電脳筆写『 心超臨界 』

水の流れが岩と衝突するところ常に水の流れが勝る
力ではなくその持続性によって
( お釈迦さま )

個人としての豊かさばかりを追い求める日本――野尻武敏

2024-09-06 | 03-自己・信念・努力
電脳筆写『心超臨界』へようこそ!
日本の歴史、伝統、文化を正しく学び次世代へつなぎたいと願っています。
20年間で約9千の記事を収めたブログは私の「人生ノート」になりました。
そのノートから少しずつ反芻学習することを日課にしています。
生涯学習にお付き合いいただき、ありがとうございます。

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東京裁判史観の虚妄を打ち砕き誇りある日本を取り戻そう!
そう願う心が臨界質量を超えるとき、思いは実現する
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■緊急拡散『2024年8月発表:トランプ前大統領「米国を再び偉大にするための核心的公約20」』
■『小樽龍宮神社「土方歳三慰霊祭祭文」全文
◆村上春樹著『騎士団長殺し』の〈南京城内民間人の死者数40万人は間違いで「34人」だった〉
■超拡散『日本の「月面着陸」をライヴ放送しないNHKの電波1本返却させよ◇この国会質疑を視聴しよう⁉️:https://youtube.com/watch?v=apyoi2KTMpA&si=I9x7DoDLgkcfESSc』
■超拡散『移民受入れを推進した安倍晋三総理の妄言』
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月刊「致知」2005-12月号の対談で、野尻武敏さんと田舞徳太郎さんが最近の日本人の心のあり方について次のように指摘している。

先日発売された世界経済フォーラムの国際競争力レポートによると、日本は総合で12位。しかし、国の債務(借金)残高の水準は117か国中114位、財政赤字は113位で最下位に程近い。ところが個人金融資産は世界でトップクラスにある。つまりどういうことかと言うと、戦後の日本人は個人の権利ばかりを主張し、出すものは出さずに保障ばかり要求してきた、その帰結というわけだ。インディヴィデュアルとしての豊かさばかりを追い求めパーソンとしての豊かさは置き去りにしてきた結果でもある。

河合隼雄さんは、「ユング心理学と仏教」の中で、ヨーロッパの近代では、ものごとを「分ける」意識を評価しそれを洗練させていったのに対し、仏教ではむしろ逆に、ものごとの区分を取り払う意識を洗練させる方向に努力をしてきた。したがって、人間の独自性を考えるときに、西洋における個性とは異なる考えが仏教においてはあるべきである。しかし、それは individuality という単語では表せない、と語る。


◆個人としての豊かさばかりを追い求める――野尻武敏

「師縁尊し 森信三先生から学んだもの」 対談――野尻武敏&田舞徳太郎
(月刊『致知』 2005-12月号 )

【野尻】いま、日本の教育崩壊が盛んに叫ばれていますが、その元凶は社会全体が「個人と人格」を混同していることにあると私は思っています。

戦後、日本では個人主義が支配し、個人の尊重などといわれてきました。これは米国流の個人主義が持ち込まれたものですが、一体人はなぜ個人として尊ばれねばならないのでしょうか。

何か講義のようになってきましたが(笑)、個人は英語で「インディヴィデュアル」ですよね。ところが石一個、木一本、猫一匹、形あるものはみなインディヴィデュアルです。体を持つ人間もまた同様です。

しかし人間は、そして人間だけがインディヴィデュアルであると同時に「パーソン」です。パーソンは「人格」と訳されるのが普通です。としますと、人間の人間としての尊さは、正しくは「人格」としての人間についていわれるのでなければならないはずです。

【田舞】ああ、なるほど。

【野尻】この「パーソン」はラテン語では「ペルソナ」ですが、その語源として二つのことが挙げられてきました。

一つは「ペル・セ」。つまり「自らによって」という言葉といわれます。自律という意味です。もう一つは「ペル・ソーノ」だともいわれます。「響き渡る」というなどの意味です。「共鳴」「共感」「思いやり」といったことに連なります。つまり自律や思いやりがなければパーソンではない。「人でなし」ということです。

では、自律や思いやりが勝手に芽生えるかというと、一般的にはそうではないでしょう。人格をつくり磨くには、やはり躾がなければできません。いま大切なことは個人主義から人格主義への転換だと思っています。

【田舞】しかし、私から見ればいまの日本は個人主義ではなく利己主義ですね。私は経営の世界に身を置いていますから、最近の日本経済の動きを見ていると憤りを禁じ得ません。

【野尻】いまの日本経済には、ことにマクロでは戦後の個人主義的民主主義の悪い面が出てきています。

わけても財政です。いまの日本の財政は完全に破綻しています。先日発売された世界経済フォーラムの国際競争力レポートによると、日本は総合で12位ですが、国の債務(借金)残高の水準は117か国中114位、財政赤字は113位で最下位に程近いのです。ところが個人金融資産は世界でトップクラスです。

つまりどういうことかと言うと、戦後の日本人は個人の権利ばかりを主張し、出すものは出さずに保障ばかり要求してきた、その帰結です。インディヴィデュアルとしての豊かさばかりを追い求めパーソンとしての豊かさは置き去りにしてきた結果とも言えます。
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