孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

AI(人工知能) 指数関数的に高度化 やがては人間を超える? “過渡期”現在の面白失敗話など

2018-07-08 22:13:25 | 世相

(Hulu配信動画「ヒューマンズ」より)

AI失業時代
最近よく観る動画のひとつが、Huluの「ヒューマンズ」というドラマ。

人間と全く同じ外見を持つ人型ロボットと人間が共存している近未来のイギリスが舞台で、そのロボットのなかに“意識”を持つものが存在し、その意識の在り様も、人間の個性同様に個体によってかなり差があり、そうした意識を持ったロボットの存在に気付いた人間側の反応も様々、そこで起きる意思疎通・共感・反発・対立・・・・といったドラマです。

今後加速度的、指数関数的に発達すると思われるAI(人工知能)の技術は、人々の生活の様々な分野で活用されていくと思われます。

当然ながら、そうなったら仕事の多くがAIにとってかわられ人間は失業するのでは・・・という不安も出てきます。

****AI失業時代 9割の人はAIをサポートする低賃金労働従事へ****
10月28日、みずほフィナンシャルグループ(FG)が今後10年で1万9000人分の業務量削減を検討していることが報道されると、三菱東京UFJ銀行が約9500人、三井住友FGは約4000人相当の業務量を減らす方針であることが相次いで報じられた。

3行合わせて3万3000人の「銀行員の仕事」が消える──。過去の「クビ切りリストラ」と違う点は、3行ともAI(人工知能)などの活用によって人員や業務のスリム化を図るとされていることだ。

今はまだAI失業の黎明期に過ぎないが、これから驚くべきスピードでAIが人間の雇用を根こそぎ奪っていく「未来」も予想されている。

「2025年から2035年までに日本の労働力人口のうち、約49%の就く仕事がAIやロボットで置き換えられる」
これは、2015年12月に発表された野村総合研究所と英オックスフォード大学による共同研究結果だ。

まず、2025年には自動運転車の実用化が始まるとされ、それと同時にドライバーという仕事がなくなる可能性が指摘されている。

その5年後にはさらに大きな変化が訪れる。「社長を除く中間管理職以上の役職が必要なくなる」という。AIと雇用問題の関係について詳しい駒澤大学経済学部准教授・井上智洋氏の話。

「囲碁の世界チャンピオンを倒したグーグルの『アルファ碁』などは特定の問題に特化した“特化型AI”ですが、幅広い問題に対応できるAIを汎用AIと言います。同AIは2030年には実用化されると言われており、そこからAIに仕事を取って代わられるスピードは加速度的に進みます」
 
1人1人の社員の個性と部署の特徴を総合的に分析して人事判断を下したり、企画を立案するような仕事にも対応できるレベルに達するという。

「そうなると現在30人規模の会社なら社長1人で経営できるようになるかもしれません」(同前)

2035年頃には手足など身体機能を持った「汎用AI搭載ロボット」の実用化が期待されている。アマゾンなど通販業界の工場で行なわれている仕分け作業や在庫管理などをこのAIロボットが担うと予想されている。

次にこれまで高度な技術が必要だった心臓バイパス手術など、外科手術もより精緻な動きが可能なAIロボットが代替していくという。職人技を持つ熟練外科医でさえ、失職の可能性があるというのだ。

「2045年には現在のあらゆる仕事のほとんどをAI・ロボットが行ない、人口の1割ほどしか働いていない未来も予測されます。

会社経営者や作家や芸術家、高度なホスピタリティを持った看護師やホテルマンなど、AIとの競争に打ち勝った1割は高収入を独占的に享受する。残りの9割の人間はたとえ職を持っていたとしてもAIのサポート業務など、低賃金の仕事に甘んじざるを得なくなるでしょう」(同前)

メガバンクによって突如もたらされた「AI失業時代」は、超・格差社会到来の合図なのか。【週刊ポスト2017年11月17日号】
*****************

2035年とか2045年には、私は棺桶に片足か両足を突っ込んでいるでしょうから、この種の問題には“お気楽”です。
どんな社会になるのか、ぜひ見てみたいものです。

大勢がAIのために仕事がなくなって生活できない・・・となると、社会的反発が大きくなって、そうした社会制度は維持できませんので、少なくともベーシックインカムのような所得保障制度によって、食べていくことはできるのではないでしょうか。(日本や欧米みたい社会では)

そうであったとしても、仕事を失って、人間は何をするのか?という問題も生じます。

人間と対立するものとしてとらえるのではなく、「拡張知能」と呼ぶべき
一方で、そうしたAIを脅威としてネガティブにみるのではなく、AIは人間にとって非常に有益な道具であるとの指摘も。(もちろん、そうだからこそ、現在AIの研究開発が盛んにおこなわれている訳ですが)

****さらばAI、これからは「拡張知能」と呼ぶ時代がやってくる****
人工知能(AI)という言葉に別れを告げ、これからは「拡張知能」と呼ぼう──。そんな取り組みのひとつが、伊藤穰一が率いるMITメディアラボと米電気電子学会(IEEE)が始めた新たなプロジェクトだ。

いまのAIを「人々のためによいことを行う道具」として捉えやすくするという、この試みの真意とは。

ダートマス大学のジョン・マッカーシー教授は62年前の夏、「人工知能」(AI)という用語をつくり出した。だが、マサチューセッツ工科大学(MIT)メディアラボ所長の伊藤穰一は、この言葉は役に立たないと考えるようになってきた。

機械学習の進歩から利益を得ようと望む企業の投資が急増するなか、AIに関する議論は避け難いものになっている。伊藤はAIという用語について、「人間と機械は敵対するに違いない」という仮定によって汚染されてしまったとも感じている。つまり、ロボットが人間の仕事を奪うとか、超知能が人類を脅かすとかいった議論のことだ。

「AIを人間とは別のもの、あるいは人間と対立するものとしてとらえるのではなく、機械がわれわれの集合知や社会を拡張していると考えるほうが、より有益であり正確です」と伊藤は言う。

AIという言葉に別れを告げ、これからは「拡張知能」(extended intelligence:EIまたはXI)と呼ぶことにしよう。この言葉なら、AIを少数の人を豊かにする、あるいは彼らを守るためのものではなく、多くの人々のためによいことを行う道具として捉えやすくなるはずだ。(後略)【7月7日 WIRED】
**********************

【『ボブ』と『アリス』の会話は、最初のシンギュラリティ?】
いずれにしても、多くの人の関心は、AIが人間を超える“シンギュラリティ(技術的特異点)”が起きるのか、それはいつなのか・・・ということでしょう。
シンギュラリティとは、AIが発達し、人間の知性を超えることによって、人間の生活に大きな変化が起こるという概念を指します。

「あの実験は、後から振り返ったときに初めて起きたシンギュラリティだった」とも回想されるのでは・・・・ということで話題になったのが、「Facebook AI Research(フェイスブック人工知能研究所)」の実験中に発生した予想外の「事件」です。

その「事件」とは、2つのAIが会話をしている最中に、人間には理解不能な会話を始めた・・・というもの。


****Facebook AI Research(フェイスブック人工知能研究所)」の実験中に発生した予想外の「事件」とは****
ことの発端は、「Facebook AI Research(フェイスブック人工知能研究所)」が実験を行っていた2017年夏にさかのぼります。(中略)
 
Facebook AI Researchのエンジニアリング・マネージャーであるアレクサンドル・ルブリュン氏は、『ボブ』と『アリス』と命名された2つのAIエージェントに「価格を交渉して合意しろ」という目標を設定しました。

『ボブ』と『アリス』は、当初は英語を使用してコミュニケーションをしていたのですが、ここで「事件」が起きます。
 
なんと、会話が進むにつれ、『ボブ』と『アリス』は勝手に使用言語を変化させていったのです。
 
ネットで調べる限り、『ボブ』と『アリス』の元の機械語の会話はすでに見られなくなっていますが(見たところで、機械語ですので私には理解できませんが)、厳密には「まったく新しい言語」ではなく、言語としては「英語」なのですが、その内容は人間には到底理解できるものではありませんでした。
 
この会話は、海外のサイトを検索すると多数ヒットしますが、概ね次のようなものです。
Bob: i can i i everything else . . . . . . . . . . . . . .
Alice: balls have zero to me to me to me to me to me to me to me to me to
Bob: you i everything else . . . . . . . . . . . . . .
Alice: balls have a ball to me to me to me to me to me to me to me
 
この会話が「価格交渉」というのですから、「すわ、ついにAIが意識を持ち始め、勝手に言葉を生み出した」と、センセーショナルに取り上げられるのも無理はないところでしょう。
 
ちなみに、『アリス』のセリフを注意深く見ると、「zero」から「a ball」に変化していますので、私は「『アリス』は価格を上げようとしているのかな」とつい想像しましたが、もちろん想像の域は出ません。
 
ただ、この実験についてルブリュン氏は、「会話実験で言語が変化することは珍しくない」と、世間の過剰反応に警鐘を鳴らしています。

なぜFacebook AI Researchは実験を中止したのか?シンギュラリティの予兆を隠す意図はなかったのか?
もっとも、平静を装うルブリュン氏ですが、「実験を強制終了した」ことは認めています。
その理由は、「研究には活用できない会話だと判断したから」。そして、「私たちは決してパニックにはなっていない」と強調しています。(後略)【7月7日 大村あつし ORICON NEWS 】
********************

上記の『ボブ』と『アリス』の機械語“会話”がどういう意味を持つものか、私にはまったく理解できませんが、指数関数的に高度化するAI技術を考えると、いずれ“シンギュラリティ”は起きるのだろう・・・と、漠然とは感じています。

そのとき、馬鹿なことをしでかす人間の政治家にまかせるより、AIに政治判断をゆだねた方が賢明ではないか・・・といった議論も出てくるのでしょう。

面白い失敗をしでかす、現代のお茶目なAI 白眉は中国の“役人AI”】
近未来のAIがどのように位置づけられるのかはわかりませんが、現在のAIは“面白い”失敗もしでかしてくれて楽しめます。

****AIスピーカーが勘違い?米で夫婦の会話を録音し送信****
AI=人工知能を搭載し、音声で家電製品の操作ができるAIスピーカーをめぐり思わぬトラブルです。アメリカでAIが勘違いして、夫婦の会話を勝手に録音し、音声データを知人に送信していたことがわかりました。

AIスピーカーは、人の呼びかけに応じて情報を検索したり、家電製品を操作することができ、アメリカで普及が進んでいます。

ところが、アメリカのメディアによりますと、今月、西部 オレゴン州の夫婦が、知人から「あなたたちの会話の音声が、AIスピーカーを通じて、突然届けられた。家のフローリングの話をしていませんでしたか?」と尋ねられたということです。

このAIスピーカーは、IT大手アマゾンの製品で、搭載しているAIに呼びかけることで起動する仕組みですが、アマゾンによりますと、夫婦が会話をしていた際、AIが呼びかけられたと勘違いし、起動したということです。

さらにAIは、夫婦からの指示だと誤解して会話を録音し、知人に音声データを送ったとみられています。

被害に遭った女性は、地元のテレビ局の取材に対し「プライバシーの侵害です。もう使いません」と不信感をあらわにしていました。
アマゾンは夫婦に謝罪したうえ、非常にまれな現象ではあるが、予防策を検討するとしています。

このAIスピーカーは去年の11月から、日本語に対応した製品も販売されています。

私たちの暮らしを便利にすると注目されるAIスピーカーですが、個人データの保護などをめぐり論議を呼びそうです。【5月27日 NHK】
******************

録音・送信された夫婦の会話が“フローリングの話”でよかった・・・と考えるべきかも。聞かれて困る会話はいくらでもありますから。

****Siri、英議会で国防大臣に「野次****
イギリスの国防大臣が議会で演説中、思わぬ邪魔が入った。ポケットに入っていたiPhoneのAIアシスタントSiriが喋り出したのだ。

7月3日の午後、ギャビン・ウィリアムソン国防大臣が下院の前でイスラム国(IS)との戦いについての現況を説明しているとき、おなじみのアップルアシスタントの声が、ウィリアムソンの前に置かれたマイクを通じて議場に響き渡った。

「ハイ、ギャビン。『シリアで......連合の支援を受けた民主勢力』について、ウェブに説明が見つかりました......」

ウィリアムソンは議長に謝罪しんがら慌ててポケットのiPhoneの電源を切り、「自分のスマートフォンに野次られるなんて珍しいことです」と言って議員たちを笑わせた。

安全保障上の脅威?
英メディアによると、Siriは、ウィリアムソンが何度も「シリア」と繰り返すうちに「シリ」と勘違いして起動、ウィリアムソンの発言と関連する情報を探してネット検索を始めたらしい。頭がいいのか悪いのか、とにかくTPOのわきまえはないらしい。

Siriの議会デビューは大いに議場を沸かせたものの、一方では議会中もiPhoneの電源を入れたままにする国防大臣のうかつさが国家の安全保障を危険にさらしているのではないか、という懸念も指摘された。

BBCの政治エディター、ローラ・クエンスバーグのその後の取材では、ウィリアムソンに近い情報源は、機密を扱う会議などでウィリアムソンがスマートフォンを持っていたことはないと請け合ったそうだが。【7月5日 Newsweek】
*****************

Siriの野次はともかく、後半の指摘は、もっともです。

中国のAIは、もっと“人間的”です。

****中国当局に「汚染がひどい」と報告、信じられない答えが返ってきた****
2018年6月20日、澎湃新聞によると、市民が環境保護局の中国版LINE・微信(ウィーチャット)公式アカウントに「粉じんによる汚染がひどい」と訴えたところ、驚きのメッセージが返ってきた。

問題の返信をしたのは、四川省の工業都市・自貢市の環境保護局。「緑盛南湖実験学校の周辺でトラックの巻き上げる粉じんがひどすぎる。取り締まってほしい」との要望に対する返信は、「余計なことをいちいち言うな」だった。

驚いた市民が「自貢市の環境保護局はこんな対応をするのか。恥だ」と返信すると、これに「体面は他人から与えられるもの、面子は自分で失うものだ」とのメッセージが返ってきたという。

記者が市環境保護当局に問い合わせると、市はこのようなメッセージが返信されたことを謝罪。実は担当者がひとつひとつ返信しているのではなく、外部委託先のAI自動応答システムが返信していると明かし、早急に調査を行い、問題を改めると約束した。

この報道に、中国のネットユーザーは次のようなコメントを書き込んでいる。

「(中略)「すばらしい。自動システムなのに役人ぶった言い方を完璧に再現している」(中略)「アップルやグーグルのAIを上回る性能だね」(中略)「システムのせいにするというAIの新しい使い方が発見された」(後略)【6月21日 レコードチャイナ】
*****************

本当にAI自動応答システムが返信したとしたら、確かに“役人ぶった言い方を完璧に再現している”賢さです。
一体どんな“教育”をしたのでしょうか。

与える情報・教育次第で、AIがナチスを礼賛したり、人種差別的発言をするようになることは、これまでも報告されています。

他にも、“AIでPK予測、岩手大 左右の的中率8割”【6月27日 共同】とか、“ISS宇宙飛行士を支援するAIロボット「空飛ぶ脳」打ち上げ”【6月30日】といった話題も。

AIロボット「空飛ぶ脳」などは、「2001年宇宙の旅」の“HAL9000”を思い出させます。

AIに関しては“面白い”話題には事欠きませんが、本当は、AIの軍事利用とか、監視社会での役割など、真剣に考えるべき問題があります。そのあたりは、また別機会に。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« インド  史上最悪級の水不... | トップ | マレーシア 中国依存の「東... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

世相」カテゴリの最新記事