孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

アメリカの国家機密を暴露したスノーデン容疑者を受け入れる国は?

2013-06-30 22:54:48 | アフリカ

(壁に耳あり障子に目あり “flickr”より By EFFER LECEBE http://www.flickr.com/photos/49844949@N06/9172318451/in/photolist-eYwwHz-eN8ChN-eHd7hc-eJq1dC-eKJzVB-eWPvL9-eX8iev-eHPiRt-eNetj4-eV8BMy-eXT92U-eWTAd2-eTDTu6-eJJe6E-eVyNNQ-eU9T9k-eWZFUj-eXgvj9-eUtRYa-eXeBcv-dFTzQy-eJjErF-ePQC6K-eVtjjv-eG3xTf-eXQt3i-eKwxMY-eHbzha-eSZU8R-eSZLKa-eSMTBd)

報道内容が正確と裏付けられた場合は「大きな不祥事だ」】
元中央情報局(CIA)職員エドワード・スノーデン容疑者が暴露した、米国家安全保障局(NSA)がインターネットや電話などの個人情報を監視していた問題に関してオバマ大統領は、厳格な管理・規制に基づいて外国人を対象とした活動である、集めるのは通信内容ではなく電話番号や通信時間といったメタデータにすぎない・・・という説明で、国民の疑念をかわそうとしています。

しかしながら、実際の運用にあっては「偶発的」にアメリカ国民の情報にアクセスすることも多々あること、当局が外国人情報と関連がある判断すればかなり広範なアメリカ国民も監視対象になることも明らかになってきています。

また、アメリカ国内における情報監視活動にとどまらず、サイバー攻撃を行っているとアメリカが批判していた中国に対するハッキングをアメリカ自身が行っていたことも明るみになっています。

更に「監視」対象は広がり、同盟国EUを対象にした「監視」も報じられています。
ドイツのニュース週刊誌シュピーゲルはスノーデン容疑者が持っていた文書の内容として、NSAがワシントンのEU代表部に盗聴器を取り付け、コンピューターネットワークにも侵入、電子メールや内部文書にアクセスできる状態になっていたことや、ニューヨークにある国連本部のEU代表部とブリュッセルのEU本部でも盗聴していたということを報じています。

****欧州連合も米当局の監視対象」、独誌報道****
米国家安全保障局(NSA)がインターネットの個人情報を監視していた問題に関連し、30日発行のドイツのニュース週刊誌シュピーゲルは、NSAが欧州連合(EU)も監視の「標的」とし、ブリュッセルや米国内にあるEUの拠点に盗聴装置を取り付けていたと伝えた。

同誌は機密文書を根拠としてこのニュースを伝えた。
同誌が使った文書の中にはNSAの監視プログラム「PRISM」の存在を暴露し訴追された米中央情報局(CIA)元職員、エドワード・スノーデン容疑者(30)を通じて閲覧できた文書も含まれているという。

同誌によると、「極秘」扱いとされている2010年9月の文書には、NSAがワシントンD.C.市内のEU代表部をどのように監視しているかについての記述がある。NSAは盗聴用マイクを建物内に仕掛けたほか、コンピューター・ネットワークにも侵入して電子メールや内部文書を読める状態になっていたという。

同誌はまた、国連(UN)本部のEU代表部も同様の監視対象になっていたと述べ、リークされた機密文書には欧州諸国のことが「標的」と書かれていたと付け加えた。
監視はブリュッセルのEU本部にも及び、同誌によると5年以上前にEU理事会本部の建物(ユストゥス・リプシウス、Justus Lipsius)で電話やインターネットの盗聴・傍受装置がEUの警備専門家によって発見されたこともあったという。

EUは03年、建物内でドイツや英国、フランスなどの事務所を標的にした電話盗聴装置を発見したと発表しているが、シュピーゲル誌が言及したのがこの件なのかどうかは明らかになっていない。

シュピーゲル誌のウェブサイトはこの報道に対する反応を掲載した。その中で欧州議会のマルティン・シュルツ議長は、詳しい情報が必要だが報道内容が正確と裏付けられた場合は「大きな不祥事だ」と述べた。【6月30日 AFP】
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結局のところ。情報機関が「国家の安全・利益のため」と判断すれば、外国人・自国民にかかわらずすべての個人、敵対国・同盟国にかかわらずすべての国家について、可能な限り情報収集を行う・・・・という実態のようです。

“まあ、そんなものだろう・・・”とは感じてはいましたが、いざその実態が明るみにでると、かなり怖い社会に生きていることを改めて感じます。
「国家のため」という理由で安易に個人が監視下におかれる社会から、映画・小説で描かれるような個人が完全に国家によって管理される社会までは、ほんのわずかな距離しかないように思えます。

対テロ対策上の不都合などがあったとしても、個人通信情報へのアクセスは、建前ではなく実際運用面において厳格に管理・規制されるシステムの確立を望みます。

モスクワの空港で1週間
問題の張本人であるスノーデン容疑者は今もモスクワの空港内にとどまっているようで、その現状についてメディアの関心が集まっています。

****CIA元職員:露空港滞在1週間 生活ぶりに関心集まる****
米中央情報局(CIA)元職員のエドワード・スノーデン容疑者(30)がモスクワの空港に到着してから、29日で1週間になる。当面は空港の乗り継ぎ区域に滞在するとの観測が広がり生活ぶりにも関心が寄せられている。

香港発の便でモスクワのシェレメチェボ国際空港に23日、到着した元職員は、一時入国の査証を取得しておらず、乗り継ぎ区域に留め置かれている。

区域内にはカプセルホテルがあり、チェックインしたと伝えられた。1人部屋の料金は4時間1900ルーブル(約5700円)から1時間ごとに加算される仕組みで、シャワーなどが付いているが、半数の部屋には窓がない。

複数のロシアメディアが周辺を取材したが、元職員は目撃されておらず、ホテル関係者は宿泊の確認を避けているという。
区域内には、最重要人物(VIP)向けの休息施設や、国境警備隊の施設も存在することから、元職員がホテル以外の場所に滞在しているとの見方も消えていない。

国際社会では旅券を紛失したり、無効とされたりした旅客が、空港で長期の生活を強いられた幾つかの例が知られている。
日本に拠点を置いていた中国の人権活動家馮正虎さん(58)は、2009年11月から10年2月まで、中国に入国を拒否され続けたため、成田国際空港で寝泊まりを続けた。また難民証明書類をなくしたイラン人が17年間、パリの空港で暮らした話は、米映画「ターミナル」(2004年)の下地となった。【6月28日 毎日】
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扱いが難しい「政治カード」】
で、どこが亡命を引き受けるのか・・・という話は、エクアドル、ベネズエラ、ロシアなどが挙がっていますが、それぞれの思惑が絡んではっきりしていません。

****CIA元職員:受け入れ表明エクアドルなど 今後の対応は****
米国家安全保障局(NSA)による個人情報収集を暴露した元中央情報局(CIA)職員、エドワード・スノーデン容疑者は、旅券を無効にされたため出入国ができないままモスクワの空港の乗り継ぎ区域に滞在し、「袋小路」(ロシア情報筋)に置かれている。

一方、亡命先とされる反米左派の南米エクアドルやベネズエラは、相次いで受け入れを表明するが、米国との経済関係も無視できず、対応に注目が集まっている。

エクアドル政府は27日、米国から与えられていた関税の優遇措置を放棄するとの声明を出し「いかなる脅しも圧力も受けない」とした。米上院外交委員会のメネンデス委員長が26日、元職員の亡命を阻止しようと優遇措置の見直しに言及したことに反発した。

エクアドルは、強硬な反米姿勢を示すことで求心力を高める政治構造が確立している。同国の政治学者サンティアゴ・バサベ氏は「コレア大統領は、国際メディアの前で米国の人権侵害を批判する機会を得ることで、既に政治的得点を挙げた。亡命を認めれば国民の支持はさらに高まる」と分析する。

コレア大統領は石油収入を原資に2007年の就任から昨年までに公共事業費を6倍に拡大して学校や病院を建設。世論調査で支持率90%を得て政治基盤も盤石で、元職員が逃げ込むには最適だ。

しかし、エクアドルは輸出の48%が米国向けで、花や野菜は特恵税率を適用されている。声明発表後、米の猛反発を受けたコレア大統領は「領土内に来るまで(亡命の)手続きは始められない」とも話し、受け入れ方針を転換したのではないかとの見方も出ている。

南米の反米左派諸国の中核国であるベネズエラのマドゥロ大統領は26日、「元職員が亡命を希望するなら、ベネズエラはほぼ確実に許可を出す」と述べた。

一方、ベネズエラも日約90万バレルの原油を米国に輸出し、米国は最大の貿易相手国だ。ベネズエラもエクアドルと同様、「経済で対米依存しながら政治で米国を批判する。国民は米国批判をする政治家を好みながら米国に旅行する」(南米専門家)という南米特有の構造を持つ。

ロシアは当面、元職員の存在を利用して米国をけん制しながらも、対米関係が悪化する事態も避ける狙いだ。米国と亡命候補先に挙がる関係国の動きを見極めたうえで「次の一手」を打つ構えとみられる。
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アメリカの鼻を明かしたい思いと、アメリカによる報復の恐怖・実害・・・はかりにかけてどちらを選ぶかという国家間の政治ゲームとなっています。

一番手に名前のあがっていたエクアドルは、ちょっと腰が引けたようです。

****米副大統領がCIA元職員の亡命申請拒否を要請」 、エクアドル大統領が明かす****
エクアドルのラファエル・コレア大統領は29日、国民に向けての定例演説で、米政府当局による個人情報収集プログラムの存在を暴露してスパイ行為などの罪で訴追された米中央情報局(CIA)元職員、エドワード・スノーデン容疑者(30)の亡命申請を拒否するよう、ジョゼフ・バイデン米副大統領から電話で要請されたことを明らかにした。

コレア大統領はまた、この件については結論を下す前に米政府と協議すると話したが、最終的な判断はエクアドル政府が行うと述べた。コレア大統領は、28日のバイデン米副大統領からの電話で、「われわれは米国を尊重しており、このような状況を望んだわけではない。悪意のある一部のマスコミが報道しているように、われわれが反米国であるなどと思わないでいただきたい」とバイデン米副大統領に話したことを明かした。

コレア大統領はまた、スノーデン元職員は現時点でエクアドル国内にいないため、同容疑者の亡命申請についてエクアドル政府は手続きを始めることはできないと話し、「(元職員が)エクアドルの地を踏んだら、もし実際にそのようなことが起きたら、われわれは亡命申請の手続きを行わなければならないが、われわれが最初に意見を求める相手は米国だ」と話したという。【6月30日 AFP】
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ロシア受け入れ論もあるようですが、さすがにアメリカに喧嘩を売るようなことはロシアもしないのではないでしょうか。

****スノーデン容疑者、滞在1週間に=「ロシア受け入れ」論も****
米国家安全保障局(NSA)の情報監視活動を暴露して訴追された元中央情報局(CIA)職員のエドワード・スノーデン容疑者(30)が、香港から経由地モスクワに着いて30日で1週間になる。

同容疑者は米国のパスポート失効措置などで出発できず、一部には「このままロシアが亡命を受け入れてはどうか」(人権オンブズマン)との意見もある。

スノーデン容疑者は23日にモスクワの空港に到着。南米エクアドルに亡命申請し、当初予定では24日の中米キューバ便で大西洋を横断するとされたが、連日搭乗を見送った。パスポートの問題で航空券が買えないとの情報がある。
エクアドルのコレア大統領はそれに代わる渡航書類は交付していないと語っており、事態は「行き詰まり」(地元通信社)を見せた。

こうした中、人権オンブズマンに当たるフェドトフ大統領付属人権委員長は「スノーデン容疑者は保護に値する。ロシアに亡命申請すれば、プーチン大統領の検討は可能だ」と発言した。異論は噴出しているものの、フェドトフ氏は政権内の人物で、国内外に観測気球を上げた可能性もある。【6月29日 時事】 
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現時点で一番可能性がありそうなのは、1日にマドゥロ大統領がロシアを訪問するベネズエラではないでしょうか。
帰国するベネズエラ・マドゥロ大統領に同行してモスクワを出る可能性が指摘されています。ここで出国できないと、アメリカ映画「ターミナル」のような話にもなってきます。

****スノーデン容疑者:ベネズエラ大統領の訪露待ちか***** 
ベネズエラのマドゥロ大統領は7月1、2日にロシアとベラルーシを訪問する。訪露のタイミングから、米国家安全保障局(NSA)による個人情報収集を暴露し、モスクワの空港内に滞在中の元米中央情報局(CIA)職員、エドワード・スノーデン容疑者は、反米色の強いマドゥロ大統領のモスクワ入りを待っているのではないか、との観測も出ている。

大統領は元職員から亡命申請を受けた場合、「ほぼ確実に受け入れる」と述べており、元職員が大統領に同行してベネズエラ入りする可能性がある、とみる識者もいる。

元職員が亡命申請した南米エクアドルはベネズエラから1750キロ、飛行機で2時間半の距離。モスクワからエクアドルに直行便はなく、最終的にエクアドルに向かうにしても、大統領と共にモスクワを出るほうが容易かつ安全である可能性が高い。

ベネズエラの政治学者アンヘル・アルバレス氏は「反米左派のマドゥロ政権は大喜びで亡命を受け入れる。しかし、スノーデン氏がそう望むかは分からない」という。エクアドルのコレア大統領に比べ、マドゥロ大統領の権力基盤は不安定だからだ。

ベネズエラの対米関係は「これ以上、悪化しようがない」(アルバレス氏)状態で、2010年から双方の大使不在が続いている。

ただ、両国は6月5日、米州機構(OAS)会議が開かれたグアテマラで、ベネズエラ側の呼びかけで、ケリー米国務長官とハウア外相が会談して大使の再赴任を進めることで合意し、関係改善に踏み出したばかり。元職員がベネズエラに亡命すれば、政治カードとして使われる可能性もある。【6月29日 毎日】
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国家機密を暴露されて怒り心頭に発しているアメリカ相手に、危険な「政治カード」を使えるのはどこの国か・・・という面白い話題ではありますが、国家と個人の関係にかかわる問題の本筋ではありません。
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