20日の阪神―巨人戦。(ふん、間違っても巨人ー阪神戦なんて言うものか。)
久々に私は早く仕事を終えることができて、テレビで7時からずっくりと観戦していました。
すると、7回裏阪神の攻撃、ブラゼルが放ったセンター前への飛球を巨人の脇谷が後ろ向きで倒れこみながら捕球したものが直接捕球したか、ワンバウンドしたかで揉めました。
えっと厳密に言いますと、揉めて熱くなったのは我が阪神タイガースサイドだけで、審判は早々に直接捕球のアウトを宣告していました。
真弓監督はベンチから飛び出し猛抗議。
一時選手を引き上げさせるほどでした。
ふだんあまり熱くなって抗議するタイプでない監督なだけによほど悔しかったのでしょう。
確かに試合の大事な場面でしたから。
この試合だけでなく、こういう1球がシーズンを支配する1球となることだってあるんです。
テレビでは脇谷選手を正面から、横から、とらえたテレビ局のカメラの巻き戻しスローを流しました。
明らかに落としている・・・
「セーフじゃないの!」
思わず声が出ました。
すると、一緒にテレビを見ていた、私より野球に関しては詳しくないダーリンが、「あんなの、テニスみたいに巨人のセンターが、『ぼく、落としました。』って正直に言わんのか。」と言いました。
んなこと言うわけないじゃないの、と言う言葉を飲み込んでから、ふとこのダーリンの言葉がとても新鮮に感じました。
そういえば、野球ではどうしてそういうフェアプレー精神がないんだろう、と。
確かに流れのなかで起こったプレーとか、無我夢中で本人はほんとにあれは捕球したと信じてるんだろうな、と思えるような微妙なプレーのときもあります。
けれど、このときのものは、明らかに落としている、って本人もわかったはず。
それくらい一度確実に落球して前に落としてるもん。
すぐそばまで来ていた長野選手も「あっ!」っというような顔でその瞬間を見てるのがテレビでは映し出されてたし。
次の日になって阪神球団は、コミッショナーに要望書を出しました。
しかしそれは、「審判の誤審」をとがめるものではなく、あくまでも、ボールの行方を追うときの審判の位置取りについて、今後改善を求める、というようなものでした。
・・・たるいなぁ。
誤審は誤審に間違いないんだから、それを抗議する、という単純なことでなぜいけないのよ?
VYR見てみろよ、判定違ってるじゃない、って事実だけを突きつければいいんじゃないのぉ。
どうして、そのあとの球界全体についての指針のようなものまでを1球団が打ち出す必要があるんだろうか。
確かに野球の審判員の数は、あれですべてのフィールドをカバーせよ、というには酷なものがあります。
だからとっととビデオを導入すればいいんだってば。
あの旧態依然とした相撲協会だって、ビデオ判定は取り入れてるんでしょ。
いまどき、こんな時代錯誤のことやってるのって日本プロ野球球界くらいのもんじゃないのぉ。
テレビ放映のためのカメラが確実に落球している様子を撮っているというのに、審判の判断だけが採択される。
これでは世界中がおかしいって思ってるのに、自国の民だけがそのおかしさに気付かない北朝鮮のようなもんだわ。
でも、このときのダーリンの発言のおかげで私はふとフェアプレーというものについて興味を持ちました。
というのは、確かゴルフで数年前、ある選手が自分の球を打とうとしたとき、トンボがボールの下敷きになっているのを見て、インプレーだったけれど、1打罰を覚悟して、そっとボールをどけてトンボの命をすくってやってからボールを打ったという話があります。
この話は美談として語り継がれ、事実その年のユネスコのフェアプレー特別賞を取りました。
しかし、私はこの話を聞いたとき、確かに美談ではあるけれど、フェアプレーというのとはちょっと違うのではないか、と首をひねりました。
「フェア」というのは、もちろん公正、公平、と言う意味です。
彼がボールをどけたことによって、誰と誰が“公平”になったの? というのがどうも解せなかったからです。
スポーツとは何のためにやるのか、と言えば、勝敗を決するためです。
その勝ちの価値(しゃれじゃないよん)にケチがつかないようにするため、つまり完全な勝利とするがために、公平性が求められるのだと思います。
だから、トンボの命を助けるがために自分の球をそのまま打たなかった選手は「優しい人だよね。」とは思っても、それが何で、フェアプレーなのかは私にはよくわかりません。
私が自分自身で思うところの尺度に従ったとするならば、プロ野球は、自分達のチームの勝ちにケチがついてもいいんでしょうかねぇ?
「あのときに本当の判定がなされていたら、あの後、あの試合はどうなったかわかったもんじゃない。」と言われて勝って嬉しいんでしょうか?
どんなダーティな手を使って勝っても勝つのがプロなんでしょうか?
・・・疑問です。
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