電脳筆写の記事の中からこれはと思うものを メルマガ『心超臨界』にて
配信しています。是非一度お立ち寄りください。
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★「WGIP」のモデルと後遺症――高橋史朗・麗澤大大学院特任教授
【「主張」産経新聞 H30(2018).08.29 】https://tinyurl.com/ycso6sds
★総裁選と憲法9条
自衛隊明記の意義を説け――ゴールは「2項削除」と確認を
【「主張」産経新聞 H30(2018).08.28 】https://tinyurl.com/yaoznamw
★残念な石破氏の現状――阿比留瑠比・論説委員兼政治部編集委員
【「阿比留瑠比の極言御免」産経新聞 H30.08.23 】https://tinyurl.com/y6w77rl7
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総裁選スローガンに浮かぶ個性――阿比留瑠比・論説委員兼政治部編集委員
【「阿比留瑠比の極言御免」産経新聞 H30(2018).08.30 】
「正直、公正」の石破茂元幹事長か「責任、実行」の安倍晋三首相か―。自民党総裁選で2人が掲げたスローガンを見比べていて、4年前の話を思い出した。
あの時ああしていれば…と過去を振り返っても詮無きことである。そうではあるが筆者は、石破氏は平成26年9月の内閣改造に当たり、安倍首相から安全保障法制担当相就任を打診された際に、固辞せず受けるべきだったと今も考えている。
◆入閣で意志貫く
石破氏は安保法制に詳しく弁が立つ。もし受けていれば、不勉強な野党の国会質問などは一蹴でき、その後の安保関連法をめぐる国会審議は大きな混乱もなくスムーズに進んでいたのではないかと思う。
民主党政権時代には、石破氏が衆院予算委員会などで質問に立つと、居並ぶ閣僚たちが「どうか私には質問しないでくれ」とばかりに息を潜めるのが伝わってきた。22年10月の衆院予算委では、尖閣諸島(沖縄県石垣市)沖での中国漁船衝突事件の映像公開を拒んできた仙谷由人官房長官をひとつひとつ理詰めで追い詰め、公開への道を開いた。
野党側には、そんな石破氏に対する苦手意識もあったろう。安保法制担当相に就いていれば野党はもっとおとなしく振る舞い、国会前の大規模デモなどの騒動も起きず、「さすが石破さん」と評価も期待も高まっていたかもしれない。
ところが石破氏が固執したため、安保法制担当相(防衛相)にはまず江渡聡徳(えとあきのり)氏、次いで中谷元(げん)氏が就任した。2人の答弁は必ずしも万全ではなく、野党に付け入る隙を与えた。
当時、石破氏が就任打診を断った理由は、安倍首相との安保政策に関する考え方の相違だった。首相は集団的自衛権の制限行使論を唱えていたが、石破氏は全面的行使が可能だと主張していた。
「だったら、石破さんは自分が首相になってから全面行使のための法整備をやればいいじゃないか」
安倍首相は周囲にこう話していた。控えめな限定行使論でも大きな反発が予想できるのに、いきなり全面行使をいっても現実的ではないとみていた。結局、石破氏はこの時は地方創生担当相を受諾して入閣したが、28年8月の内閣改造時には閣内残留を峻拒(しゅんきょ)した。
その際、周囲からは「閣内にとどまらず無役になれば、権限もなくなり、政治家としてやりたいこともできなくなる」との忠告も受けたが、石破氏自身はこう自嘲してみせた。
「私みたいな馬鹿が、1人ぐらいいたっていいじゃないか…」
これ以上、考え方の異なる安倍首相の下では働きたくない意志を貫いたのは確かに自分自身に対して「正直」で「公正」だったとはいえる。
◆小異を捨てる覚悟
それと同時に、安倍首相の政治手法とは対照的でもある。首相は17年の小泉純一郎首相による郵政選挙の際、郵政民営化関連法案に反対票を投じて「刺客」を送られた保守派の同志議員らについて、こううめくように話していた。
「彼らは間違っている。自分のやりたいことを実現しようと思うなら、権力の近くにいなければならない。郵政民営化なんて本来、われわれが目指していることに比べたら、どうでもいいことではないか」
安倍首相は、憲法改正をはじめ大きな目標を「責任」を持って「実行」していくためには、小異は捨てる覚悟だった。2人が選んだスローガンに、それぞれの個性が浮かび上がる。
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★「WGIP」のモデルと後遺症――高橋史朗・麗澤大大学院特任教授
【「主張」産経新聞 H30(2018).08.29 】https://tinyurl.com/ycso6sds
★総裁選と憲法9条
自衛隊明記の意義を説け――ゴールは「2項削除」と確認を
【「主張」産経新聞 H30(2018).08.28 】https://tinyurl.com/yaoznamw
★残念な石破氏の現状――阿比留瑠比・論説委員兼政治部編集委員
【「阿比留瑠比の極言御免」産経新聞 H30.08.23 】https://tinyurl.com/y6w77rl7
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総裁選スローガンに浮かぶ個性――阿比留瑠比・論説委員兼政治部編集委員
【「阿比留瑠比の極言御免」産経新聞 H30(2018).08.30 】
「正直、公正」の石破茂元幹事長か「責任、実行」の安倍晋三首相か―。自民党総裁選で2人が掲げたスローガンを見比べていて、4年前の話を思い出した。
あの時ああしていれば…と過去を振り返っても詮無きことである。そうではあるが筆者は、石破氏は平成26年9月の内閣改造に当たり、安倍首相から安全保障法制担当相就任を打診された際に、固辞せず受けるべきだったと今も考えている。
◆入閣で意志貫く
石破氏は安保法制に詳しく弁が立つ。もし受けていれば、不勉強な野党の国会質問などは一蹴でき、その後の安保関連法をめぐる国会審議は大きな混乱もなくスムーズに進んでいたのではないかと思う。
民主党政権時代には、石破氏が衆院予算委員会などで質問に立つと、居並ぶ閣僚たちが「どうか私には質問しないでくれ」とばかりに息を潜めるのが伝わってきた。22年10月の衆院予算委では、尖閣諸島(沖縄県石垣市)沖での中国漁船衝突事件の映像公開を拒んできた仙谷由人官房長官をひとつひとつ理詰めで追い詰め、公開への道を開いた。
野党側には、そんな石破氏に対する苦手意識もあったろう。安保法制担当相に就いていれば野党はもっとおとなしく振る舞い、国会前の大規模デモなどの騒動も起きず、「さすが石破さん」と評価も期待も高まっていたかもしれない。
ところが石破氏が固執したため、安保法制担当相(防衛相)にはまず江渡聡徳(えとあきのり)氏、次いで中谷元(げん)氏が就任した。2人の答弁は必ずしも万全ではなく、野党に付け入る隙を与えた。
当時、石破氏が就任打診を断った理由は、安倍首相との安保政策に関する考え方の相違だった。首相は集団的自衛権の制限行使論を唱えていたが、石破氏は全面的行使が可能だと主張していた。
「だったら、石破さんは自分が首相になってから全面行使のための法整備をやればいいじゃないか」
安倍首相は周囲にこう話していた。控えめな限定行使論でも大きな反発が予想できるのに、いきなり全面行使をいっても現実的ではないとみていた。結局、石破氏はこの時は地方創生担当相を受諾して入閣したが、28年8月の内閣改造時には閣内残留を峻拒(しゅんきょ)した。
その際、周囲からは「閣内にとどまらず無役になれば、権限もなくなり、政治家としてやりたいこともできなくなる」との忠告も受けたが、石破氏自身はこう自嘲してみせた。
「私みたいな馬鹿が、1人ぐらいいたっていいじゃないか…」
これ以上、考え方の異なる安倍首相の下では働きたくない意志を貫いたのは確かに自分自身に対して「正直」で「公正」だったとはいえる。
◆小異を捨てる覚悟
それと同時に、安倍首相の政治手法とは対照的でもある。首相は17年の小泉純一郎首相による郵政選挙の際、郵政民営化関連法案に反対票を投じて「刺客」を送られた保守派の同志議員らについて、こううめくように話していた。
「彼らは間違っている。自分のやりたいことを実現しようと思うなら、権力の近くにいなければならない。郵政民営化なんて本来、われわれが目指していることに比べたら、どうでもいいことではないか」
安倍首相は、憲法改正をはじめ大きな目標を「責任」を持って「実行」していくためには、小異は捨てる覚悟だった。2人が選んだスローガンに、それぞれの個性が浮かび上がる。