孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

欧州  新型コロナ深刻化で外部からの入国規制、内部での移動制限の動き 中国の「余裕」と「自信」

2020-03-15 05:14:23 | 疾病・保健衛生

(イタリア・ローマで、自宅アパートのベランダで国歌を演奏する人たち(2020年3月13日撮影)【3月14日 AFP】)

【タイでも日本人感染】
12日からタイ・バンコクを旅行中です。
そのタイでも新型コロナウイルス感染は急増しています。そして日本人の感染も。

*****タイで邦人初感染=新型コロナ*****
タイ保健省は14日、国内で日本人男性(33)の新型コロナウイルス感染を確認したと発表した。タイで日本人の感染が判明したのは初めて。
 
タイ人の妻と娘、妻の母も感染が確認された。妻の母は日本に渡航し、4日に帰国していた。タイでこれまでに陽性反応が出たのは82人。ここ数日急増しており、過去4日間で29人が確認されている。【3月14日 時事】 
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タイには多数の日本人が生活していますので、日本人の感染があっても何ら不思議ではありません。

ただ、“日本から持ち込んだ”というように考えられると(上記ケースの感染ルートは知りません)、昨日ブログでも書いたように、目下の個人的関心事である「18日夜の帰国便が予定どおり飛ぶのか?運航中止になるようなことはないか?」という心配にも影響します。

今日までのところは、帰国便のノックスクートに関しては何も発表されていないようです。

【「震源地」欧州からの入国規制が拡大】
そんな個人的関心から世界的関心事に眼を転じると、新型コロナに関する欧州の厳しい情勢が目ににつきます。

欧州、とりわけイタリアでの感染拡大が顕著です。

****欧州、新たな「震源地」に=伊は死者1千人超―新型コロナ、見えぬ終息****
イタリア保健省は12日、国内の新型コロナウイルス感染者が1万5000人を超え、1016人が死亡したと明らかにした。死者が1000人を超えたのは中国に続き世界で2カ国目。

他の主要国でもスペインで約4000人、仏独で約3000人と感染者が急増しており、イタリアを中心に欧州が中国などに代わる新たな「震源地」となりつつある。各国とも懸命の対策を取っているが、終息への見通しは立っていない。
 
コンテ伊首相は全土で移動制限を発動し、薬局と食料品店以外の全店舗に一時休業を命じた。地元メディアによると、専門家はこれら対策の効果を週末中にも見極める方針で、今後さらに厳しい措置が取られる可能性もあるという。
 
イタリアの周辺国では、事実上の国境封鎖に踏み切る国も出てきた。報道によれば、チェコは12日、非常事態を宣言し、一部外国人について感染者の多い国からの入国を禁止。スロバキアも在留許可を持たない外国人などの入国拒否を決めた。

マクロン仏大統領も、欧州連合(EU)と協議の上で「国境封鎖もあり得る」と警戒感を強めている。オーストリアはすでに封鎖を決め、来週から一段の措置として生活必需品以外の店舗の多くも休業させる方針。
 
フランスでは12日現在、感染者は約2900人、死者は61人。ただ、フランスの1日当たりのウイルス検査件数が数百件なのに対し、イタリアは2000〜8000件。地域圏保健局のルソー局長はルモンド紙に「実際の国内の感染者数はもっと多いだろう」と認めた。
 
ドイツのメルケル首相も11日、「免疫も治療法もなく、ドイツ人口の60〜70%が感染する可能性がある」と述べ、状況の厳しさを警告した。また、ベルリン(州に相当)やバイエルンなど多くの州が、来週からの学校閉鎖を決めた。【3月13日 時事】
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WHO事務局長も「欧州はパンデミックの震源地」と名指しする事態にもなっていますが、これまでの中国に対する「寛大な」対応と随分違うのでは・・・との声も上がっています。

****「欧州はパンデミックの震源地」とWHO事務局長 中国への対応との差に「違和感」も****
世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は13日の記者会見で、新型コロナウイルスについて「欧州が今や、パンデミック(世界的な大流行)の震源地となった」と述べた。

2月下旬以降、1日当たりの新型コロナウイルスの新規感染者は中国よりも中国以外で多くなっている。その中でも、欧州の感染者数の増加が際立つことから感染拡大の中心地が中国から欧州に移行したとの考えを示した。(中略)

ただ、中国の感染者数が全体の大半だった1月下旬ごろ、テドロス氏は「WHOは中国が感染拡大を防ぐ能力があると確信する」とし、中国からの退避について「過剰反応は必要ない」と強調。中国に配慮して状況を楽観視する姿勢を貫いていただけに、欧州への危機感を強調する現在の発言に「対応が大きく違う」(感染症の英専門家)と違和感を指摘する声もある。【3月14日 産経】
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いずれにしても欧州で感染拡大は事実であり、アメリカ・トランプ政権も13日深夜から「(イギリスを除く)欧州からの入国停止」に踏み切ることに。

欧州側は、事前相談なしの「一方的措置」との批判が出ていますが、トランプ大統領は「事前相談すれば時間がかかる」と反論。

****欧州委員長、米国の渡航停止は「一方的」 トランプ氏に批判の声****
アメリカのドナルド・トランプ大統領が11日に発表した、欧州からの同国への渡航を30日間停止する措置をめぐり、怒りの声や混乱が生じている。欧州連合(EU)加盟国は、「相談なしに」決定したとしてトランプ氏を非難している。

アメリカによる新たな渡航制限は、新型コロナウイルスの感染拡大を食い止めるのが狙い。13日深夜(米国東部標準時)から実施される。

対象地域は、欧州域内の自由移動を認める「シェンゲン協定」の加盟国26カ国で、米国民やイギリス、アイルランドは除外される。

今回の制限は、COVID-19への対策を行っていないと非難されてきたトランプ大統領による、大規模な対策強化だ。

しかしこの渡航制限をめぐり、ワシントンのみならず海外でも不満の声が上がった。
欧州委員会のウルスラ・フォン・デア・ライエン委員長や欧州理事会のシャルル・ミシェル議長は、新型コロナウイルスによる感染症「COVID-19」のパンデミック(世界的流行)は「世界的危機」であり、「一方的な行動ではなく協力が必要だ」と主張した。

EUに事前通達せず
トランプ氏は12日、渡航制限について、「時間かかる」ためEU側に通達しなかったと明かした。
「我々は迅速に行動しなければならなかった」

また、EUは米製品への関税を引き上げる際、アメリカに相談をしなかったと付け加えた。(後略)【3月13日 BBC】
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これまで事態を楽観していたトランプ大統領としては、アメリカ国内での状況悪化に伴い、ここで厳しい対応を示さないと再選戦略に支障をきたすとの判断があったと指摘されています。

また、「一方的措置」に加え、同じように感染拡大しているイギリスは除外されるといったあたりに、かねてからのトランプ大統領と欧州の「不仲」もあるように見えます。

*****トランプ氏、楽観一転 感染急増、大統領選意識か 入国制限****
新型コロナウイルスの感染拡大に対し、楽観していたトランプ米大統領が一転、欧州の大半の国からの入国制限を決めた。国内感染者が増え続け、株式市場が下落するなか、秋の大統領選を意識して積極的な姿勢を示さざるを得なくなった。だが、米国内の感染防止対策も引き続き問われる。(後略)【3月13日 朝日】
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そのアメリカも“トランプ大統領 国家非常事態を宣言 感染拡大を受けて”【3月14日 NHK】といった情勢です。

こうした欧州とアメリカの軋轢は、日本と韓国の間の規制にも似た感じもあります。

なお、欧州からの入国規制はアメリカだけではなくベトナムやカンボジアなどのアジアでも広がっています。
もっとも、カンボジアなどは中国からの規制は実施せず、欧州には・・・ということで、やはり政治的背景もあります。

いずれにしても、感染は遅かれ早かれ、欧州だけでなく全世界に拡大しそうな気配です。
“パンデミック(世界的流行)は「世界的危機」であり、「一方的な行動ではなく協力が必要だ」”という発想が基本的には必要でしょう。

【欧州内部でも、理念と異なる分断・制限の動き】
欧州にとって、アメリカなどが入国規制に動き出したこと以上に問題なのは、欧州内部における「感染源」イタリアを標的とした規制・分断が広がっていることでしょう。欧州統合の理念にもかかわる問題です。

****EU「移動の自由」に試練 米へは反発*****
狙い撃ちされた格好のEUは強く反発している。ただ、欧州でも感染が急拡大し、シェンゲン協定加盟国の間ですら移動制限の動きが出ているのが実情だ。EUが重視する「人の移動の自由」も、未知のウイルスの脅威にさらされている。(中略)

欧州では2月下旬以降、感染が急拡大。欧州疾病予防管理センター(ECDC)によると11日朝現在、イタリアでは1万件以上、フランス、スペイン、ドイツでも千件以上の感染が報告されている。
 
そうした状況にあっても、EUを主導する独仏などは移動の自由を守るべきだと訴えている。
 
ドイツでは、治療法がない状態が続けば「人口の60~70%が感染するおそれがある」(メルケル首相)と危機感を強めるが、特定の国からの入国制限はしていない。

シュパーン保健相は11日の記者会見で「ある地域を完全に閉じても、ウイルスの侵入を防げない」と指摘。「重要なのは感染のペースをどう遅らせるかだ」と述べた。

フランスのマクロン大統領も対策での「欧州の連帯」を強調。象徴でもある人の移動の自由の制限を一貫して否定している。
 
ただ、感染の広がりとともに、シェンゲン協定加盟国間で本来行わない国境審査を始める国が出てきている。

オーストリアは10日、陰性を示す医師の証明書がない限り、イタリアからの入国を原則認めないと決め、スロベニアも入国制限を打ち出した。仏国内でも右翼政党「国民連合」のルペン党首がイタリアとの国境管理強化を訴えている。【3月13日 朝日】
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****EU、コロナ対応に苦慮…国境管理など加盟国の足並みそろわず****
欧州連合(EU)が、新型コロナウイルスの感染拡大への対応に苦慮している。国境管理や医療物資の調達などを巡り、各加盟国の足並みがそろわないためだ。(中略)

 ■限られた権限
09年の新型インフルエンザ流行を教訓に、EUは13年、加盟国で医療物資を共同調達する枠組みを設けた。ワクチンや医療物資を域内に行き渡らせ、医療格差を減らすためだ。
 
今回はこの枠組みを活用し、EU執行機関・欧州委員会は2月24日、2億3200万ユーロ(約280億円)規模の緊急対策を決め、ワクチン開発の支援や、市場で品薄となっているマスクなどの医療物資の共同調達の方針を打ち出した。
 
しかし、ドイツやチェコは3月上旬、医療用マスクや消毒液などの輸出制限措置を発表し、各国が「一方的な措置だ」と反発した。フランスもマスクの医療関係者への優先配布のため、国が在庫や生産を管理することを決めた。

このため、フォンデアライエン欧州委員長は各国首脳との調整に動き、13日の記者会見で「国の対策をEUの要望に合わせる快諾を得た」と述べた。独仏は輸出制限などを和らげる見通しだという。
 
欧州政策センターのシモーナ・ガリアルド政策アナリストは「国によって対応が大きく異なり、市民が不安になっている。EUは各国に、より統一された対応を求めるべきだ」と指摘する。

 ■チェコ「国境封鎖」
ロイター通信によると、チェコ政府は13日、居住者や長期の滞在許可を持つ人を除き、チェコへの外国人の入国を原則として禁止すると発表した。チェコ人も通勤などの理由を除き、外国への出国を禁止する。16日から実施するという。
 
欧州で感染が急速に広がった背景には、EU加盟国の多くも加わるシェンゲン協定の締約国間で、国境管理が撤廃されているという事情もある。

欧州では、まずイタリアで2月下旬に感染者が急増した。その後、独仏やスペインは3月1日頃から、オランダやベルギー、オーストリアなどは10日頃からそれぞれ急増している。
 
協定の締約国も非常時の国境管理は可能だが、多くの国は慎重だ。しかし、チェコに加え、オーストリアやポルトガルはイタリアからの入国を制限しており、シェンゲン地域を分断する動きも出始めている。
 
フォンデアライエン氏は13日、「全般的な渡航禁止は社会的・経済的影響の方が大きい」と述べ、EUとして国境での健康検査の指針を打ち出す方針を示した。【3月13日 読売】
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【苦境のイタリアに支援の手を差し出す中国の「余裕」と「自信」】
一方、「感染源」となっているイタリアでは封鎖状態がとられていますが、ひところの中国・武漢と似たような現象も。

****自宅の窓から住民合唱、新型コロナで封鎖のイタリア 「マカレナ」一斉ダンスも*****
欧州最悪の新型コロナウイルス流行に見舞われているイタリアでは、政府が9日に封鎖措置を全土に拡大したことで経済活動は大幅に縮小し、国民はどうしても外出する必要がある場合を除き家にいるよう求められている。
 
そうした中、社会的な孤立感を和らげるため、各地で市民が自宅の窓辺に出て一斉に歌う様子を撮影した動画がネット上で人気を呼んでいる。
 
中部トスカーナ州シエナの住民たちが窓から地元の民謡「Canto della Verbena」を合唱している動画は、ツイッターで60万回以上視聴された。

別の動画では、北部トリノとみられるアパートの住人たちがそれぞれの自宅のベランダで同時にスペインのダンスポップ「恋のマカレナ」を踊る様子が捉えられている。
 
13日夜には、ローマ市内のいくつかの地区でも、住宅の窓から国歌をはじめとするさまざまな音楽や歌が聞こえてきた。
 
メッセージアプリ「ワッツアップ」には、金曜日には国家を歌うなど、決まった曜日にみんなで決まった歌を歌おうと呼び掛けるメッセージが流れた。
 
これ以外にもイタリアのソーシャルメディアで呼び掛けられている運動には、自宅の外に「andra tutto bene(何とかなるさ)」というメッセージをみんなで掲げようというものもある。このメッセージには虹の絵も描かれるが、その多くは、休校になった子どもたちが自宅で描いたものだ。 【翻訳編集】AFPBB News
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欧州内でも孤立し、厳しい状況にあるイタリアに支援の手を差し出しているのが中国。

****新型コロナ 中国「余裕」を演出? イタリアに医療支援団派遣 EUの支援が届かぬ中****
新型コロナウイルス感染が広がるイタリアに13日、中国が派遣した医療支援団が到着した。中国が国際貢献する「余裕」を示すことで、国内のウイルス克服を印象付ける狙いとみられる。
 
伊メディアによると、支援団9人は、マスクや呼吸器など医療機器約30トンとともにローマ入りした。イタリア赤十字代表は「医療品が払底しており、大変ありがたい」と謝意を示した。イタリアは昨年、中国の巨大経済圏構想「一帯一路」の覚書に調印している。
 
イタリアは欧州で感染が最も深刻で当初、欧州連合(EU)にマスク供給で支援を求めたが、ドイツやフランスは自国への供給を優先し、EUによる物資支援は実現していない。
 
中国国家衛生健康委員会は12日、国内で新たな感染者数が減少しているとして、「国内で流行のピークは過ぎた」と発表。今後は国際社会に貢献すると述べていた。【3月14日 産経】
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中国は、「余裕」というか、自身の強硬な対応が正しかったとの「自信」も見せています。

*****「世界で最も安全な場所は中国」自信取り戻す中国人*****
(中略)
欧州の惨状に自信を強める中国人
中国の感染者は8万人を突破しているが、その中国が今や在外の中国人にとっての避難場所となっている。

ベルギー在住のある華僑はこう語る。
「欧州在住の中国人が脱出先に中国を選んでも不思議ではありません。なぜなら、彼らにとって今や中国こそが最も安全な場所なのですから」
 
中国では非常事態宣言が出され、都市が封鎖され、人々は移動の自由を奪われ、ほぼ軟禁に近い形で自宅に閉じ込められた。そうした中国共産党の強硬手段に、世界中に散らばった在外の中国人は当初、恐れをなした。

だが、その強硬策が功を奏し、現在は武漢市などを除いて中国人の生活は徐々に正常を取り戻しつつある。
 
一方、イタリアではマスク姿で国会に臨んだ議員が嘲笑されたり、感染者が拡大の一途をたどっているにもかかわらず、人々は「マスクより自由を」と唱えたりしていた。

都市の封鎖措置には抗議活動が繰り広げられ、飲食店ではウイルス拡散などおかまいなく多くの市民が濃厚接触状態で食事とおしゃべりに夢中になっていた。そして現在は新型コロナウイルス感染者数が中国に次いで多くなっている。
 
そんなイタリアの状況を見て、欧州の中国人は「ウイルス蔓延を最小に食い止めた中国政府を評価すべきではないか」(同)と考えているのだという。(後略)【3月14日 姫田 小夏氏 JBpress】
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