孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

アジアをつなぐアジア横断鉄道「鉄のシルクロード」プロジェクト

2008-09-17 15:54:13 | 身辺雑記・その他

(カンボジアの鉄道の車内 列車の旅はリニアとか新幹線ではなく、やはりローカルな列車を乗り継いで・・・というのが正しい道でしょう。
とは言うものの、このカンボジア鉄道は気合と体力を必要としそうです。
短い区間ならなんとか・・・・  “flickr  By magical-world
http://www.flickr.com/photos/magical-world/2257051193/)

【鉄のシルクロード】
もう1年以上前になりますが、アジア各国をつなぐ列車“アジア・エクスプレス”について書いたことがあります。
(07年7月10日「アジア・エクスプレスの夢をのせて」 http://blog.goo.ne.jp/azianokaze/d/20070710
あのときは、インド-バングラデシュ間をつなぐ特別臨時列車の話題から、私が勝手に妄想したものでしたが、アジア大陸を鉄道で結ぶ“アジア横断鉄道(Trans-Asian Railway、TAR)”の計画が実際にあるそうです。

06年11月に開催された国連アジア太平洋経済社会委員会(UNESCAP)で、中国やロシアを含む18か国がアジア大陸を横断するTAR建設に向けた政府間協定を締結し、アジア横断鉄道による「鉄のシルクロード(Iron Silk Road)」が、2007年度より国連プロジェクトとして正式に認可されました。

*****夢のアジア大陸横断鉄道、実現の動きが活発化******
現在までに西はトルコ、ロシア、東はベトナム、韓国まで、29か国の一部の路線、総距離7万4700キロが敷設を終えた。全路線の連結までには、さらに約6200キロの敷設が必要で、UNESCAPはその費用を150億ドル(約1兆6000億円)程度と見積もっている。
完成すれば、かつて東西を結んだ交易路シルクロードのように、シンガポールからロシアのサンクトペテルブルクへ、カンボジアのプノンペンから北朝鮮の平壌へと、広大なアジア大陸を横断する路線を人々や物資を載せた鉄道が往来することとなる。

インドシナ半島の内陸国ラオスは、これまで国内に鉄道路線を持たなかったが、メコン川をはさんでタイ北東部とラオスを結ぶ友好橋上を走行する鉄道路線が2009年3月に完成する予定だ。(中略)
しかし、路線が欠けている部分の大半は東南アジアで、国境をまたいで乗り入れのあるのはシンガポール、マレーシア、タイだけだ。タイ-カンボジア間には線路は敷設されているが、90年代まで続いたカンボジア内戦で荒廃してしまった。
カンボジア公共事業・運輸省によると、アジア開発銀行が資金援助に乗り出しており、修復は3年以内に完了するというが、国境紛争のあるタイ間との再連結に関して合意は何もない状態だ。(中略)
一方、軍事政権が支配し貧困に苦しむミャンマーで、アジア各地とつながる鉄道の建設が実現する可能性はほとんどない。(中略)

(UNESCAP輸送部門で経済問題を担当する)ピエール・シャルティエ氏は、敵対関係にあった韓国と北朝鮮間で前年12月、朝鮮戦争以来はじめて軍事境界線を越えて貨物列車が走行したように、障害が取り除かれれば不可能と思われていた事業も実現できると期待する。
TARの構想についてシャルティエ氏は、陸上の駅間を結び人や物資を輸送する大陸横断鉄道の敷設により、道路輸送への過剰な依存が軽減され、開発や雇用の創出、貿易や産業の繁栄がもたらされるとの見方を示した。また、昨今の地球温暖化への懸念から鉄道利用の見直しが重要と述べ、飛行機よりも鉄道での移動を選択する人々も増加するとみている。(以下略)
【9月15日 AFP】
**************

「鉄のシルクロード」ことアジア横断鉄道の路線図は下記のとおりです。
9月12日 AFP 【図解】「アジア横断鉄道」計画  http://www.afpbb.com/article/economy/2516919/3329885

【TARを阻むミャンマーの壁】
この路線図をよく見ると確かに東南アジアのあちこちでまだ途切れています。
タイ-カンボジア間については最近のヒンズー教寺院遺跡「プレアビヒア」問題でまたこじれてしまいましたが、国連では2年以内にこの路線は開通すると見込んでいるそうです。

最大のネックはミャンマーです。
冒頭で触れた1年前の私の妄想でもさすがにミャンマーは空路でパスする形を取らざるを得ませんでした。
上記記事によると、かつて韓国国際協力団が出資してタイとミャンマーをつなぐ鉄道路線の実現可能性が検討されたそうですが、コスト効果から見て好ましい結果が出なかったとか。
ミャンマーの山がちな地形と軍事政権による鎖国的政策が、東南アジアからインドを抜け、イラン、トルコへと通じる「鉄のシルクロード」の広がりを阻んでいます。
今後の軍事政権の動向如何というところです。

非常にロマンを感じるプロジェクトですが、将来の物流という点ではどうでしょうか?
国内でも物流は鉄道からトラックへ完全に切り替わった歴史がありますが、東南アジアにおいても同様ではないでしょうか?
これも以前とりあげた「メコン川流域開発計画(GMSプログラム)」(3月31日
http://blog.goo.ne.jp/azianokaze/d/20080331)で進められている道路プロジェクト・・・ベトナム中部・ダナンからラオス・タイを横断してミャンマー・モーラメインに至る“東西回廊”、中国・昆明から南下しラオスを通過してタイ・バンコクに至る“南北回廊”(昆明からベトナム北部・ハノイにまで連結します。)、バンコクからカンボジア・プノンペンを経由してベトナム南部・ホーチミンに至る“第二東西回廊”(南部回廊)・・・が物流の主役になるのではないでしょうか。

東南アジアを抜けて更に遠方とつなぐという点ではゲージの問題もあるのでは。
上記AFPの路線図に見るように、中国、ロシアから中央アジア、東南アジア、インド、イランからトルコの各ブロックで軌道(ゲージ)が異なります。各ブロックを超えるときは車体の変更が必要になると思われます。

【夢のアジア・エクスプレス】
まあ、なんだかんだの問題もありますが、ロマンあふれるプロジェクトであり、このプロジェクトが実現するということ自体が世界の平和と安定の象徴でもあります。
幾多の困難を乗り越えて是非実現してもらいたい企画です。

10年、15年後、リタイアして時間がたっぷりとれるようになったら、アジア・エクスプレス(東京発→福岡・・・フェリー乗換え・・・釜山→ソウル→ピョンヤン→北京→上海→香港→ハノイ→ホーチミン→プノンペン→バンコク→ヤンゴン→ダッカ→ニューデリー→テヘラン→イスタンブール着)の旅なんてできるかも。


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