孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

中東欧を襲う大寒波 ウクライナ、ティモシェンコ前首相実刑判決でロシア寄りの姿勢を強める

2012-02-05 20:55:23 | 欧州情勢


(昨年10月11日 首都キエフの地区裁判所で、在任中の職権乱用の罪で禁錮7年の実刑判決を言い渡されたティモシェンコ前首相 “flickr”より By inphoto.com.ua http://www.flickr.com/photos/cyberpunkzzz/6236677399/

ウクライナ国内の死者は計101人
南国・鹿児島でも厳しい寒波で、一昨日はマイナス5.6℃まで気温が下がり、水道管の凍結などで大騒ぎでした。
昔はよく経験しましたが、最近ではあまり記憶にないことです。

報じられているように、中東欧の寒波はもっと厳しく、欧州全体の死者は260人以上【2月5日 AFP】に上っています。

****中東欧で大寒波、死者増加 ****
ロンドン(CNN) 欧州の広範囲を覆っている大寒波の影響で、中東欧では、3日に厳しい寒さによる死者の増加が相次いで報じられた。

最も被害が大きいのはウクライナで、その他にもポーランド、ルーマニア、セルビア、ベラルーシが例年をはるかに凌ぐ厳しい冬の寒さに苦しんでいる。

ウクライナでは、過去24時間で38人が低体温症により死亡したと国営通信社ウクルインフォルムが伝えた。これで1月27日に始まった大寒波によるウクライナ国内の死者は計101人に達した。しかし、ウクライナの首都キエフの気温は低下し続けており、3日朝の気温はセ氏マイナス27度まで下がった。気温がセ氏マイナス15度を下回ったのは9日連続となる。

またポーランドでも2日の時点で29人が死亡したと地元ラジオ局が伝えた。さらにセルビアやルーマニアなどでもこの1週間で寒さによる死者が報告されている。

セルビアでは23の市町村が大雪により非常事態を宣言したと国営タンユグ通信が3日に伝えた。セルビアでは寒さにより6人が死亡、1人が行方不明となっている。現在、約1万1500人が大雪の影響で外界から遮断された状態にあるという。

国際赤十字は、緊急事態対策の支援金として災害救援基金から約10万8000ユーロ(14万1000ドル)を拠出した。その資金の3分の1はベラルーシに、3分の2はウクライナに配分されるという。しかし、生活必需品の購入費やボランティアの人たちを輸送する車の燃料費、さらに情報提供活動の費用を支援するためにさらなる資金が必要だとしている。【2月4日 JST】
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南欧・イタリアでも、ベネチアで氷点下5度を記録し、運河が凍り始めたとか。ローマの市街地も雪に覆われ、円形闘技場コロッセオなどの観光名所が閉鎖されたそうです。
また、チェコ南西部では氷点下38・1度を記録。寒さはさらに数日続く見通しのようです。【2月4日 読売】

ロシア、天然ガス供給を操作?】
この寒波に関連して、ちょっと気になるニュースも。
****ロシアからのガス供給減少=寒波の中、8カ国で―EU****
寒波に見舞われた中・東欧を含む欧州連合(EU)の8カ国で、ロシアからの天然ガス供給が減少していることが3日、欧州委員会の調査で分かった。EUはガス調達でロシアに大きく依存しており、寒波に伴う凍死者が増え続ける中、暖房の熱源となるガスの供給減が長引けば、深刻な影響をもたらす可能性もある。

欧州委によると、ロシア産ガスの供給減はポーランドやオーストリア、ブルガリア、ハンガリー、ルーマニア、スロバキアなどで確認。オーストリアでは減少率が一時3割に達したという。
一方、ロシアからの報道では、同国国営天然ガス独占企業ガスプロムの幹部は、今冬のEUの需要が増えただけで、契約に基づく供給を続けていると反論した。【2月4日 時事】
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ロシアも厳しい寒波に襲われていますので、自国の需要を優先させたのでは・・・と思われます。
もしそういうことであれば、協議もなく一方的にエネルギー供給を調整してしまうロシアのやり方は、「やはりロシアという国は・・・」という感を抱かせます。

ロシア寄りを強めるウクライナ
今回寒波で100名を超える最大の犠牲者を出しているのがウクライナですが、ウクライナでは現在、ティモシェンコ前首相が職権乱用罪で禁固7年の判決を受け収監されています。
収監施設に暖房などはあるのでしょうか?日本では、寒冷地の刑務所には暖房設備があるようですが。

そのティモシェンコ前首相の娘が米議会で、厳しい収監状態、体調不良を証言しています。
****ウクライナの自由に危機」=前首相の娘、米議会で証言*****
職権乱用罪で収監されているティモシェンコ前ウクライナ首相の娘エウヘニアさんが1日、米上院外交委欧州小委員会で証言し、「ウクライナの自由は深刻な危機にある」と述べ、ヤヌコビッチ大統領を厳しく非難した。

エウヘニアさんによると、ティモシェンコ氏は収監後も厳しい取り調べを受け、睡眠も制限されるなどして健康が著しく悪化。先月、ウクライナ東部ハリコフの刑務所で一時意識不明に陥り、死亡する可能性があったにもかかわらず、家族に連絡があったのは3日後だったという。

エウヘニアさんは「不幸にもウクライナは独裁政権に変わった。母が選挙への出馬を認められれば、ウクライナをソ連時代に逆戻りさせない」と述べ、早期釈放に向けヤヌコビッチ政権に圧力をかけるよう求めた。ホワイトハウスや国務省当局者とも面会し、支援を要請するという。【2月2日 時事】 
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なお、ティモシェンコ前首相の夫オレクサンドル・ティモシェンコ氏がチェコに政治亡命を申請したことが、1月6日、チェコの外相から公表されています。

これまでウクライナは、EUやNATO加盟を目指すなど欧米との接近を図っていましたが、親ロシア派のヤヌコビッチ大統領に変わり、当初は東西間のバランスをとっていましたが、政敵ティモシェンコ前首相実刑判決に対する「政治的判決だ」との西側からの批判を受けて、ロシア寄りの姿勢を強めています。
昨年10月には、ロシア主導する旧ソ連8カ国の自由貿易圏条約にウクライナも署名しました。
この自由貿易圏条約は、ロシアのプーチン首相が提唱したソ連圏再編とも目される「ユーラシア連合」の第1歩とも見られています。

プーチン首相の大統領復帰で、“ソ連時代に逆戻り”ということが加速するのでしょうか?


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