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孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

アフガニスタン:米軍機密文書暴露が明らかにしたパキスタンのタリバン支援、民間人被害の実態

2010-07-27 23:12:48 | 国際情勢

(08年11月 米軍による結婚式会場への誤爆とされる事件があり、子供や女性を含む住民37人が死亡しました。“flickr”より By noodlepie
http://www.flickr.com/photos/noodlepie/3005923761/)

【アメリカのアフガン戦略への疑念】アフガニスタン駐留米軍や米国の諜報機関の活動内容が示された9万点以上の機密文書が25日、民間の内部告発サイト「ウィキリークス」に公表され、波紋が広がっています。
公表された資料は、アメリカの同盟国であり、かつ、アメリカから巨額の支援を受けるパキスタンの情報当局が、水面下でアメリカと闘うタリバンを支援していることや、米軍などの攻撃による住民の犠牲が過小報告されていたことをうかがわせる内容となっています。

****内部告発サイトが新公開した機密文書、その意味*****
内部告発サイト『WikiLeaks』は25日(米国時間)、アフガニスタン紛争に関連する大量の米軍機密文書を公開した。情報源は不明だが、米国中央軍のデータウェアハウス『CIDNE』から引き出されたものと見られるものだ。(中略)
今回公開された文書数は約7万7000件だが、Wikileaksによると完全なデータベースには9万2000件が入っているという。情報源からの要請によって1万5000件を非公開にしたが、これは現地等で人的被害が起こりうることを避けるためで、状況が許すようになったら暫時公開していく予定だという。2004年から2009年12月末までの資料であり、ほとんどは「Secret」レベルの資料だ。一部は「Confidential」であり、約3000件には機密指定が無いという。ホワイトハウスは、文書がWikiLeaksサイトに公表される直前に、情報漏えいは米国民の命を脅かす危険があると非難する声明を発表した。

(中略)今回WikiLeaksが公開した大量の文書は、戦略的に大きな重要性を持つ可能性がある。米国とその同盟国が、どんな理由でどのように戦争を遂行しているかに関して疑問を抱かせる資料だからだ。
今回公開された資料は、6年間に多国籍軍によって市民が犠牲になった144事例を詳述しているだけではない。米国の同盟国とみなされているパキスタン内部の要因によって、アフガニスタン紛争がいかに維持されているかを如実に示すものでもある。
パキスタンの三軍統合情報部(ISI:Inter Services Intelligence)が、アフガニスタンのタリバン、ハッカーニー・ネットワーク、そしてグルバディン・へクマチアルの率いるヒズブ・イスラミ(イスラム党)とつながりを持っているという事実は、以前からの周知の事実だ。
しかし『New York Times』紙が報道しているように、WikiLeaksの資料は、ISIがアフガニスタン紛争を続けさせるためにどのようなことをしていたかについて、米国が6年にわたってどう見てきたかを、かつてない詳細さで提示している。(中略)

アフガニスタン紛争を支援するかのようなISIの動きは、ほぼ公然の秘密になってきた。少なくともISIの一部が、アフガニスタン内に生じる動きを統制するための保険として、タリバンやその分派の過激派グループとのつながりを保っているというのは、ワシントンのアナリストの大部分にとって当然の認識になっている。
しかし今回ホワイトハウスを震撼させたのは、アフガニスタン紛争に対するパキスタンの援助が、一般に認識されているよりもずっと深く及んでいるのではないかという疑問が、WikiLeaksによって浮き彫りにされたことだ。オバマ政権は現在、パキスタンに接近することで、こういうつながりを断ち切らせようという戦略を採っているが、この戦略の現実性について、さらなる疑問符が投げかけられることになる。一方で、こういったつながりを強めることによって、反体制派がアフガニスタンのハミド・カルザイ政権と取引を行ない、戦いが終結するように進むかもしれないという可能性もある。
こういったなかで、7月18日(米国時間)、米国からの拡大援助資金の初回分となる5億ドル相当が、パキスタンに到着した。このうちどれぐらいが、アフガニスタン反体制派のポケットに納まるのだろうか。・・・【7月27日 WIRED VISION】
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パキスタンの三軍統合情報部(ISI)(あるいは、その一部が)がタリバンなどイスラム過激派を支援していることは、ほぼ公然の秘密とされていました。
ISIは、もともとタリバンの成立に関与した組織であり、インドと対立するパキスタンは、アフガニスタンからインドの影響力を排除し、自国の影響が及ぶ勢力を打ち立てることに関心があるとされています。

ただ“公然の秘密”“うわさ”と、詳細・大量の裏付け資料が公表されることは、やはり意味合いが異なります。
ニューヨーク・タイムズ紙(電子版)などが機密文書の内容として報じたところによると、ISIがタリバンと接触し、アフガニスタンのカルザイ大統領の暗殺を計画したり、テロ行為をアフガン国内に限定するよう求めたりしたとのことです。

アメリカのアフガニスタン戦略にとって、タリバンの支援地域となっているパキスタン北西部をどのように抑えるかが決定的に重要であり、そのためにパキスタンに巨額の資金援助を行い、パキスタンをイスラム原理主義勢力との戦いに引き込んでいる訳ですが、そのパキスタンがタリバンを支援しているとなるとアメリカの基本戦略の妥当性に疑問が生じます。
パキスタンに対しては、今後5年間にわたってアメリカから75億ドルの援助資金が渡ることになっています。

今回資料は、タリバンが航空機の撃墜に携帯用の熱線追尾ミサイルを使用していることも明らかにしています。
タリバンはコーランとカラシニコフだけで戦っている訳ではなく、何者かがタリバンにミサイルを売っていることを示しています。
“その何者か”は、パキスタン国内の、アメリカからの資金援助の受け取り手であるかも・・・という疑念も出てきます。

オバマ政権側は、ウィキリークスが兵士を危険にさらす可能性のある文書を事前に当局に打診することなく公開したことを強く批判しています。一方で、国防総省のラパン広報官は初期段階の調査結果として、流出文書の多くは「秘密」扱いで、より機密度の高い「極秘」扱いの文書は含まれていないとし、影響は限定的との見方を示唆しています。

しかし、上院外交委員長のケリー上院議員は声明で「流出した文書はその(アフガンの)危険度を強調したもので、即座に政策を調整する必要があることを示しているかもしれない」と、文書がアフガン政策に影響を与える可能性を否定していません。
“連邦議会で大詰めを迎えるアフガン戦費の補正予算審議への影響に懸念が出ているうえ、11月の中間選挙前に国民にえん戦ムードがさらに高まるのを警戒し、オバマ政権側は沈静化に躍起だ。”【7月27日 毎日】とも。

【ネット社会における機密保持】
「ウィキリークス」の創設者、ジュリアン・アサーンジ氏は26日、ロンドン市内で記者会見し、「9万点の機密文書に記された一つ一つの死がアフガンで進行する戦争の真実を物語っている」「オバマ政権は民間人の犠牲を回避する戦略に切り替えたが、何も変わっていない」などと語っています。
オーストラリア出身の同氏は元ハッカーとしても知られ、4年前に「ウィキリークス」を創設。米国防総省は今年に入り漏出した機密文書の公表を阻止するため、行方を追っていました。【7月27日 産経より】

情報化社会の現代は、為政者にとって情報管理が極めて難しい時代となっています。
****現代版「ペンタゴン・ペーパーズ」 機密保持の難しさ示す****
「ウィキリークス」によるアフガニスタン関連機密文書の暴露は、電子文書のかたちで膨大な情報が一瞬のうちに持ち出され、公開されてしまう現代における機密保持の難しさを改めて示している。
今回の暴露をめぐっては、ニクソン政権下の1971年、米紙ニューヨーク・タイムズがベトナム戦争に関する国防総省の調査報告書(ペンタゴン・ペーパーズ)の掲載に踏み切った経緯になぞらえる指摘もメディアから挙がっている。
「ペンタゴン・ペーパーズ」は、元国防総省職員のダニエル・エルズバーグ氏によってタイムズ紙にリークされた。米歴代政権が正確な情報を国民に示さないまま泥沼の戦争に突入していった過程が明らかになり、政府への国民の不信をかき立て、後の米軍撤退の一因になったともされる。
だが今回との大きな違いは、情報の伝達手段の格段の進化だろう。当時の内幕を描いた「メディアの戦場」(ハリソン・ソールズベリー著)によると、エルズバーグ氏はリークに際し、友人や家族まで動員して「ペンタゴン・ペーパーズ」のコピーをとりまくったという。
また、掲載途中で政権側が中止を求めて一旦(いったん)は司法判断にもつれ込むなど、現代から考えれば慎重な手続きを経ていたといえる。
一方、今回のリークの経緯は明らかになっていないが、現代では電子文書が一瞬にして持ち出され、ネットに流される。基本的には全世界のだれもが一斉に「現物」を目にすることになるのだ。
ただ、これまで数々の内部文書を暴露してきた「ウィキリークス」自身、今回初めて、公開によって危険を招く可能性を精査するためとして、文書の公開を遅らせるなど新たな対応を迫られているのも事実だ。【7月27日 産経】
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【アフガン国民の反感を強める民間人犠牲】
今回公表された資料は、パキスタンのタリバン支援のほか、米軍などの攻撃による住民の犠牲が過小報告されていたことをうかがわせています。
オバマ政権下で米軍の秘密部隊が、テロ組織上層部の拘束、殺害を目的にした作戦を強化しており、一部の作戦では民間人の犠牲が出ていることも示しています。

そんな折、また民間人犠牲が問題となる事態が起きています。
****アフガン:誤爆で市民52人死亡 駐留部隊のロケット弾?*****
アフガニスタン大統領府は26日、南部ヘルマンド州サンギン地区で23日にロケット弾が民家に着弾、最大で民間人52人が死亡したとして、「最も強い表現で非難する」との声明を発表した。同国情報機関の報告では、ロケット弾は駐留外国部隊が発射したという。
州知事によると、ロケット弾は外国部隊と武装勢力の戦闘の間に発射されたとみられる。カルザイ大統領は26日、ロケット弾がどちらから発射されたのかや、正確な死者数について、州政府に調査を命じた。

アフガン駐留米軍のペトレアス司令官は今月4日の就任後、民間人の巻き添えを減らす姿勢を強調したばかり。調査結果次第では、外国部隊に対するアフガン国民の反感がいっそう強まる可能性がある。ロイター通信によると、国際治安支援部隊(ISAF)も調査隊を派遣した。【7月27日 毎日】
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国際治安支援部隊(ISAF)は26日、ロケット弾は駐留外国部隊が発射したという指摘に対し「現時点では完全に事実無根」と反論する声明を発表しています。
「ウィキリークス」に公表された民間人被害の実態と相まって、今回事件の調査結果が注目されます。



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