孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

イギリス・ジョンソン首相  クリパ疑惑に続き、新たな不祥事が次々と 与党内からも強まる辞任圧力

2022-01-14 22:40:30 | 欧州情勢
(ジョンソン首相は12日、ロックダウン中のパーティー参加について議会で謝罪した【1月13日 WSJ】
別に特別の意味はないのでしょうが、首相の後ろに腕組みして写っている議員?スタッフ? なんとなく首相を冷ややかに眺めているような感じにも見えます)

【クリパ疑惑も収まらないなかで、ロックダウン中の「飲み会」また発覚 首相は謝罪】
イギリス・ジョンソン首相が、2020年の年末、新型コロナの行動規制が命じている最中に、自らの側近・スタッフが首相官邸でクリスマスパーティーを楽しんでいた等の疑惑で批判を浴びているという件は、2021年12月17日ブログ“イギリス コロナ、オミクロン株の感染拡大で規制強化へ コロナ以上に首相を追い詰めるクリパ疑惑”でも取り上げました。

****コロナ規制下、英官邸でXマスパーティー? 言い訳練習動画で火に油****
英首相官邸が昨冬、新型コロナウイルス対策の厳しい規制下で禁じられていたクリスマスパーティーを開いた疑惑が浮上し、批判を呼んでいる。

8日には官邸職員が「ルール破り」をちゃかした様子を撮影した動画の存在も発覚。ジョンソン首相は議会で謝罪したが、我慢を重ねてきた国民の怒りは収まっていない。
 
疑惑は英紙ミラーが1日に報じた記事が発端だ。昨年12月のクリスマス前に、官邸内で職員らが宴会を開き、ワインを飲んでクイズ大会をしたという内容だった。当時のロンドンは感染者数が急増。政府は市民に自宅待機を命じ、人が集まることを禁じていた。
 
官邸側はパーティーの存在を否定。出席していなかったとされるジョンソン氏は「規則は守られていた」などと釈明した。
 
ところが8日には民放ITVが、当時の官邸報道官らが、記者会見でパーティーの存在を追及された場合に備えて問答している動画を特報。報道官はおどけた様子で「どう答えよう? 」「ワインとチーズなら大丈夫? 」「あれは会議でした。社会的距離は保っていません」などと笑いながら話す姿が映っていた。動画はパーティーからまもなく撮られたとみられる。
 
これに対し、国民の怒りが爆発。ソーシャルメディア上では首相の非難が続き、市場調査会社サバンタ・コムレスが約1千人に行った緊急世論調査では、54%がジョンソン氏は「辞任すべきだ」と回答した。
 
ジョンソン氏は8日、議会で「国民の怒りはもっとも。申し訳ない」などと謝罪。身内の保守党議員からも批判され、内部調査を進めるとしている。(後略)【12月9日 朝日】
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****ジョンソン英首相、官邸で昨年クリスマスにオンラインクイズに参加****
イギリスで厳しいパンデミック対策が敷かれていた昨年12月に、ボリス・ジョンソン英首相が首相官邸で、スタッフ相手にオンラインで行われたクリスマス・クイズに参加していたことが明らかなった。英紙サンデー・ミラーが11日深夜に伝えた報道内容を、官邸が認めた。(後略)【12月12日 BBC】
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12月14日に行われたイングランドで一部の会場やイベントに入場する際に新型コロナウイルスのワクチン接種を証明するワクチンパスポートを導入する案の採決では、こうした規制強化に反対する与党・保守党の議員98人が上記“不祥事”への不満もあって「反対」投票する造反もあり、更に保守党の岩盤選挙での補選敗北など、ジョンソン首相の与党内での求心力低下も目だってきました。

「あと1回ストライクを取られれば、アウトだ」(保守党の下院議員、サー・ロジャー・ゲイル)といった発言も当時ありましたが、その後も不祥事がボロボロと明らかになっています。

****英首相官邸、ロックダウン中の「飲み会」また発覚 100人近くを招待=報道****
イギリスで新型コロナウイルス対策のため厳しいロックダウンが実施されていた2020年5月、首相官邸の庭で「飲み物持ち寄り」の集まりが開かれ、100人近くが招待されていたことが、英ITVの報道などで明らかになった。

ボリス・ジョンソン首相と婚約者のキャリーさん(現夫人)も集まりに参加していたという証言もあるが、首相は明言を避けている。

この集まりが開かれたのは2020年5月20日。イギリスは当時、新型ウイルスの感染拡大を受けた1回目のロックダウンの最中だった。このロックダウンでは、他世帯の人とは屋外で1人としか会えない決まりだった。

ロンドン警視庁は、新型コロナウイルス対策の「ルール違反疑惑に関連する相次ぐ報道」について、内閣府に連絡を取っていると発表した。

5月20日の集まりについては、元首相顧問のドミニク・カミングス氏が先週、自身のブログで明らかにした。
その後、ITVニュースが10日、この集まりへの招待メールを報道。ジョンソン首相の首席秘書官、マーティン・レノルズ氏の名前で送られていた。

メールの件名には「距離を取った飲み会!(首相官邸内のみ閲覧可能)」と書かれている。
「とても忙しい昨今ですが、すてきな天気を最大限に生かして、夕方から首相官邸の庭で、社会的に距離を保った飲み会を開催しそうと思います」と記されている。
「午後6時から、ご自分の飲み物を持参の上、お集まりください」

首相官邸ではこの日、新型ウイルス対策をめぐる記者会見が開かれており、オリヴァー・ダウデン文化相(当時)が、過去24時間で363人がCOVID-19で亡くなったと発表していた。

この会見でダウデン氏は、「同居していない人とは、屋外の公共の場で1人だけ、2メートルの距離を置いて会うことができる」と述べていた。

官邸職員からは疑問の声も
BBCが取材した官邸関係者のうち2人が、この集まりにジョンソン首相とキャリーさんが参加していたと証言した。
一方で、飲酒を伴う集まりの開催に、懸念を口にする職員もいたという。「このメールはあまりにも不見識だと、複数の人が話し合っていた」と、職員の1人は明らかにした。
「多くの人が、『なんなんだこれは?』と言っていたのを覚えている」と話す職員もいる。(後略)【1月11日 BBC】
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この件で、当初回答を避けていたジョンソン首相は自身の参加を結局認め、謝罪に追い込まれています。
ただ、「職務上の集まりと暗黙のうちに信じ込んでいた」という弁解が、批判者の神経を逆撫でする感も。

****英ジョンソン首相、ロックダウン中「お酒持参」パーティー参加を謝罪****
英国のジョンソン首相は12日の議会下院で、新型コロナウイルスの感染拡大で英国がロックダウン下にあった2020年5月に開かれた官邸でのパーティーを巡り、自身も参加していたと初めて認め、謝罪した。辞任を求める声が相次いだが、パーティーとの認識はなかったと弁明し、応じなかった。

ジョンソン氏は「ルールを作った人々がルールを守っていないと感じた時の皆さんの私と政府への怒りを理解する」「私は責任を負わなければならない」と述べた。
 
本人の説明によると、5月20日午後6時過ぎ、スタッフらをねぎらうために官邸の庭に出て、25分後に執務室に戻った。パーティーではなく「職務上の集まりと暗黙のうちに信じ込んでいた」という。「厳密にはコロナ規則の範囲内と言える」とも主張した。
 
パーティーについては、英メディアが今月10日、首相秘書官が招待メールを100人ほどに送っていたと文面の写真付きで報道。そこに「お酒を持参で集まって!」と記されていた。当時、仕事で不可欠な場合などを除き、公の場での同居人以外との面会は1人までに制限されていた。
 
ジョンソン氏の参加も相次いで報じられたが、12日になるまで回答を避けていた。野党だけでなく、身内の保守党議員からも辞任を求める声が出始めている。
 
政権を巡っては、このパーティー以外にも、一昨年のクリスマス時期に官邸や保守党本部などで集まりがあったことをうかがわせる写真や証言が次々と明るみに出ている。【1月13日 朝日】
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【更に別件も 「女王が追悼している時、首相官邸はパーティーを開いていた」】
更に、追い打ちをかけるように別の不祥事も明らかになっています。

****英官邸、また別の「飲み会」疑惑 故フィリップ殿下の葬儀前日に「2件の送別会」****
新型コロナウイルス対策のロックダウン中に数々の集まりを開いていたことが発覚している英首相官邸が、2020年4月に亡くなったエリザベス女王の夫フィリップ殿下の葬儀の前日にも、2件の送別会を開いていたとみられることが13日明らかになった。

英紙テレグラフによると、この集まりは昨年4月16日に行われ、30人ほどが参加。アルコール飲料が提供され、日付が変わるまで音楽がかかり、参加者はダンスに興じていたという。
この当時、イングランドでは屋内で他世帯の人と集まることが禁じられていた。

首相官邸は、この日に集まりが開催されたことを否定していない。(中略)

ジョンソン首相は当時、週末を首相の公的な別荘「チェッカーズ」で過ごしていたため、どちらの送別会にも参加していない。

テレグラフによると、スラック氏の送別会と同じ日、首相官邸の地階ではジョンソン首相の私設カメラマンの1人の送別会も開かれていた。

職員らはこの送別会のため、スーツケースを持って近くの店舗に行き、「ワインを買い込んで」来たという。
関係者は、地階の送別会は「パーティーらしい雰囲気」で、コピー機の上に置かれたラップトップから「音楽が鳴り響いていた」と証言している。
その後、2つの送別会は首相官邸の庭で合流し、深夜過ぎまで続いたという。

この当時、イングランドでは同世帯や支援バブル以外の人との屋内での交流は禁じられていた。屋外では、最大6人、2世帯までが集まれることになっていた。また、パブやレストランなども屋外営業に限定されていた。

「女王が追悼していた時、官邸はパーティー」
(中略)最大野党・労働党のアンジェラ・レイナー副党首は、「女王は葬儀の際、他の大勢がそうしたように、個人的なトラウマや犠牲を抱えながらも国のためにルールを守り、独りで喪に服していた」と話した。
「首相官邸の文化や慣習には言葉を失うし、この責任は首相にある」

野党・自由民主党のサー・エド・デイヴィー党首はツイッターで、改めてジョンソン首相の辞任を要求。「女王が独りで座り、フィリップ殿下を追悼している写真は、ロックダウンを象徴するものだった」と投稿した。
「それは彼女が女王だからではなく、他の大勢と同じように独りで追悼する、1人の人間だったからだ」
「だが女王が追悼している時、首相官邸はパーティーを開いていた」(後略)【1月14日 BBC】
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もともと、決して「人格者」イメージではない、どっちかと言えば「型破り」イメージのジョンソン首相ですから、多少のスキャンダルには打たれ強いところもありますが、これだけいろいろ出てくると、首相を含めた政権の「体質」が問われますし。厳しい規制を強要されていた国民の納得は得難いでしょう。

首相自身が参加していないにしても「女王が追悼している時、首相官邸はパーティーを開いていた」というのもイメージが悪いです。日本で同様のことがあれば相当のバッシングを受けるでしょうが、イギリスではどうでしょうか。

【強まる辞任圧力】
当然ながら、与党内からの辞任圧力が強まっています。

****ジョンソン首相、最大の危機=封鎖中のパーティーで謝罪―与党からも辞任要求・英****
ジョンソン英首相が2019年7月の就任以来、最大の危機に直面している。新型コロナウイルスの流行でロックダウン(都市封鎖)中だった20年5月、首相官邸で開かれたパーティーに出席していたことが発覚。謝罪したものの、野党に加え与党・保守党からも辞任要求が相次ぎ、幕引きには程遠い状況だ。
 
首相は13日、家族が新型コロナに感染したとして、予定していた地方視察を取りやめた。自らの政府が定めたルールに忠実に従った格好だが、「ルール違反」のパーティー参加に、国民の怒りは謝罪後も収まっていない。

13日夜には、昨年4月のエリザベス女王の夫フィリップ殿下の葬儀前夜にも官邸でパーティーが開かれていたという新疑惑も報じられた。
 
首相が率いる保守党への逆風も強まっている。調査会社ユーガブの最新世論調査で、保守党の支持率は28%に下落し、最大野党・労働党に10ポイントのリードを許した。13年以来の劣勢という。
 
首相は12日、官邸中庭での20年5月のパーティーに約25分間出席したと認め謝罪。しかし、「仕事のイベントだと思った」と釈明したことが火に油を注いだ。ソーシャルメディアでは、パーティーの写真に「仕事のイベント」の説明書きを添える冗談が流行。酒店の看板を「オフィス用品店」と書き換える画像も出回った。
 
保守党内の一部議員は、党首(首相)の不信任投票を要求する考えを表明。党の規定では、所属下院議員の15%(現在は54人)が求めた場合、不信任投票が実施される。
 
当面の焦点は、一連の官邸内のパーティー疑惑を調べている内部調査の結果だ。月内にも公表される調査結果次第では、さらに多くの議員が不信任に雪崩を打つ可能性がくすぶる。それを乗り切ったとしても、5月の地方選に向けて政権運営は厳しさを増しそうだ。
 
こうした事態を受け、英ブックメーカー(賭け屋)は首相の辞任時期をめぐる賭けの倍率を大幅に修正。大手ウィリアム・ヒルは「年内」の賭け率を1.4倍に切り下げ、最有力シナリオと予想した。後継候補として有力視されるスナク財務相、トラス外相らの動向にも注目が集まっている。【1月14日 時事】 
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【アンドリュー王子のセックス・スキャンダル】
なおイギリスでは、王室・アンドリュー王子のスキャンダルにも動きが。こちらは未成年者とのセックス・スキャンダル。

****英アンドリュー王子、軍役職と「殿下」使用権を失う 性暴力疑惑での訴訟****
イギリスのヨーク公アンドリュー王子(61)が、軍の役職と慈善団体の後援者の役職を女王に返上した。英王室バッキンガム宮殿が13日、発表した。

王室筋によると、アンドリュー王子は公的な場での敬称「His Royal Highness(殿下)」の使用もやめるという。

エリザベス女王の次男のアンドリュー王子をめぐっては、ヴァージニア・ジュフリー氏(38)が17歳の時に性的暴行を受けたとして、米ニューヨークで民事訴訟を起こしている。王子は一貫してこの訴えを否定している。
王子に近い人物によると、王子は「自分自身を弁護し続ける」と述べたという。

米連邦裁判事は12日、民事訴訟を継続する決定を出した。王子に近い人物は、「ジュフリー氏の訴えについて判断したものではない」と強調した。

民間人として裁判に
英王室は13日、声明を発表。「女王の承認と同意を得て、ヨーク公の軍との関係性と、王室としての後援者の役職は、女王に返上された」、「ヨーク公は引き続き公務に就かず、今回の訴訟では民間人として自己弁護していく」とした。

関係者によると、アンドリュー王子のすべての役職は直ちに女王に返上された。今後、王室の他のメンバーたちが引き継ぐことになる。また、今回の問題は王室で大きな話題になっているという。

2020年3月に王室の公務から退いたサセックス公爵ハリー王子と妻のメガン妃と同様、アンドリュー王子は殿下(HRH)の称号は持ち続けるが、公的な場では使用しない。

10の軍役職を返上
アンドリュー王子は王立海軍に22年間所属。フォークランド紛争ではヘリコプターのパイロットとして従軍した。
今回、英軍最高レベルの歩兵連隊である近衛歩兵連隊の大佐(Colonel of the Grenadier Guards)の役職のほか、9つの軍役職を返上した。また、カナダやニュージーランドの軍の名誉職も失うことになる。
ただ、英王室によると、海軍中将の階級は維持されるという。(中略)

一部の慈善団体などはすでにアンドリュー王子との関係を断っている。しかし、名門ゴルフクラブや学校、文化団体など数十の組織では、王子は王室後援者としての地位を維持し続けてきた。

性暴力疑惑めぐる訴訟
ジュフリー氏は、米富豪ジェフリー・エプスティーン元被告(故人)と親交のあったアンドリュー王子から、2001年にニューヨークやロンドンなどで3回にわたり性的暴行を受け、「多大な精神的、心理的な苦痛と損害」に悩まされ続けていると訴えている。

裁判所に提出した書類でジュフリー氏は、自らを性的人身売買の犠牲者だとし、エプスティーン元被告に虐待されていたと主張している。

また、別の男性有力者たちに「貸し出される」こともあったと説明。17歳の時、アンドリュー王子とセックスするよう差し向けられたと訴えている。(中略)

アンドリュー王子は、2019年にBBC番組ニューズナイトに出演。ジュフリー氏と会った記憶はないと述べた。また、同氏がアメリカとイギリスで王子とセックスをしたと訴えていることについて、そうしたことは「起きていない」と話した。

また、エプスティーン元被告やその恋人のギレイン・マックスウェル被告(60)との交友関係は一時的なものだったと説明した。王子はこの番組出演後まもなく、公務から離れた。

マックスウェル被告は昨年12月、少女たちをエプスティーン元被告に仲介した罪などで、ニューヨークの裁判所で有罪評決を受けた。【1月14日 BBC】
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スキャンダルが表面化したのは2014年末ですが、“昨年(2019年)、公務を離れ、240余のチャリティの後援から身を引き、当然、王室助成金の対象からも外れたことが発表されたのだ。表向きは、「自らが決めた」となっているが、あまりの醜態に、チャールズ皇太子、エリザベス女王から「追い払われた」のだった。”【2020年1月15日 森 昌利氏 Hint-Pot】とのことで、すでにエリザベス女王からも愛想をつかされているようです。
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