孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

アメリカ  注目される全米自動車労組(UAW)の対応

2009-01-14 20:16:43 | 世相

(北米国際自動車ショーに出品されたthe chevy beat  GMのハイブリッドカーでしょうか “flickr”より By daniel.gene
http://www.flickr.com/photos/danielgene/3190601740/)

アメリカ・デトロイトで北米国際自動車ショーが11日から開催されています。
環境に配慮したグリーンカーが多数出品されていますが、関係者の関心はビッグ3の経営危機にあるようです。

自動車販売は世界中で低迷していますが、中でもGMとクライスラーは、計80億ドル(約7200億円)にも上る公的資金の緊急融資を受けており、2月17日までに政府に経営改善策を提示しなければなりません。

【組合の論理】
個人的には、企業そのものの存続よりは、労働組合の対応に興味があります。
労組の対応如何で、企業の存続も左右されるという意味では、同じことですが。

****「なぜ労働者が犠牲を」、北米自動車ショーで労組が賃金カットに抗議****
米ミシガン州デトロイトで開幕した北米国際自動車ショーの会場前で11日、全米自動車労組(UAW)の組合員らが、業績が悪化している米自動車産業の再建目的での賃金引き下げに抗議した。

「必要なのはイラク戦争より医療保険」「米国車を買え」「米国を築いたのはわれわれだ」「(米国)車を殺すのは国を殺すことだ」「銀行や経営トップが金を出せ」――。会場前に集結した組合員らは、プラカードを手に抗議の声を上げた。
「なぜわれわれが犠牲を払わなければならない?」とUAW組合員の1人が言えば、別の1人は「すでに十分すぎるほどの犠牲を払った。生活はもうぎりぎりの状態だ」と訴える。
労組側が配布した冊子には、「われわれは外国の自動車企業の従業員ではない。同様に扱うな」などと書かれ、米企業に比べ低賃金とされるトヨタ自動車やホンダなど外国系自動車企業の現地工場を暗に批判している。

米政府は、クライスラーやGMに巨額の追加融資を行う条件として、従業員の労働条件を見直すよう求めており、数週間内にも労使交渉が行われる見通し。経営側は労組に対し、賃金引き下げや各種手当てカットなどを含むリストラ対策への理解を求めるものとみられる。
業界専門家は、米政府からの圧力がかかっていることから、労組がストライキを行使する可能性は薄いとしている。【1月12日 AFP】
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【現状認識と正論のあいだで】
大昔になりゆきで、某政府関係特殊法人の労働組合を率いる立場に立ったことがあります。
当時、公務員や特殊法人については、“ヤミ手当て”“カラ出張”などの批判が噴出し、それまでの“既得権益”の殆どを失っていました。
更に、労働条件の切り下げ、組織自体の統廃合という形で労働側への逆風が続き、組合内部には“いつまで叩かれるままになっているんだ”“当然の権利を求めてなぜ闘わないのか”と、組合指導部の弱腰を批判し“組合的正論”
を主張する者も存在していました。

当時の組合の実態は労使協調でしたが、対組合員向けには過去の運動を踏襲する“正論”的な姿勢も残っていました。
政府・財政当局に対し“組合的正論”を盾に“目立つ”運動を行うと、狙い撃ちにされる・・・そういう現状認識と組合的正論を否定できない姿勢のあいだで随分苦慮したことがあります。
実際のところ、指導部の関心事は“いかに政府・当局と交渉するか”ではなく、“いかに組合内部の“正論”をかわすか・・・”ということでした。

私のような弱小組合の日和見役員と比べたら失礼でしょうが、アメリカのUAWも同じような悩みを抱えているのではないでしょうか。
おそらく指導部の間では、“この状況にあっては譲歩もやむなし”という認識もあるのでは。
しかし、それを組合員に対しストレートに出すことは憚られる・・・そういう感じではないでしょうか。
特に大幅な賃金引下げや合理化を組合として受け入れることは難しいところです。
自らの存在意義にかかわってきます。
さりとて、ここで再建案を拒否すれば、もともこもなくなることが予測されます。

UAWの場合、同じ自動車業界労働者でもUAWに加入していない労働者と比べると大きな権益を持っているようにも聞きます。
UAW指導部がどのような判断をするのか、組合員がどのように反応するのか・・・。

【売れている車もあるそうで】
絶不調の自動車販売の中にあって、例外もあるようです。
ドイツ自動車大手ダイムラーの小型電気自動車「スマート」の売れ行きが好調だそうです。
それは“まあ、そういう車種もあるかも”という感じですが、高級車も売れ行きは好調だそうで、こちらの背景はよくわかりません。

“米国を始めとして世界中の自動車市場が低迷しているにもかかわらず、英ベントレーや伊マセラッティ、同ランボルギーニ、英ジャガー、独マイバッハ、英ロールス・ロイスなどの高級車の販売は堅調で、特に、東欧などの新興市場での売り上げは前年比8-50%増となっている。
ジャガーのマーケティング責任者によると、同社は2008年、3-6万ドル(約270-540万円)の価格帯の車を6万5000台販売したという。これは前年比8%増の数字だという。”【1月14日 AFP】

不況だなんだと騒いでいますが、それは貧乏人の世界での話で、富裕層にはまた別の話があるのでしょうか。
住む世界が違いますので、よくわかりません。




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