司法書士のオシゴト

会社にかかわる登記を中心に素朴なギモンにお答えします♪ 

外国会社の合併と日本における営業所 その4

2009年08月18日 | 渉外関係

法務局に相談に行きますと(実際に行ったのはホントの担当者)、良く事情をお分かりいただき、こんなことになりました。

1.宣誓供述書には、本国での合併の概要を記載すること。
2.消滅会社の営業所廃止と存続会社の営業所設置の登記は連件で申請すること。

以上の要件を充たせば、債権者保護手続を経ないで、営業所廃止の登記が出来るということでした。

あ~よかった、よかった。さあこれでやりましょう!!と思いましたが、本国の事情が変わったのか、結局その登記を申請することはありませんでした。

そして、1年半くらい経ったある日、同じような事件を受託し(今回はワタクシ担当)、「な~んだ楽勝!」と思ったワタシでしたが、前回、登記申請に至らなかったということと、相当の日数が経過しているということがあり、「念のため再確認した方がいいよね♪」くらいの軽いキモチで法務局に参りました。

ところがどっこい!!ハナシは大逆転されてしまったんです。

法務局のヒトは、「手続は法律で決められてるでしょ! そんな特別なことはできません! 実質がどうだろうと、債権者保護手続はやってもらいますっ!」 とおっしゃるんです。
「だって、だって、この前(ってずいぶん前ですけど)出来るっておっしゃったでしょう!? ダイタイ、その時の相談票も相談番号もあるんだし、ちゃんと見直してくださいよぉ。。。」 と言うと、「あ~、相談票は1年で廃棄しますから、もうないです。」だって。

あのとき、登記申請までこぎ着けていれば、もしかして違う結論に至ったかも知れませんが、結局立場はあちらが上。それに、法律で決まっているといわれれば、返すコトバはありません。

それと、法務局の相談事例をQ&A形式にして(非公開)あるものによると、わりと最近同じようなシツモンをした人がいるらしく、その答えも同じように「債権者保護手続が必要」と書いてある。

さらに、あちらが言うには、存続会社がその事業を承継したってことは登記簿上分からないんだから、債権者にとって不利益になる可能性は大いにある。と。。。。
つまりですねぇ~、消滅会社の営業所廃止の登記だと、日本の会社のように「●●会社に合併し解散」とはできず、「全ての日本における代表者の退任」とするしかない。それだと、普通に日本から撤退するのか、そうでないのかさっぱり分からん、ということでございます。

そこまで言われると、やっぱりこちらが折れるしかありません。正当な根拠がないんですからね。

という訳で、残念な結果に終わってしまいました。
じゃあ、どうするのか、というと、ヘンなことにならないためには、大変おかしな話ではありますが、

①合併前に日本における事業を存続会社に譲渡し、合併による消滅の時点では日本の債権者が存在しないようにしておく(その状態で債権者保護手続をすれば、実際には官報公告だけなので、さほどヘンでもない)か、

②合併の効力発生で当然に日本での事業が存続会社に承継されるのであれば、その後に消滅会社の営業所の廃止手続をする(もう会社は無いのですけど、以前の記事のように登記所はそれ自体の調査をしないから分からない。イコール登記可。)。のいずれかの方法を採ることになるようです。

どっちも何かヘンだと思うのですが、相手は外国ですから、双方の法律を遵守すると、ヘンなことになっても仕方ないのでしょうか?

ちなみに、営業所を廃止の登記に併せて、本国の解散の登記をすることは可能です。念のため。

コメント
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