電脳筆写『 心超臨界 』

人生は良いカードを手にすることではない
手持ちのカードで良いプレーをすることにあるのだ
ジョッシュ・ビリングス

「香港・ウイグル人権法」論議を――楊海英さん

2020-01-10 | 04-歴史・文化・社会
 「東京裁判史観(自虐史観)を廃して本来の日本を取り戻そう!」
    そう願う心が臨界質量を超えるとき、思いは実現します。
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グリセリンがある日突然結晶化する
「六然訓」を知って以来、少しでもそういう境地に身心を置きたいものと考えた――安岡正篤師
温暖化と北極、南極の氷の関係について簡単にまとめておきます――武田邦彦さん
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「香港・ウイグル人権法」論議を――楊海英・文化人類学者/静岡大教授
【「石平のChina Watch」産経新聞 R02(2020).01.09 】

2020(令和2)年が明けた。日本と世界にとって、どんな一年になるのか。実は日本政府の行動が国内のみならず、国際社会にも大きな影響を与える年となりそうだ。

◆地政学的に重要な台湾

まず台湾の総統選であるが、民進党の候補で現職の蔡英文氏の当選確実の勢いは止まらない。蔡氏の最大の援軍はほかでもない中国の習近平総書記(国家主席)だ。習氏は昨年の1月早々に演説し、一国二制度を台湾にも適用、武力による侵攻も辞さない強硬な態度を示したことで台湾の遠心力を加速させた。

私は以前に台湾の国立大学、それも国民党系の幹部養成校が前身の伝統校で教鞭(きょうべん)を執ったことがあり、今も若い学生たちと交流を続けている。「天然独」即(すなわ)ち「生まれながらの台湾独立派」が圧倒的に多いのが、台湾の若年層の政治的思想的特徴である。若い人たちは台湾の未来について真剣に考えているし、政府の進める経済面での脱中国政策も実りつつある。

台湾は日本のエネルギー輸入のシーレーン上にある。中国がもし台湾を「解放」して自国に併呑(へいどん)すれば、日本が今まで以上に対中宥和(ゆうわ)政策を実施しても、生かすも殺すも主導権は北京に握られてしまう。経済の大動脈が牛耳られれば、衰退は止められず、中華人民共和国の「自治区」になる以外に選択肢はなくなる。

それだけではない。もし台湾が陥落すれば、中国が軍事戦略上に位置づける第2列島線も悠々と突破され、沖縄から対馬を経て、北極に向かう長大な防衛上の弧線も人民解放軍の掌中に入る。そこから始まるのは太平洋の東西二分で米中の覇権争いが大和の空を凌駕(りょうが)する形で展開されることになる。

日本政府は民主主義制度で選ばれた台湾を今まで以上に積極的に支援しなければ、悪夢は現実となる危険性がある。そして香港も新疆のウイグル人も、チベット人と内モンゴル自治区のモンゴル人も未来への希望を失う。果たして政府は今後、台湾とどんな付き合いをするのかが問われている。

◆ポスト五輪の戦略が必要

靖国神社など各地の桜の頃、世界最大の独裁国家の習近平氏が、日本に「国賓」として訪れる見込みだ。習氏の訪問で尖閣諸島周辺海域への中国公船の侵入はストップし、一方的なガス田開発も止まるか。そして歴史問題で事あるごとに日本にくぎを刺す牽制(けんせい)手法を改めるか。拘束された十数人もの日本人にいつ自由を与えるのか。ウイグル人を100万人単位で強制収容所に閉じ込める強権的政策を中止するのか。日本国民にとってこれらの問題はどれも喉(のど)に刺さった棘(とげ)のような存在で、明確な解決が示されない限り、「国賓」待遇は令和新時代のスタートに冷水を浴びせる結末になる。

習氏の訪問で陰翳(いんえい)に包まれる日本は暑い夏に五輪を開催する。前回の1964年東京五輪の年に、中国は新疆ウイグル自治区で原爆の実験を強行し、平和祭典と逆の暴挙に打って出た。今回も安心はできない。それでも、もてなしの精神で日本国民は世界各国からの賓客を迎え、無事に閉幕へと導かれる自信を持っている。

問題はその後だ。2025年には「大阪・関西万博」の開催が予定され、多くの日本人はそこに次の希望を託すだろう。1970年の万博の際には「人類の進歩と調和」精神が貫徹されていた。

私も岡本太郎氏らがデザインした「太陽の塔」が建つ万博公園にある国立民族学博物館で人類学を学び、偉大な先達たちの薫陶を受けた。来る万博に如何(いか)なる希望を寄託しどんな将来に日本国を牽引していくのかという国家ビジョンはまだ開催に反映されていない。

◆国会で世界見渡した論戦を

21世紀に入った日本は今、隣国からの核脅威にさらされている。唯一の被爆国であるとともに、米国の「核の傘」の下にいる日本は核武装すべきか否かのタブーを破ろうとしない。「核の傘」を差しだす同盟国米国に対して「反抗する」かのような対中宥和姿勢を強める現政権の異質ぶりは、日本が未(いま)だに「戦後レジーム」から飛躍できていない証左ではないか。

その同盟国も秋には大統領選を控えている。特段の異変がない限り、安倍晋三首相の親友トランプ氏は再選されるだろう。同盟の上に更に「ディール(取引)」を重ねるトランプ氏の目に、対中宥和姿勢が懸念材料にならないことを祈りたい。

安倍一強政権に対し、スキャンダル探しに終始していては野党に将来がない。16年ぶりに党綱領の改定を進め、中国批判を強める共産党にはぜひ自民党より先駆けて「香港・新疆ウイグル人権法」を国会に提出してほしい。こうした法案を議論の材料に、台湾からペルシャ湾へと、更にはユーラシア全体を照射した建設的な論戦が新年の国会で繰り広げられれば、日本の将来にも一抹の明るい光が見えてくるに違いない。

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