司法書士のオシゴト

会社にかかわる登記を中心に素朴なギモンにお答えします♪ 

謎の新株予約権 その5

2017年03月21日 | 株式・新株予約権

おはようございます♪

新株予約権が消滅しているコトはほぼ確定していたのにもかかわらず、附属書類の閲覧をしなければならなかった理由。。。
それは、消滅したのが一体いつなのか???。。。が、その時点の情報では全く分からなかったからなのです。
それから、消滅していない可能性も僅かながら残されておりました^_^;

単純にいうと、払込みの期日が何時なのか?。。。を知りたいってコトなのですケド。。。新株予約権の消滅時期について、もうちょっと詳しくご説明しますと、こんな感じです。

1.割当日よりも前の日が払込みの期日だった場合⇒ 新株予約権は発行されない(商業登記ハンドブック第3版 329P)
   ※発行登記の際は、払込みがあったことを証する書面の添付が必要デス。

2.割当日以降、行使期間の初日より前の日が払込みの期日だった場合⇒ 払込みの期日の経過により新株予約権は消滅する(会社法287条)

3.行使期間の初日以降の日が払込みの期日だった場合⇒ 2と同じ(行使期間が到来しても、払込みをしない限り新株予約権は行使できない。)

4.払込みの期日を定めなかった場合⇒ 行使期間の到来と同時に新株予約権は消滅する

そんな細かいコトは知りたくないよぉ~!!!。。。という方もいらっしゃると思いますが、ワタシの備忘録なんで読み飛ばしてください^_^;

こんな事情がありまして、募集事項を知る必要があったんですね。

もっとも、新株予約権の発行登記済なので、1の可能性はなし。
それから、今回のケースは割当日イコール行使期間開始。。。。でありましたので、2と4の可能性もなし。。。ってコトは事前に分かっておりました。

。。。というわけで、残るは上記3のケースのみであります。
ただ、モンダイは3であっても払込みの期日がいつか???。。。ってトコロ。。。。(ーー;)
仮に払込みの期日が現時点でまだ到来していなかったとしますと、新株予約権は消滅していないコトになりますんでね。。。新株予約権者に新株予約権を放棄してもらったりする必要があるんですよねぇぇ~。。。

なので、ちょっと不安ではあったのですケド、結果的には払込みの期日はとっくに到来しておりまして。。。無事(?)新株予約権は消滅していたのでした。

謎が解明できたんで状況をご報告しますと、その当時増資の計画があって、増資されると旧株主サンたちの持株比率が下がるため、新株予約権の発行がセットで予定されていたらしいのです。
しかも、新株予約権は募集株式の発行に先行して発行する必要があったらしく、だからといって、本当の意味で(?)発行(=払込み)してしまうのも何だかなぁ~。。。という感じだったので、払込みの期日は増資予定日後に設定されていたようでした。

でも、結果的には増資は実行されなかったんで、新株予約権も要らなくなり、当然払込みもしなかった。。。だから、会社としては新株予約権は発行していないと思っていた。。。というようなオハナシでありました。

その後、払込みの期日の翌日を登記原因として新株予約権の消滅登記を申請しましたが、結構遅れてしまいましたんでね。。。もしかすると過料が課されるかも知れない。。。という状況でございます^_^;

とはいえ、解散のハナシがなかったとしたら、その新株予約権はそのまま放置されるコトになり、その間、附属書類の保存期間の5年が経過してしまいますと、もはや発行決議がどうだったのかを知るヒトはいなくなり(発行登記の申請をした司法書士サンなら分かるかも^_^;)、大変なコトになっていたかもね~。。。。と思います。

ワタシも、良い経験をさせていただきました。

オマケ: 本文中「払込みの期日」と書きましたケド、ナンデ??。。。と思った方もいらっしゃるではないでしょうか?
実はワタシも知らなかったのですが、「払込みの期日」(会社法238条1項5号)と「払込期日」(会社法246条1項)は異なる概念なのですって!!。。。。^_^;
前者は会社が定める日であって、後者は会社が定めるかどうかに関わらず、すべての有償発行の募集新株予約権について「払込みをしなければならない日」という意味なのだそうです。
そのため、「払込みの期日」を定めなかった場合でも、「払込期日」の方は行使期間開始までとなる。。。ってコトらしいデス^_^; (新株予約権ハンドブック(商事法務)P40 )
へぇぇ~。。。と思いつつ、記事を書いておりました。

コメント (2)
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