孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

中国  東西の境界に位置する銀川(寧夏回族自治区)

2012-04-17 23:13:12 | 中国


空白の西半分
前回ブログでも書いたように、現在、中国に観光で来ています。
目的地は新彊ウイグル自治区のトルファンです。
14日(土)に上海に着き、翌15日(日)には寧夏回族自治区の銀川(ギンセン)に寄り道して、その日の午後と翌16日(月)の午前で観光。

写真は、上海から銀川への移動で使った格安航空「春秋航空」の機内ショッピング雑誌の1ページです。
格安航空「春秋航空」については、旅行記サイトの方で触れたいと思っていますが、上記写真は、2020年における中国高速鉄道網の予定図です。

中国の高速鉄道については、この前の事故などもあって、安全性の問題が指摘されてもいますが、今日はその話でもありません。
この中国全土の地図を見ての最初の印象は、中国の右(東)半分はまるで毛細血管が張り巡らされているようなのに対し、左(西)半分が真っ白だということです。

東半分が、漢族主体のいわゆる古来よりの中華文化圏であるのに対し、西半分は新彊ウイグル自治区、チベット自治区です。
新彊のウルムチ、チベットのラサが、か細い線でかろうじて中国中央とつながっているようにも見えます。

もちろんこれは、新彊の砂漠、チベットの山岳・高原という、自然環境による開発・鉄道建設の困難さに起因するものではありますが、ウイグル族・チベット族との間で緊張が絶えない現在の中国を象徴しているようにも思えました。

境界線の銀川
上記地図で東西を分けるラインが、銀川、蘭州、成都、昆明の各都市を結ぶ線のように見えます。
銀川は、このように、中華文化圏の西端に位置し、その西は河西回廊を経て西域(現在の新彊)に至ります。
境界に位置していることから、漢族以外も多く、“回族自治区”ということになっています。
イスラム教徒の回族は寧夏回族自治区の人口の2割ほどを占めるとのことですが、“自治区”なるものがどういうものなのかは知りません。
旅先ですので、調べる気力も時間もありませんので、そのことはパス。

また、“回族”が何者かということですが、トルファンのウイグル人に聞くと、「回族の母親は中国人で、父親はアラビア人。ウイグル族ではない」とのことでした。
あながち間違った説明ではないようです。

銀川のガイド氏の話しでは、銀川は、7年ほど前は人口7,80万人だったのが、今は180万人に急膨張しているとか。
中国内陸部経済の急成長を示す都市のひとつです。
今話題の重慶の成長も、失脚した薄氏の成果というより、そうした流れのひとつの結果にすぎない・・・といった指摘もあります。

銀川の街並み・様相は、普通の中国の大都市とほとんど変わりません。
2割を占めるというムスリムも姿はあまり目につきません。
たまに、信号停車中の車の間をぬって物乞いをしている老人が、ムスリムだったりもしますが。

市内に大きなモスクもありますが、なんとなく街並みからは浮いているような感もありました。
イスラムよりは、鼓楼とか南門など、中国古代王朝遺跡が印象的な街並みです。

歴史的には、この銀川を中心に独自の勢力圏を築いたのが、李元昊による西夏王国(1038~1227)です。
銀川に立ち寄ったのも、謎の西夏王国の始祖、李元昊の墓の遺跡を訪ねるのがメインの目的です。

西夏はチベット系ツタングート族の国家ですが、宋の時代、西は河西回廊から敦厚までを支配下に治めていましたが、モンゴルのフビライにより破壊されました。

李元昊の時代は、井上靖の小説「敦煌」の背景ともなっていますが、個人的には映画「敦煌」で李元昊を演じた渡瀬恒彦が白馬にまたがり、「時代に名を残すのはお前ではない。この俺だ」とか言い放つシーンが記憶にあります。
そうした西夏王国については、これも旅行記サイトに写真とともにアップする予定です。

台湾と南シナ海
冒頭の地図に話を戻すと、東西の違いのほかに気付くのが、台湾と高速鉄道で結ばれていることです。
海底トンネルでも作るのでしょうか?
中国からすれば、台湾は中国の一部ですから、当然にこの“中国全土”の地図に含まれています。
ただ、空白の西半分に比べると、違和感なく中国本土と溶け込んでいるようにも見えます。
同じ漢族社会という固定観念のせいでしょうか。

地図の左下には、南シナ海で中国が領有権主張している海域が示されています。
高速鉄道と南シナ海は関係ありませんが、“中国全土”の主張として、南シナ海も加えてあります。
銀川で展示されていた、西夏王国に関する地図でも、ご丁寧に南シナ海が隅っこに表記してありました。
国家としても統一方針のようです。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする