電脳筆写の記事の中からこれはと思うものを メルマガ『心超臨界』
にて配信しています。是非一度お立ち寄りください。
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★日朝交渉文書欠落を振り返る――阿比留瑠比・論説委員兼政治部編集委員
【「阿比留瑠比の極言御免」産経新聞 H30.06.21 】https://tinyurl.com/yamezxwj
★河野元衆院議長の無情――阿比留瑠比・論説委員兼政治部編集委員
【「阿比留瑠比の極言御免」産経新聞 H30.06.15 】https://tinyurl.com/y9t3ll6q
★玉虫色の米朝合意をどう読むか――西岡力・モラロジー研究所教授/麗澤大学客員教授
【「正論」産経新聞 H30.06.14 】https://tinyurl.com/ybdxaeel
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●悪夢のような焦土演説
『学校では教えられない満洲事変』https://tinyurl.com/yd3h49zj
【 倉山満、ベストセラーズ、2018年04月、p243 】
7月26日、重光葵に代わり、有吉明が駐支公使になります。これに対する中華民国のケチの付け方はたいしたものでした。
公使つまり事実上の大使の交代は、役所にとってはルーティンの人事異動です。大使の交代にあっては、その大使を置く国の信任状が必要となるのが国際常識です。
さて、日本は、中華民国などは国家としての当事者能力がないと国際社会に言い続けてきていました。それを逆用して中華民国は「我が国のことを国家としての当事者能力が無いと事変を起こしておきながら、国家としての信任状を求めてくるとはどういうことか」と日本の矛盾を喧伝しまず。チャイニーズなら、過去の言動との不一致など気にしないところです。そしてそのチャイニーズは、自分が99の非があろうが、相手の非だけをすべてであるかの如く拡散します。
過去の幣原と芳沢の2代の外相は、それでも何とかチャイニーズの悪宣伝を打ち消す努力をしていました。ところが、内田(康哉)は火に油を注ぐ行動を繰り返します。まるで中華民国に宣伝の材料を提供するのが、日本国外務大臣の使命だと信じているかの如く。
8月25日。第63臨時帝国議会で政友会の森恪代議士が、質疑に立ちました。外交方針についての質問で、特に懸案になっていた満洲国承認問題について外相の所見を問いただしました。森の趣旨は、「満洲国承認には賛成だが、国際情勢を考えると簡単ではない。政府は準備をしているか」です。
それに対する内田は、満洲事変はすべて自衛行為だと述べた上で答弁します。
我国民は唯今森君の言われました通りに、この問題のために所謂挙
国一致、国を焦土にしてもこの主張を徹すことに於ては一歩も譲ら
ないと云う決心をもって居ると言わなければならぬ……。
曰く、「満洲国は承認する」「世界中を敵に回す覚悟である」「国を焦土としてでもやり抜く覚悟である」と。残念ながら、大日本帝国は3つとも実行してしまいました。
尋ねた森恪は、内田のあまりにも強気すぎる発言に絶句します。
本来ならば大失言ですが、この答弁は「焦土演説」と名付けられ、もてはやされました。
森の後に立った中野正剛の「焦土にしないようにするのが外交ではないか」との質疑への答弁で、内田は「焦土にはならないと思う」と若干の修正をしていますが、本人はまったく反省していません。
8月31日には、「いざとなったら、国際連盟脱退を辞さず」と外務省に訓示を垂れています。焦土演説は、内田の本音なのです。
さらには何を血迷ったか、英米が敵で国際連盟が敵だからフランスを味方につけようと思いつき、工作を指示します。フランスとしたら、イギリスと話を付けてもらう前に持ってこられても困ります。
こんな仕事を押し付けられた長岡春一駐仏大使の困惑は、小著『嘘だらけの日仏近現代史』(扶桑社、2017年)で詳述しておきました。長岡は、「外相の意見には、国内に多数の共鳴者がいた」「英米を無視してフランスと協商ができたからとて、実効性があるのだろうか」とボヤいています。
内田は、日本史上に残るポピュリストです。
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★河野元衆院議長の無情――阿比留瑠比・論説委員兼政治部編集委員
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【「正論」産経新聞 H30.06.14 】https://tinyurl.com/ybdxaeel
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●悪夢のような焦土演説
『学校では教えられない満洲事変』https://tinyurl.com/yd3h49zj
【 倉山満、ベストセラーズ、2018年04月、p243 】
7月26日、重光葵に代わり、有吉明が駐支公使になります。これに対する中華民国のケチの付け方はたいしたものでした。
公使つまり事実上の大使の交代は、役所にとってはルーティンの人事異動です。大使の交代にあっては、その大使を置く国の信任状が必要となるのが国際常識です。
さて、日本は、中華民国などは国家としての当事者能力がないと国際社会に言い続けてきていました。それを逆用して中華民国は「我が国のことを国家としての当事者能力が無いと事変を起こしておきながら、国家としての信任状を求めてくるとはどういうことか」と日本の矛盾を喧伝しまず。チャイニーズなら、過去の言動との不一致など気にしないところです。そしてそのチャイニーズは、自分が99の非があろうが、相手の非だけをすべてであるかの如く拡散します。
過去の幣原と芳沢の2代の外相は、それでも何とかチャイニーズの悪宣伝を打ち消す努力をしていました。ところが、内田(康哉)は火に油を注ぐ行動を繰り返します。まるで中華民国に宣伝の材料を提供するのが、日本国外務大臣の使命だと信じているかの如く。
8月25日。第63臨時帝国議会で政友会の森恪代議士が、質疑に立ちました。外交方針についての質問で、特に懸案になっていた満洲国承認問題について外相の所見を問いただしました。森の趣旨は、「満洲国承認には賛成だが、国際情勢を考えると簡単ではない。政府は準備をしているか」です。
それに対する内田は、満洲事変はすべて自衛行為だと述べた上で答弁します。
我国民は唯今森君の言われました通りに、この問題のために所謂挙
国一致、国を焦土にしてもこの主張を徹すことに於ては一歩も譲ら
ないと云う決心をもって居ると言わなければならぬ……。
曰く、「満洲国は承認する」「世界中を敵に回す覚悟である」「国を焦土としてでもやり抜く覚悟である」と。残念ながら、大日本帝国は3つとも実行してしまいました。
尋ねた森恪は、内田のあまりにも強気すぎる発言に絶句します。
本来ならば大失言ですが、この答弁は「焦土演説」と名付けられ、もてはやされました。
森の後に立った中野正剛の「焦土にしないようにするのが外交ではないか」との質疑への答弁で、内田は「焦土にはならないと思う」と若干の修正をしていますが、本人はまったく反省していません。
8月31日には、「いざとなったら、国際連盟脱退を辞さず」と外務省に訓示を垂れています。焦土演説は、内田の本音なのです。
さらには何を血迷ったか、英米が敵で国際連盟が敵だからフランスを味方につけようと思いつき、工作を指示します。フランスとしたら、イギリスと話を付けてもらう前に持ってこられても困ります。
こんな仕事を押し付けられた長岡春一駐仏大使の困惑は、小著『嘘だらけの日仏近現代史』(扶桑社、2017年)で詳述しておきました。長岡は、「外相の意見には、国内に多数の共鳴者がいた」「英米を無視してフランスと協商ができたからとて、実効性があるのだろうか」とボヤいています。
内田は、日本史上に残るポピュリストです。