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『自ら歴史を貶める日本人』http://tinyurl.com/kg2chhs
【 西尾幹二・福地惇・柏原竜一・福井雄三、徳間書店 (2012/12/20)、p16 】
【福井】 現代史を見直す時に、全体に見落としてはいけないと思うのはノモンハン事件に対する評価です。ノモンハン事件をどう解釈するかで、歴史の捉え方がガラッと変わってくるからです。これまでノモンハン事件は、昭和に入ってからの日本の破滅と悲劇の象徴として論じられることが多かった。これは司馬史観の到達点ともいうべき考え方です。
司馬さんが亡くなった後、その系譜を継ぐ作家たちがノモンハンをテーマにした作品をいくつか発表しました。ところがソ連崩壊後の情報公開と最新の研究で、ノモンハン事件は実際には日本の勝利だということが明らかになっています。
例えば、ソ連軍の進んだ機械化部隊などというのは、全く事実に反していて、8百台が日本軍によって破壊されました。それに対して日本軍の戦車の損害は、29台です。空中戦でも撃墜されたソ連軍の飛行機が1673機に対して日本軍はその10分の1の179機でした。
戦闘に参加した兵力は日本軍2万人に対して、ソ連軍は23万人です。しかもソ連軍は日本軍よりも多くの死傷者を出している。10倍近い兵力で戦って、相手よりも多くの損害を出すというのは普通では考えられません。ソ連軍の兵器の質がいかに悪かったか、軍隊の指揮系統がいかに目茶苦茶だったかの証拠です。
日本は実際は勝利していたにもかかわらず、情報不足と国際情報認識のなさから日本が負けたと錯覚し、休戦に応じました。何よりも残念なのは、日本はノモンハンに負けたと錯覚して、ソ連に対して弱気になってしまった。その結果、日本陸軍伝統の北進論の矛先が鈍ってしまいました。
陸軍の仮想敵国は一貫してソ連でした。ソ連と戦うことを前提に、陸軍は戦略戦術を練って訓練していたのです。ところが、ノモンハン事件をきっかけとして恐ソ病が生じました。それによって、「ソ連とは戦うべからず」という暗黙の雰囲気が陸軍を支配した。
2年後、独ソ戦が始まった時に、日本は北進してソ連を打倒することを断念しました。そして海軍の南進論にずるずると引っ張られて、最後は日米開戦という最悪のシナリオに突入してしまった。
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司馬さんが亡くなった後、その系譜を継ぐ作家たちがノモンハンをテーマにした作品をいくつか発表しました。ところがソ連崩壊後の情報公開と最新の研究で、ノモンハン事件は実際には日本の勝利だということが明らかになっています。
例えば、ソ連軍の進んだ機械化部隊などというのは、全く事実に反していて、8百台が日本軍によって破壊されました。それに対して日本軍の戦車の損害は、29台です。空中戦でも撃墜されたソ連軍の飛行機が1673機に対して日本軍はその10分の1の179機でした。
戦闘に参加した兵力は日本軍2万人に対して、ソ連軍は23万人です。しかもソ連軍は日本軍よりも多くの死傷者を出している。10倍近い兵力で戦って、相手よりも多くの損害を出すというのは普通では考えられません。ソ連軍の兵器の質がいかに悪かったか、軍隊の指揮系統がいかに目茶苦茶だったかの証拠です。
日本は実際は勝利していたにもかかわらず、情報不足と国際情報認識のなさから日本が負けたと錯覚し、休戦に応じました。何よりも残念なのは、日本はノモンハンに負けたと錯覚して、ソ連に対して弱気になってしまった。その結果、日本陸軍伝統の北進論の矛先が鈍ってしまいました。
陸軍の仮想敵国は一貫してソ連でした。ソ連と戦うことを前提に、陸軍は戦略戦術を練って訓練していたのです。ところが、ノモンハン事件をきっかけとして恐ソ病が生じました。それによって、「ソ連とは戦うべからず」という暗黙の雰囲気が陸軍を支配した。
2年後、独ソ戦が始まった時に、日本は北進してソ連を打倒することを断念しました。そして海軍の南進論にずるずると引っ張られて、最後は日米開戦という最悪のシナリオに突入してしまった。
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