(アラブ人の妊婦に銃の照準を合わせた絵に「1発で2人殺害」と書き添えた図柄などのTシャツ “flickr”より By planspark
http://www.flickr.com/photos/planspark/3373293084/)
イスラエルのガザ侵攻による一般住民死者は926人、うち313人が子供、116人が女性でした。
****ガザ攻撃:死者1417人の全氏名公表 人権団体****
パレスチナ自治区のガザ市にある人権団体、パレスチナ人権センターは19日、イスラエルが昨年12月からことし1月まで22日間行ったガザ地区への大規模攻撃による死者が計1417人だったとの調査結果を発表、全氏名を公表した。
926人が一般住民で、うち313人が18歳未満の子ども、116人が女性。一般住民以外は戦闘員が236人、警察官が255人だった。
同期間のイスラエル人死者は一般住民3人を含む13人だった。【3月21日 毎日】
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戦争・紛争・テロの被害者は、いつもニュースでは“死者何名”という総数でしか語られることがありませんが、氏名を個々に公表することで、それぞれの人生・生活が失われたことを再確認することは意義があることかと思われます。
このところ、イスラエル軍による住民攻撃の実態に関する告発が相次いでいます。
****無抵抗のガザ市民殺害 イスラエル兵証言次々、軍調査へ****
イスラエル軍が昨年12月から約3週間にわたってパレスチナ自治区ガザを攻撃した際に、無抵抗の市民を殺害したとする兵士の証言が相次ぎ、国内で波紋が広がっている。軍は19日、軍警察に「作戦上や道徳上の問題」について調べるよう命じたと発表した。
地元紙によると、ガザから帰還した複数の兵士が2月、同僚らによる民間人殺害の実態を、入隊前に通っていた教育施設で証言。事態を重く見た施設の責任者が、軍上層部に「告発」したという。民間人殺害については、これまでもメディアや人権団体が住民の声として伝えてきたが、イスラエル兵の証言で明らかになるのは極めてまれだ。
19日付ハアレツ紙は、ガザ攻撃に加わった歩兵分隊長の証言を掲載。小隊がパレスチナ人家族を家の外に出す際、「右側へ進め」と指示したが母子3人は理解せず左側に進んだため、狙撃兵に射殺された。小隊は、この母子の移動が「問題ない」ものであることを狙撃兵に伝えることを忘れていたという。
分隊長は「パレスチナ人の命はイスラエル兵の命に比べ、非常に軽視されていたと感じた」と話した。
イスラエルのオルメルト暫定首相は、停戦を決めた1月17日の国民向けのテレビ演説で、「罪のない市民を傷つけることにつながる疑いが少しでもあれば、我々は行動を控えた」と説明していた。
一方で、イスラエル軍はガザ攻撃にかかわった部隊司令官の名前などがわかる報道を禁止。政府も1月下旬、外国で軍幹部や兵士が戦争犯罪などで訴追された場合には、全面的な支援を保証する方針を閣議決定している。
ガザの「パレスチナ人権センター」が19日に発表した調査結果では、イスラエル軍によるガザ攻撃で1417人が死亡。そのうち18歳未満の子ども313人を含む926人が一般住民だった。国連関連施設や避難所になっていた学校も攻撃を受け、国連は独自の調査委員会を設置すると発表している。【3月20日 朝日】
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この話は以前から指摘されてものですが、これ以外にも“アラブ人の妊婦に銃の照準を合わせた絵に「1発で2人殺害」と書き添えた図柄などのTシャツ”“パレスチナ人の少年を「人間の盾」として利用”といったことが報道されています。
*****イスラエル兵の背に「妊婦撃てば1発で2人殺害」****
イスラエル軍の兵士が、アラブ人の妊婦に銃の照準を合わせた絵に「1発で2人殺害」と書き添えた図柄などのTシャツを作り、着用していたことが分かった。イスラエル紙ハアレツなどが報じた。
イスラエル軍によるパレスチナ自治区ガザへの攻撃が国際的な批判を浴びる中で、アラブ人の命を軽視するようなTシャツの着用は非難の的になりそうだ。
Tシャツの図柄は妊婦のほか、少年に照準を合わせ「小さいほど難しい」と書かれたもの、モスク(イスラム教礼拝所)を爆破するもの、日本刀を持った男が立ち「私たちの熱は冷めない。殺したことを確認するまでは」と書かれたものもある。
図柄は兵士が考えて業者に発注。部隊単位で着用することが多いが、家の周りをジョギングする際に着る兵士もいるという。兵士の一人はハアレツ紙に「一種の冗談」と釈明した。軍は「兵士が私的に作ったものだが、軍の価値観にそぐわない」として関係者の処分を検討する方針。【3月24日 朝日】
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悪趣味としかいいようのないTシャツです。
****イスラエル、パレスチナの少年を「盾」に利用****
イスラエル軍によるパレスチナ自治区ガザへの攻撃をめぐり、人権問題などを調査していた国連事務総長特別代表のラディカ・クマラスワミ氏が23日、ジュネーブで開催中の国連人権理事会で、イスラエル軍がパレスチナ人の少年を「人間の盾」として利用したと報告した。ロイター通信などが伝えた。
クマラスワミ氏は2月にガザで現地調査を実施。その結果、イスラエル軍がガザ市南部に侵攻した1月15日、11歳のパレスチナ人少年に軍の前方を歩くよう命じ、建物にも先に入らせるなど「盾」として利用した事例があったとした。爆発物の有無などを調べるため、複数のパレスチナ人のカバンを少年に開けさせたりもしたという。
また、母子が残る家屋をブルドーザーで破壊したり、住民を建物に移動させた後に砲撃を加えたりした事例もあるとし、「イスラエル軍の『違反』があまりに多すぎる」と述べた。
同氏は一方で、ガザを支配するイスラム過激派ハマスも人口密集地からイスラエル軍を攻撃したと述べ、ハマスが民間人を危険にさらした実態を指摘した。
これに対し、イスラエルの代表は「報告はイスラエルが直面しているテロリストからの脅威を意図的に無視している」と反論した。【3月24日 朝日】
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ハマスもガザ住民を“盾”としていることは、指摘のとおりだと思います。
今回はイスラエル軍の行為が問題となっていますが、同様の行為はひとりイスラエルだけのものではなく、戦争・紛争にかかわる国家・組織にはありふれた話でもあるでしょう。
お互い、自分達の命を危険にさらしながら、相手への憎しみをかきたてながら殺しあう訳ですから。
アメリカなどは、そうした極限状態に兵士を置くことを避けて、空爆等の戦術を多用するようになっていますが、それはそれで誤爆等による住民被害を引き起こしています。
戦争は決してコンピュータ画面上のシュミレーションではなく、極限状態で狂気と憎しみがあふれ出し、多くの血が流されるという当たり前の事実を、改めて確認する必要があります。