§5-1 公職追放がアメリカの植民地・日本をつくった
◆アジアを分割統治し続けているアメリカ
アメリカは1951年の「サンフランシスコ条約」で占領を終わらせ日本を独立させましたが、同時に「日米安全保障条約」を結び、日本の抑え込みを図るとともに、日本と隣国(韓国、北朝鮮、中国、ロシア)との間で争うように仕向けてきました。これがバラク・オバマ大統領まで続いた戦後の「東アジアレジーム」の基本的な構造です。
◇アジアを分割統治し続けているアメリカ
『国際ニュースの読み方』
( 馬淵睦夫、マガジンハウス (2020/8/4)、p174 )
ところで、みなさんは「分割統治」という言葉を聞いたことがありますか? 戦後の国際社会を見るうえで重要なキーワードは、この“分割統治”なのです。
――えっ! 分割統治とは、植民地支配に用いられた手法ではないのですか。教科書ではそのように習いましたが……
確かに、分割統治は帝国主義時代の植民地支配の鉄則です。植民地を人種や言語、宗教などによって争わせて分断し、宗主国が支配しやすくする統治方法です。
しかし、アメリカは1951年の「サンフランシスコ条約」で占領を終わらせ日本を独立させましたが、同時に「日米安全保障条約」を結び、日本の抑え込みを図るとともに、日本と隣国(韓国、北朝鮮、中国、ロシア)との間で争うように仕向けてきました。これがバラク・オバマ大統領まで続いた戦後の「東アジアレジーム」の基本的な構造です。
そのために、慰安婦問題や、いわゆる南京事件といった歴史認識問題でアメリカは、韓国や中国の肩を持つ傾向にあります。民主主義の度合いからいっても、経済面でもアメリカにとって日本は、韓国よりずっと頼もしい同盟国のはずです。
それにもかかわらずアメリカが韓国寄りだったのは、韓国のほうが重要だと考えて肩を持っているわけではありません。あくまでも、日本を牽制(けんせい)する駒として韓国は使われているのです。
他方、韓国としては、日本と何か揉(も)め事が生じた場合、アメリカを巻き込めば有利になると知っていて、慰安婦問題、歴史教科書問題、靖国参拝問題にまでアメリカの後ろ盾をよいことに、日本に対し強気で出てきたのです。
たとえば、「竹島」の問題がありますね。1952年、韓国は国際法違反である李承晩(りしょうばん)ラインと呼ばれる海洋境界線を設定して、竹島を自国側に取り込みました。これに端を発している問題です。
韓国政府は、サンフランシスコ講和条約に竹島の放棄を入れるよう要請していました。米国政府はこの要請を却下しています。その理由は、アメリカは竹島が日本領であると認めていたからです。アメリカはその旨を韓国政府に回答したのですが、この回答は公表しませんでした。
中国については、たとえば、アメリカは「尖閣諸島は日米安全保障条約の適用範囲である」と言っていますが、尖閣諸島の帰属問題についてアメリカはコメントしません。日本の領有権の主張については支持も何もしない、というのがアメリカの立場です。
竹島の場合と同様、尖閣諸島の領有権をめぐって日中を対立させておきたいからです。日本は尖閣問題をめぐり、アメリカの支援を求めざるを得ません。その分だけ、日本はアメリカに対し弱い立場に置かれているわけです。
日ソ関係についても巧妙な分割統治が行われていました。たとえば、北方領土問題について、「日本に千島列島を放棄させるが、千島列島の範囲を曖昧(あいまい)にしておけば、この範囲をめぐって日本とソ連は永遠に争うことになるので、西側連合国にとって利益になる」と在京のイギリス大使館が報告しています。
◆アジアを分割統治し続けているアメリカ
アメリカは1951年の「サンフランシスコ条約」で占領を終わらせ日本を独立させましたが、同時に「日米安全保障条約」を結び、日本の抑え込みを図るとともに、日本と隣国(韓国、北朝鮮、中国、ロシア)との間で争うように仕向けてきました。これがバラク・オバマ大統領まで続いた戦後の「東アジアレジーム」の基本的な構造です。
◇アジアを分割統治し続けているアメリカ
『国際ニュースの読み方』
( 馬淵睦夫、マガジンハウス (2020/8/4)、p174 )
ところで、みなさんは「分割統治」という言葉を聞いたことがありますか? 戦後の国際社会を見るうえで重要なキーワードは、この“分割統治”なのです。
――えっ! 分割統治とは、植民地支配に用いられた手法ではないのですか。教科書ではそのように習いましたが……
確かに、分割統治は帝国主義時代の植民地支配の鉄則です。植民地を人種や言語、宗教などによって争わせて分断し、宗主国が支配しやすくする統治方法です。
しかし、アメリカは1951年の「サンフランシスコ条約」で占領を終わらせ日本を独立させましたが、同時に「日米安全保障条約」を結び、日本の抑え込みを図るとともに、日本と隣国(韓国、北朝鮮、中国、ロシア)との間で争うように仕向けてきました。これがバラク・オバマ大統領まで続いた戦後の「東アジアレジーム」の基本的な構造です。
そのために、慰安婦問題や、いわゆる南京事件といった歴史認識問題でアメリカは、韓国や中国の肩を持つ傾向にあります。民主主義の度合いからいっても、経済面でもアメリカにとって日本は、韓国よりずっと頼もしい同盟国のはずです。
それにもかかわらずアメリカが韓国寄りだったのは、韓国のほうが重要だと考えて肩を持っているわけではありません。あくまでも、日本を牽制(けんせい)する駒として韓国は使われているのです。
他方、韓国としては、日本と何か揉(も)め事が生じた場合、アメリカを巻き込めば有利になると知っていて、慰安婦問題、歴史教科書問題、靖国参拝問題にまでアメリカの後ろ盾をよいことに、日本に対し強気で出てきたのです。
たとえば、「竹島」の問題がありますね。1952年、韓国は国際法違反である李承晩(りしょうばん)ラインと呼ばれる海洋境界線を設定して、竹島を自国側に取り込みました。これに端を発している問題です。
韓国政府は、サンフランシスコ講和条約に竹島の放棄を入れるよう要請していました。米国政府はこの要請を却下しています。その理由は、アメリカは竹島が日本領であると認めていたからです。アメリカはその旨を韓国政府に回答したのですが、この回答は公表しませんでした。
中国については、たとえば、アメリカは「尖閣諸島は日米安全保障条約の適用範囲である」と言っていますが、尖閣諸島の帰属問題についてアメリカはコメントしません。日本の領有権の主張については支持も何もしない、というのがアメリカの立場です。
竹島の場合と同様、尖閣諸島の領有権をめぐって日中を対立させておきたいからです。日本は尖閣問題をめぐり、アメリカの支援を求めざるを得ません。その分だけ、日本はアメリカに対し弱い立場に置かれているわけです。
日ソ関係についても巧妙な分割統治が行われていました。たとえば、北方領土問題について、「日本に千島列島を放棄させるが、千島列島の範囲を曖昧(あいまい)にしておけば、この範囲をめぐって日本とソ連は永遠に争うことになるので、西側連合国にとって利益になる」と在京のイギリス大使館が報告しています。