孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

アメリカ  やっぱり世界のリーダー? その意向を気にする日本・イギリス

2009-03-02 21:43:04 | 国際情勢

(アメリカ歴代大統領 “flickr”より By BL1961
http://www.flickr.com/photos/walkadog/3203364850/)

【ブッシュ時代の“多極化”】
ブッシュ政権の頃、国際面のニュースでアメリカが話題になるのは、主にイラクやアフガニスタンでの戦闘に関するもので、外交交渉などの話題は“世界のリーダー”としては非常に少なかったような印象があります。
特に、ブッシュ大統領自身の発言や考えが話題になることは更に少なく、外交面を賑わすのはもっぱらプーチン首相やサルコジ大統領、あるいは中国首脳であることが多くありました。
また、環境対策など世界の関心が集まる問題でも、アメリカの消極的対応が目立ちました。

こうした政治的なアメリカの“ひきこもり”“一国主義”に加え、経済的な新興国の台頭もあって、“多極化の時代”という印象が強くありました。

【オバマ・アメリカに集まる世界の関心】
しかしオバマ大統領に代わって、景気対策などで、その発言・挙動に世界の注目が集まっています。
オバマ政権のスタンスも“世界の国々との協調”を軸にしているとも言われ、それだけに、各国はアメリカ・オバマ大統領の発言に関心を強めています。
イランのような“反米”と言われていた国々や武装勢力においても、アメリカ・オバマ大統領の発言・行動が注目されています。
ロシアも、ひと頃言われた“新冷戦”といった状態から、核問題を含めてアメリカと協議する姿勢に変わってきているように見えます。

確かにアメリカ発の金融危機は、アメリカ経済の弱体化を暴露しました。
しかし、その後の世界同時不況のなかで、日本経済は結局アメリカ依存体質であることを再確認、中国経済もアメリカと一蓮托生の関係にあって資金的にアメリカを支えざるを得ないなど、むしろこれ以上の悪化の防止・景気回復のためにアメリカを軸とした国際協調体制が強調されるようになっています。

****安全保障──やっぱり、リーダーはアメリカ?****
世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)の安全保障版ともいわれるミュンヘン安全保障会議。バイデン米副大統領が2月7日、アメリカは再び世界の国々に「関与し、耳を傾け、相談する」つもりだと語ると、各国代表の間には歓迎と安堵の空気が広がった。

イラク戦争やブッシュ政権下の8年にわたる外交の舞台からの「引きこもり」、さらに金融危機も相まってアメリカの存在感は小さくなったと思われがちだ。しかしミュンヘンでは、世界が今もアメリカのリーダーシップに大きな期待を寄せていることが明らかになった。
6日から3日間の会期中、アメリカの代表団が何度も受けた質問は「オバマ大統領はどう動くつもりなのか」だった。メルケル独首相は、アフガニスタンなどで外交、経済、軍事面での協調を図るため「ネットワーク化された安全保障」という新しい概念を提案したが、その実現もアメリカ次第だということは明白だった。

アフガニスタンでは過去7年間、ドイツをはじめヨーロッパのNATO(北大西洋条約機構)加盟国がそれぞれの担当分野で努力を重ねてきた。だが連携という点はまったくお粗末なものだった。
「ヨーロッパはイランへの経済制裁といった一部の問題では結束できるし、国際的な世論形成では重要な存在だが、戦略的リーダーシップを取るうえではまったく役に立たない」と、欧州改革研究所(ロンドン)のチャールズ・グラント所長は言う。

つい最近まで「アメリカがリーダーシップを取る時代」は終わったと思われていた。だが同盟国との連携を重視するオバマ政権の登場で、世界は昔へ逆戻りしているようにみえる。新しい多極的な時代がやって来るという説は、アメリカの独断的な姿勢や新興国の急速な台頭といった一時的な現象をもとにした勘違いだったのかもしれない。
ヨーロッパ諸国が明快に示したように、グローバルな視点に基づく戦略的な役割を引き受ける用意のある国はほとんどない。今回の会議は「外交にはむずかしい面もあるが、世界は今もリーダーシップの担い手を求めている」というオバマへのメッセージだ。【3月4日号 Newsweek】
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今後も本当にアメリカがリーダーシップをとるのか?とれるのか?・・・そこは、オバマ政権の発言・行動・成果を見守る必要がありますが、確かに、“多極化”といっても「グローバルな視点に基づく戦略的な役割を引き受ける用意のある国はほとんどない」というのも実情で、アメリカがリーダーシップをとってくれないとなかなか物事がまとまらない面もあります。

【日本とイギリスの“騒動”】
アメリカの動向に世界が注目するなかで、ひときわアメリカとの関係にこだわる国があります。
ひとつは日本。
オバマ大統領やクリントン国務長官が中国を重視して日本はないがしろにされるのではないか・・・まあ、そうした心配は、経済面や政治・安全保障面での強固な繋がりを考えるとやむを得ないところもあります。
ただ、日本が国務長官の最初の訪問国になったとか、麻生首相がオバマ大統領が会う最初の外国首脳である云々で騒ぐのはいかがなものかという気もします。

そんなことを思っていたところ、似たような国があるようです。それはイギリス。
かつてブレア首相は“ブッシュのプードル”と揶揄されたぐらいに、両国間は緊密な関係にありました。
アメリカとの連携によって国際政治で大きな発言力を持ち、経済的な関係を強めるなかでロンドンを国際金融の中心のひとつとして活性化させることもできました。

イギリス国民自身がそうした関係にややうんざりしてきており、ブラウン首相に代わって、米英の“特別な関係”は変わってきているのでは・・・とも思っていたのですが、やはりアメリカが気になるようです。

オバマ大統領は就任直後に幾人かの外国首脳に電話しましたが、そのひとりとしてブラウン首相に電話があったことが英紙一面を飾ったそうです。
また、オバマ大統領が最初に会った外国要人がブラウン首相のライバル・ブレア元首相であったことが大きく報じられたとか。【2月25日号 Newsweek】
更には、ホワイトハウスの大統領執務室にはかつてブレア元首相が米英友好関係の象徴として送ったチャーチルの胸像が飾られていたそうですが、オバマ大統領はこれを敬愛するリンカーンの像に取替え、チャーチルの胸像はイギリス大使に返還したそうで、これがイギリスで波紋を広げたそうです。【3月4日号 Newsweek】

日本とイギリス・・・経済的にも、政治的にもアメリカ依存が強い両国ですので、「アメリカにどう思われているのか」気になって仕方がないというところでしょう。


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