孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

ドイツ  コロナ対応で復活するメルケル首相 極右・懐疑論者などは「反コロナ」デモ

2020-08-30 22:54:14 | 欧州情勢

(ドイツ・ベルリンで行われた新型コロナウイルス対策に反対する抗議デモで、国会議事堂前で独帝国軍旗に身を包む参加者(2020年8月29日撮影)【8月30日 AFP】)

 

【厳しい欧州の第2波】

日本の新型コロナ第2波は、第1波ほどの死者を出すことなくピークを越えたようですが、欧州では第2波が厳しい状況にあります。

 

“パリ全域“マスク義務化”仏一日6千人感染”【8月28日 日テレNEWS24】

 

****フランス、コロナ新規感染7379人 「指数関数的」増加****

フランスの保健当局は28日、同国で新型コロナウイルス感染者数が「指数関数的」に増加し、過去24時間で7000人以上の感染が確認されたと発表した。

 

仏保健省の保健総局は、「流行の進行の力は指数関数的だ」とし、仏本土で確認された新規感染者数は26日は5429人、27日は6111人、28日は7379人だったと明らかにした。

 

この数は、フランスでコロナ検査数が増やされた後では最多となった。同国では数日前に24時間の新規感染者数が4000人を突破したばかりで、感染者数はその後も急激に増え続けている。

 

DGSによると、28日に入院中の感染者は前日と同じ4535人で、うち387人が重症だという。

 

フランスではこれまでに新型コロナウイルスによって3万596人が死亡。パリでは、感染者数の増加に対応するため屋外でのマスク着用が義務付けられた。 【8月29日 AFP】

************************

 

****新型コロナ感染、一部地域で「制御不能」に スペイン****

スペインの公衆衛生の専門家は23日までに、同国の一部地域で新型コロナウイルスの感染拡大が「制御不能」の状態に陥っているとの危機感を示した。

 

公衆衛生の緊急事態に対応する組織の責任者であるフェルナンド・シモン氏が記者会見で、「勘違いはしないで欲しい。状況は良くない」と認めた。その上で「現段階では全国レベルでの制御不能ではなく、一部の特定の場所に限られる」と述べた。

 

スペインでは最近、新型コロナの感染が再拡大しており、新規感染者の大多数はマドリード、カタルーニャ両州で発生している。ただ、アンダルシア、カスティーリャ・イ・レオン、アラゴン各州でも激増している。

 

同氏は、感染事例の特徴や医療システムが受ける重圧などは州によって違いはあるが、「我々は重大な感染拡大の局面に遭遇している」とも述べた。

 

欧州疾病予防管理センター(ECDC)によると、スペインは現在、欧州諸国内で最高の感染率を示している。【8月23日 CNN】

********************

 

“スペイン、感染追跡に軍2千人 自治州支援、感染再拡大で”【8月26日 共同】

 

【ドイツでも増加傾向 メルケル首相の新型コロナ対応は高評価で“メルケル復活”】

ドイツでも感染者が増加し、4月頃の水準にもなっていますが、フランス・スペインと比べると制御された状況のようです。

 

****バス、電車内でマスクなし、罰金6300円超 ドイツ****

新型コロナウイルスの感染者が再び増えてきたのを受け、ドイツのメルケル首相は27日、6月半ば以来となる国内16州の州首相とのテレビ会議を開き、追加策を議論した。

 

主にバスや電車内など、他人との距離が十分取れない公共の場でマスクを着けていなかった場合、ほぼ全域で、少なくとも50ユーロ(約6300円)の罰金を科すことにした。

 

マスク不着用への対応は、各州で異なっていた。感染者数が多い南部バイエルン州では、最大500ユーロ(約6万3千円)の罰金を科す一方、比較的少ない東部ザクセンアンハルト州では罰金がなかった。今回、同州以外の15州で最低50ユーロの罰金を科すことにした。

 

ドイツの新規感染者数は最近、1日1500人前後と、4月下旬並みに戻っている。夏のバカンスの外国旅行者らもその一因とみられており、「リスク地域」から入国した人には、検査を義務づけている。

 

27日の会議後に記者会見したメルケル氏は「夏場の増加を非常に真剣に受け止めている」とし、大勢が集まるパーティーなどの個人的な催しも、必要性を慎重に検討するよう市民に求めた。会議では、コンサートなど大規模な催しを12月末までは中止することでも合意した。【8月28日 朝日】

********************

 

新型コロナ対応ではメルケル首相は国内的に国民から高い評価を得ており、移民対応などで一時の支持率が低迷した状況から様変わりしています。

 

****また移民危機でも「同じ決断」独首相 コロナ対応に高い支持****

ドイツのアンゲラ・メルケル首相は28日、5年前に多くの移民を国内に受け入れて物議を醸した政策について、後悔はなく、自分はまた同じ決断をするだろうとの考えを示した。新型コロナウイルス対策でメルケル氏は国民から高い支持を受け、勢いを得ている。

 

メルケル氏はベルリンで行った恒例の夏の記者会見で、ドイツに流入して来る移民に国境を開放し続けた2015年の政策に後悔はしていないかと質問され、「私は基本的に同じ決断をする」と明言した。

 

2015年から2016年にかけて、ドイツでは100万人を超える人が難民認定申請を行った。15年に及ぶメルケル氏の首相在任中でも特に重要な出来事だった。

 

この移民流入によって国内の分断は深まり、極右政党「ドイツのための選択肢」の台頭を招いてメルケル氏の支持率は低下した。

 

しかし、4期目の任期終了が迫る中、新型コロナウイルス対策で手腕を評価されたメルケル氏の人気は予想外に高まっている。

 

世論調査機関インフラテスト・ディマップの先日の世論調査では、71%がメルケル氏の仕事ぶりに「非常に満足している」または「満足している」と回答。一方、AfDはコロナ禍の中で支持率を下げている。

 

ドレスデン工科大学のハンス・フォアレンダー教授(政治学)は、「状況がこれほど急に変わり得るとは驚きだ」として、「一般的に、危機は責任者にとっては常に成功か失敗かの分かれ目となる」と指摘。有権者は、コロナ危機の最中にメルケル氏の「合理性と冷静さと自信」に引きつけられたのだろうと述べた。

 

フォアレンダー教授は、メルケル氏が新型ウイルスと闘うために行った抑制のきいた訴えが国民に良く受け入れられたのは、「権力をマッチョに誇示するのではなく、国民の気持ちに沿ったものだったから」だと指摘した。 【8月30日 AFP】

**********************

 

【一部には、マスク着用義務化・コロナ対応に反対するデモも】

まあ、「さすが」といったところですが、ただ、ドイツもメルケル首相の新型コロナ対応を評価する国民ばかりではありません。

 

ドイツやフランスでもマスクは「義務化」の方向にありますが、もともとマスク着用の習慣がなかった欧米ではマスクに対する根強い抵抗感があるようです。

 

****慣れないマスクにデモ 義務化のドイツで賛否 罰金導入も検討****

ドイツでは今春から新型コロナウイルス対策として全土でマスク着用が義務化されたが、慣れないマスクへの反対の声が上がっている。

 

多くの国民は義務に従うが、一部は義務化を個人の自由の侵害と見なしたり、一貫性のない政府の方針に不信感を抱いたりしている。

 

「マスク着用義務の代わりに考える義務を!」。8月上旬、ベルリン中心部では約1万7000人(警察発表)がプラカードを掲げ、政府の新型コロナ対策に抗議する大規模なデモが実施された。

 

参加者の多くはマスクを着用せずに行進を続けた。これに対しデマー政府副報道官は「デモ参加者の行動はまったく正当化されない。デモの自由につけ込んでいる」と厳しく批判した。

 

他の欧州の国々と同様に、ドイツでは新型コロナの感染拡大の前にマスク着用の習慣がなかった。政府の感染症研究機関の国立ロベルト・コッホ研究所も感染拡大当初は、「マスクには感染予防効果はない」として一部の患者にのみ推奨していた。

 

ところが4月に入って方針を変更し、自分が感染している場合に他人にうつさない効果があるとして推奨し始めた。

 

連邦各州が4月下旬以降、相次いでマスク着用を義務づけ、現在は全国の公共交通機関や店舗内で着用が求められている。

 

独カッセル大などの研究チームは6月、国内でのマスクの義務化が新型コロナの感染者を大幅に減少させたとする研究結果を発表した。

 

研究では4月初旬に義務化した東部の都市イエナと、人口構造や医療水準などが似ているが義務化しなかった複数の地域のデータを統合して比較。20日間で感染者の増加数はイエナで16人にとどまったが、義務化しなかった場合は62人と4倍近くに達した。

 

一方で、製薬業界のコンサル会社を経営するマルクス・ファイト氏は業界紙への寄稿で、手縫いなど医療用でないマスクが扱い方次第で感染を拡大させかねないと指摘。「日常で使うマスクの感染予防効果が不十分なことは科学的に明白だ。それを知っているから政治家もコッホ研究所も当初はマスク着用を勧めなかったはずだ」と、政府の方針転換に疑問を呈した。

 

ドイツ国民の間ではマスクの息苦しさに不満を唱えたり、着用が義務づけられるエリアが拡大することへの反対も出たりしている。

 

4月初旬以降、減少傾向にあったドイツ国内の新規感染者数は、7月下旬から再び増加傾向を見せている。8月22日時点で、1日あたりの新規感染者は2034人(コッホ研)となり、4月下旬以来の高水準を記録した。

 

連邦政府は「第2波」の到来を防ぐため、各州でばらつきがあるマスク着用義務の違反者に対する罰則として、全国一律の罰金を導入することも検討している。【8月25日 毎日】

***********************

 

29日にはベルリンで大規模デモも予定されていましたが、警察がこれを中止させる騒動にもなっています。

 

****独警察、大規模「反コロナ」デモ排除 対人距離守られず****

ドイツの警察当局は29日、首都ベルリンで新型コロナウイルスの懐疑論者ら約1万8000人が参加したコロナ対策への抗議デモについて、多くの人がソーシャル・ディスタンシング(対人距離の確保)措置を守らなかったとして中止させた。

 

ベルリン市当局はこれに先駆け、推定2万2000人のデモ参加者らが1.5メートルの対人距離を維持せず、マスク着用義務も守らないと懸念し、デモ開催を認めないとの決定を下していた。

 

デモの禁止を受け、主催者やその支持者らから批判が噴出。ソーシャルメディア上では何としてもデモを行うとした怒りの投稿が寄せられ、暴動を呼び掛ける声も上がった。

 

ベルリン行政裁判所はデモ前日、主催者がソーシャル・ディスタンシング措置を「故意に無視」し公衆衛生を危険にさらす兆候はみられないとして、デモ実施を認めた。

 

しかし、同市の名所ブランデンブルク門でグリニッジ標準時午前9時(日本時間同日午後6時)にデモが始まるとすぐに、警察の命令が出され中止を余儀なくされた。

 

ベルリン警察は、デモ参加者が新型ウイルスの安全規制を守らなかった場合、「即座に」参加者を排除すると警告していた。

 

警察は、「何度も要請したにもかかわらず、多く(のデモ参加者)が最低限の対人距離を守っていなかった」とし、「集会を解散させる以外に方法はない」と発表した。

 

これを受け、デモ隊は極右支持者らがよく使用する「抵抗」「私たちは国民だ」とのスローガンを叫び、ドイツの国歌を歌った。 【8月30日 AFP】

*********************

 

【「反コロナ」デモ参加者は、極右勢力や「陰謀論」支持者】

マスク着用やソーシャルディスタンスに対する不満だけでなく、「新型ウイルスはでっち上げだ」との「陰謀論」も叫ばれているようで、要するにAfDなどに向かった極右勢力がメルケル体制復活への不満を、マスクやコロナ対応にぶつける形で噴出させているようにも見えます。

 

****ドイツで「反コロナ」デモ 新型ウイルス規制などに抗議、300人逮捕****

ドイツ・ベルリンで29日、政府の新型コロナウイルス対策に抗議する大規模デモがあり、警察は参加者約300人を逮捕した。

 

デモには約3万8000人が参加。ほとんどは平和的に、大通りを行進するなどした。

集会の1つでは約200人が逮捕された。当局は、右派の扇動者たちが石や瓶を投げていたとしている。

欧州の他都市でもこの日、新型ウイルスはでっち上げだと主張する同様のデモが開かれた。(中略)

 

どんな人たちが参加?

ベルリン市のアンドレアス・ガイゼル内相は、大通りのウンター・デン・リンデンにあるロシア大使館前に集まったデモ参加者らを「右派の過激派」とし、警官7人が負傷したと述べた。

国会議事堂前では、デモ参加者の一部が警戒線を突破。警官隊は催涙スプレーを使って追いやった。

 

ドイツのニュースサイト、ドイチェ・ウェレによると、デモの群衆の中には極右を支持する旗やTシャツが見られた。

 

戦勝記念塔の西側で開かれたデモは、シュツットガルトを基盤とした運動団体Querdenken 711(水平思考711)が主催した。同団体はフェイスブックで1万6000人以上の支持者がおり、暗号メッセージサービスを利用して連絡を取ることが多い。

 

同団体は、新型ウイルス関連の規制について、ドイツ憲法が規定する基本的権利や自由を侵害するもので、解除すべきだと主張。

 

8月1日にベルリンで開いた抗議デモには、極右主義者や、新型ウイルスの感染症COVID-19は存在しないと考える陰謀論者を含む数千人が参加した。

 

今回のベルリンの抗議行動には、反ワクチン運動を展開しているロバート・F・ケネディ・ジュニア氏も加わった。同氏は、米民主党の大統領候補に有力視され暗殺されたロバート・F・ケネディ氏の息子で、同じく暗殺されたジョン・F・ケネディ米大統領のおい。

 

オンラインに投稿されたデモの写真には、陰謀論キューアノン(QAnon)に関係した旗やスローガンが写っている。この陰謀論の主張には、ドナルド・トランプ米大統領が政府や企業、メディア内の悪魔を崇拝するエリート小児性加害者らにひそかに闘いを仕掛けているというものもある。

 

デモ参加者には親子連れや、ただ抗議したいと思った人の姿もあった。

ベルリン在住のステファン(43)と名乗る男性はAFP通信に、「極右主義者には同調しないが、基本的な自由を守るために来た」と述べた。

 

この日のデモに対抗するデモも開かれ、集会の1つには約100人が参加した。ドイツの放送局RBBは、参加者の一部が、「あなたたちはナチスやファシストと行進している」と大声を上げていたと伝えた。(後略)【8月30日 BBC】

*******************

 

極端なまでの「自由」の主張と同時に、温暖化議論でもみられたような一般的な「科学的見解」への反発、ときに「陰謀論」・・・とうのはアメリカでも同じです。

(8月14日ブログ“アメリカ マスク狂騒曲 「米国人としての責任だ」VS「米国人には自由が必要だ」”)

 

その「陰謀論」Qアノンとは・・・という話もしたかったのですが、長くなるので別機会に。

 

一方、日本は、マスク義務化しなくてもほぼ全員が着用・・・これを「民度の高さ」と評する向きもありますが、こうした現象をもたらしている「同調圧力」や「マスク警察」みたいなものというのは、それはそれで問題のように思えます。

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする