、「大教育者といわれる人は、こういう人だったのだ」「子供というものは、そういう人に触れればかわるものなのだ」と知ることによって、すぐにペスタロッチの真似はできないにしても、教育の参考にすることはできるのではないかと思う。
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