電脳筆写『 心超臨界 』

忍耐は力だ! 忍耐の時が過ぎれば
桑の葉がやがてシルクのガウンになる
( 中国のことわざ )

徳永 進さんから長倉洋海さんまで――人の縁を旅する

2024-06-09 | 07-宇宙・遺伝子・潜在意識
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(2005-09-09投稿)
◆徳永 進さんから長倉洋海さんまで――人の縁を旅する

ここしばらくの間、ユージン・スミスをめぐり人の縁をたどる旅が続いた。旅をつらぬくタテ糸は、ヒューマニズム。ヨコ糸は、写真。写真はいずれも、ありふれた日常に尊い人間の営みを見る。

旅の始まりは、日経新聞に載った「徳永 進の『野の花 カルテ2』その9――何げない田舎医者」。野の花診療所院長の徳永 進さんのあこがれる医者は、アーネスト・セリアーニ。W・ユージン・スミスのフォトエッセー「カントリー・ドクター」に登場する医者である。小学生に予防接種、レントゲンを撮り、自分で現像。赤ん坊の出産。顔面に外傷を負って泣き叫ぶ幼児に縫合処置、老人への小手術、それを終えて、立ったままコーヒーを飲む姿。徳永さんは、何げない田舎医者のありふれた日常に尊い人間の営みを見る。

「カントリー・ドクター」をインターネット検索すると、坂川私設写真館がヒットした。坂川栄治さんは、1952年北海道生まれ。凸版印刷、百貨店宣伝部を経て、1987年坂川事務所設立。雑誌「SWITCH」のアートディレクターを創刊から4年間務める。その後、書籍の装幀を手がける一方、広告、PR誌、カタログ、CDデザイン、映画ポスターなど幅広いアートディレクションを行なう。1993年に講談社出版文化賞ブックデザイン賞受賞。現在までに手がけた装幀本は2600冊を超える。代表作に、吉本ばなな『TUGUMI』、ヨースタイン『ソフィーの世界』などのベストセラー作品がある。坂川さんは、医師のセリアーニ本人がまるで最高の演技をする役者のように見えたことに驚く。そんなことは有り得ないことは重々わかっていても、彼のそばにカメラの存在がないかのように思えたのは、ユージン・スミスがセリアーニを撮ったのではなく、写真家はその場から消えてしまい空気になることができたからなのである。ユージン・スミスの強烈なヒューマニズムの力によって、カメラはかえってドラマチックな視点を獲得したのである。

週末を利用して、掛川図書館にアーネスト・セリアーニを探しにいく。そこで出逢ったのが、土方正志さんの『ユージン・スミス 楽園へのあゆみ』。土方さんは、1962年生まれ。東北学院大学文学部卒業。企業やハイテク関係のルポを執筆するかたわら、写真集、写真展のプロデュースを手がけている。写真家 奥野安彦さんとともに阪神淡路大震災を取材し、写真集『てつびん物語』を去年の暮に出した。震災から12日目、小料理屋“てつびん”のおばちゃんに出会う。「生きとっただけでめっけもんや。くよくよしたってはじまらん。こうなったら死ぬまでりっぱにいきたるわ。」そういって、おばちゃんは「がはは」とわらった。『てつびん物語』は、その時からのあしかけ10年の記録になる。

奥野安彦さんは、1960年大阪生まれ。東京総合写真専門学校卒業。1986年、韓国・延世大学語学堂に留学。韓国語を学ぶかたわら、日本の月刊誌に韓国をテーマとした写真を発表。1998年から1994年にかけて通算450日にわたり、激変する南アフリカを取材。阪神淡路大地震は、発生直後より取材を続けている。1996年よりパラリンピック・アスリートたちの撮影にとりくみ、写真集[BODY(ボディ)]が評価される。2004年10月より、家族とともにタイ、チェンマイに居住。アジア地域を中心に活動している。

人の縁をたどる旅は、フォトジャーナリスト、ユージン・スミスが残した数々の写真集によって生まれたものである。そもそも徳永 進さんがユージンの撮った「カントリー・ドクター」に感動したことが発端になる。海外の写真家のなかでユージンほど、日本に縁の深い写真家はいない。太平洋戦争で写真家としての名をあげ、日本の高度経済成長の目撃者となり、その結果として発生した環境破壊の証言者ともなった。日本人の放った砲弾によって一生を左右することになった大怪我を負い、さらに日本人から受けた暴行が遠因となってその人生に終止符を打つことになった。最後の妻となったアイリーンは日本人の血を引く女性だった。

ユージン・スミスをめぐって人の縁をたどる旅は、『ユージン・スミス 楽園へのあゆみ』に解説を書いた長倉洋海さんで終わる。夢から多くのことを学ぶ伝統をもつクレナック族を始めとしたアマゾンの先住民を取材した写真集『人間が好き―アマゾン先住民からの伝言』を出したフォト・ジャーナリストだ。最近では、長倉さんの出演したNHK番組「ようこそ先輩」が「カナダ「バンフテレビ祭」で部門最優秀賞にあたる「ロッキー賞」を受賞している。ユージンは、取材対象となった人と長い時間をかけて生活を共にするなかで写真を残してきた。長倉さんも世界の紛争地を取材する13年間の体験を通じて、取材に時間をかけるスタイルになっていく。時間をかけることによって初めて見えてくるものがあるのだ。
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