goo blog サービス終了のお知らせ 

孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

ミャンマー  分裂する民主化勢力旧NLD

2010-07-12 22:31:02 | 国際情勢

(「白い象」 今回見つかったものではなく、以前からミャンマー国内で飼われているもののようです。
“flickr”より By paul_ark
http://www.flickr.com/photos/paul_ark/104042894/)

日本では参議院選挙が終わりました。
日本の最近の政治は、盛り上がるのは足を引っ張るようなスキャンダラスな問題だけ、普天間の問題に見られるように誰も犠牲を引き受けようとせず、政治は何も決断できない・・・といった状況が続いています。
与党が大敗して「ねじれ国会」状態になったことで今後も政治は空転し、少子高齢化社会に向けた改革や財政再建等の山積する課題に関する実質的な論議は、これまで同様期待できません。

【旧NLD分裂】
そんなどうしようもない日本の状況は捨て置いて、ミャンマーの話。
ミャンマー軍事政権は今年(秋頃とも言われています)、20年ぶりの総選挙を予定しています。
前回90年の総選挙では、スー・チーさん率いる野党「国民民主連盟」(NLD)が圧勝しましたが、軍事政権はその結果を認めず、スー・チーさんは軟禁状態が続いています。
今回選挙に関して、軍事政権はNLDに対し“選挙に参加するためには指導者のスー・チーさんを除名せよ”との厳しい踏み絵を突き付け、結局NLDはスー・チーさん自身の「参加拒否」の意向を尊重して選挙ボイコットを決定。政党登録をしなかったことで、5月に解党処分となっています。

しかしNLD内部には、民主化を望む国民の受け皿となるためにも選挙に参加すべきだとの声があり、一部が分派して新党を結成し選挙参加準備を進めてきました。
スー・チーさんはこの動きを批判し、これまでスー・チーさんの下に団結してきた民主化勢力は事実上分裂しつつあります。【6月20日 毎日より】

****ミャンマー:旧NLD内部対立激化 「竹笠」が引き金****
今年予定のミャンマー総選挙への参加を拒否して解党処分となった同国の旧最大野党「国民民主連盟」(NLD)関係者が、党から分派して選挙に参加する新党「国民民主勢力」(NDF)がNLDのシンボルマークだった「竹笠(たけかさ)」を使用することに強く反発。AFP通信などによると、旧NLD幹部は来週にも、選挙管理委員会に苦情を申し立てる方針だ。民主化勢力内の対立の激化は、総選挙後も軍事支配継続をめざす政権にとって「思うつぼ」となりそうだ。
竹笠は農民が農作業の際にかぶり、前回90年の総選挙でアウンサンスーチーさんが率いたNLDが選挙戦のシンボルマークとして使用。その後同国民主化運動の象徴となった。

NLDは今年3月に軍事政権が制定した選挙関連法で、指導者のスーチーさんを排除して選挙に参加するか、ボイコットして解党処分を受けるかの選択を迫られた。スーチーさん自身が「参加拒否」の意向を示したことで不参加を決め、5月に党は解体された。
しかしこれに反対する一部メンバーがその後新党を結成、民主化勢力は事実上分裂した。スーチーさんはこの動きを「民主的ではない」と批判。これに対し新党側は「選挙ボイコットは軍事政権を利するだけ」と訴え、旧NLD関係者同士の対立が深まっている。【7月3日 毎日】
********************************

【38番目の政党】
軍事政権側は、NLDから分派した「国民民主勢力」(NDF)の政党登録を認めました。
****ミャンマー:NDFが政党登録 民主化勢力「分裂」狙い****
ミャンマー選挙管理委員会は9日、アウンサンスーチーさんが率いてきた旧最大野党「国民民主連盟」(NLD)から分派した新勢力「国民民主勢力」(NDF)に対し、今年実施される総選挙参加への前提となる「政党登録」を認めた。選挙参加を拒否してすでに解党処分となったNLDの旧指導者は、NDFの選挙参加を批判している。前回総選挙で圧勝した民主化勢力が「分裂」したことは、選挙後も支配継続を目指す軍事政権に有利に働きそうだ。

国営紙によるとNDFは、38番目の政党として登録を認められた。今後、全国で1000人の党員を登録したうえで選挙に参加する見込み。AFP通信によると、同党のタンニェイン議長(元NLD中央執行委員)は「我々は法の下で民主主義のために戦い続ける」と選管の決定を歓迎した。一方、NDFの選挙参加を批判するニャンウィン元NLD広報官は「何も言うことはない」と述べた。
(中略)
NDFの選挙参加は軍事政権が内外に「民主的」な選挙をアピールする根拠となる。一方でスーチーさん抜きのNDFが前回のように多数の議席を獲得するのは困難とみられ、政権にとって極めて都合のよい状況だ。【7月20日 毎日】
*******************************

軍事政権の実質的継続を担保する新憲法の枠内での選挙に参加することは、この体制を認めることに他ならず茶番に過ぎない・・・と言えば、確かにそのとおりですが、さりとて現在のミャンマーの政治状況では、この枠組みに参加していくことでしか民意を政治に反映させていくことはできません。
個人的には、スー・チーさんの総選挙参加拒否の判断には疑問を感じています。

****ミャンマーに「白い象」出現 国家の繁栄?政変の前兆?*****
ミャンマー(ビルマ)西部ラカイン州で突然変異によるアルビノ(白化)の野生象が見つかり、軍事政権が捕獲した。象の肌はやや赤みを帯びているが、国営紙は29日、「白い象」だとして重大ニュースの扱いで報じた。
同国では君主が白い象を所有すると国が繁栄するという言い伝えがある。軍政と国家繁栄を関連づける縁起物として軍はアピールしたいようだ。
ただ、AFP通信は同日、同国の一部には白い象を政変の前兆とする迷信もあるとしたうえで「白い象の出現は、政治交代を促進すると過去の指導者は考えてきた」と報じた。
AP通信によると、アルビノの象の肌は白色とは限らず、ツメやまつ毛などに特徴がある以外は、通常の象と見た目が変わらない場合もあるという。【7月1日 朝日】
*****************************

「白い象」とは言っても、実際は冒頭写真のような、ピンクと言うか、赤茶色と言うか・・・そんな色です。
仏教絵画に出てくるような白象ではありません。
軍政で国家繁栄というのはいかにも調子に乗りすぎた話ではありますが、国内外で、誰もこれを諌めることができないのが現実です。
「政変」は望めませんが、せめて新議会に国民の意思がより多く反映できることを願うばかりです。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする